『アナ雪』はディズニーアニメ初の女性監督がメガホンをとった映画としても話題に

 あの姉妹がスクリーンに戻ってきた──。公開中のディズニー映画『アナと雪の女王2』。'14年に日本で大ヒットした『アナと雪の女王』の続編だが、公開から10日目で瞬く間に興行収入43億円を突破。前作よりメッセージ性の高い壮大なストーリーになっていて、“大人こそ見るべき映画”と話題を呼んでいる。

「生まれながらにして、触れたものを凍らせたり、雪や氷を作り出す魔法使いであるアレンデール王国の王女・エルサと妹のアナが、“自分たちの過去”や“エルサの魔法の秘密”を探るため、再び冒険に出るストーリーとなっています。日本語の吹き替え版の声優陣も、前作に引き続きエルサ役を松たか子さん、アナ役を神田沙也加さんが務めています」(スポーツ紙記者)

前作との違い

 前作では、エルサが自分の力を解放したり、姉妹の愛によって王国を救うシーンが印象深かったが、今作は2人一緒に冒険に旅立つという新しさがある。映画ライターの中村千晶さんに話を聞くと、姉妹の“共闘”という点が、大人の女性たちの共感を得るポイントだという。

「これまでの物語やドラマは、なにかと女性同士の対立が描かれることが多くありました。“美人か否か”“若いかおばさんか”といった尺度に始まり、“未婚か既婚か”“家庭かキャリアか”“子ナシか子アリか”など、女性同士を分断するような空気がまかり通っていました。

 しかし、昨今は世界的にも『#Metoo』運動など、“女性が力を合わせて戦う”という動きが一般化してきています。アナとエルサという、見た目も性格も異なる2人の女性が、ひとつのことを成し遂げるという点は、現代社会に生きる女性たちの心をとらえるポイントになっていると思います

 また、1作目でエルサが歌っていた“ありのままで”という歌詞のように、今作ではさらに細かく、女性の生き方の多様性や、それぞれが大切にしている価値観に違いがあるということが描かれている。

隠されたシリアスなメッセージ

妹のアナは、クリストフという彼氏がいて、いずれ家庭を持つであろう女性として描かれています。一方で、エルサは自分のルーツを探る冒険に出て、自分自身と向き合う女性として描かれている。相変わらず“おひとりさま”ですが、それを自分自身で選んでいるんです。

 お互いを認め合っていて、型にはまらない生き方を肯定しあうという部分が、これからの生き方にも非常に合っていて、共感を呼んでいるのだと思います」(中村さん)

 “女性の生き方の多様性”や“過去の清算”“自分のルーツ”など、シリアスなテーマが多くちりばめられた『アナ雪2』。大人の心に刺さるとはいえ、重く感じさせないのは、ポップなキャラクターたちの活躍のおかげだ。

前作に引き続き登場する雪だるまのオラフですが、彼の些細なひと言に旅のヒントが隠されていたりと、重要な役どころを担っています。スケールが大きいテーマでも、ディズニーらしいユニークなキャラクターが旅のヒントを語ってくれることで、重くなりすぎない効果がありますよね」(中村さん)

 “ありのまま”で、自分らしく生きる彼女たちに、あなたもきっと勇気をもらえる──。