マンガやゲームを原作とした舞台作品=「2.5次元」の人気が過熱する今。占い界イチの2.5次元&アニヲタである占い師の阿雅佐(あがさ)さんが、注目の2.5次元俳優を独自の視点で分析します! 今回、分析するのはファンから「国宝級の顔面」と称(たた)えられ、舞台だけでなく映像作品や音楽活動などで活躍の場を広げる崎山つばささんです。

ミュージカル『刀剣乱舞』で石切丸を演じる崎山つばさ

第4回 崎山つばさ

 “国宝指定”の美貌。崎山つばさがそう称されるようになったのはいつのころからだろうか。

 漫画やアニメ・ゲームを原作とする2.5次元舞台にとって、説得力のあるビジュアルはきわめて大切だ。実際には「いるわけがない」完璧な美形キャラクターに命を吹き込み具現化させるこの世界では、いくらメイクや衣装でそれらしく作ったとしても、役者の風貌があまりに個性的だと、また違うものになってしまう。

 原作から文字どおり“抜け出た”かのようなその美麗な容姿は、間違いなく今の2.5次元ブームを支える絶対的ファクターだ。中でもミュージカル『刀剣乱舞』の石切丸役は彼の当たり役である。

 崎山つばさの活躍は2.5次元舞台にとどまらない。2017年からは歌手活動を開始し、2019年は主演映画『クロガラス』をはじめ、ドラマ『広告会社、男子寮のおかずくん』ほか数々の映像作品に出演。今年10月には2度目のワンマンライブを大盛況のうちに終えている。ひいき目なしにブレイク中である。

 穏やかで飾り気のない語り口調。シンプルで丁寧、かつ謙虚で堅実な姿勢。目を細めて見入ってしまう魅力があり時折、見せるくだけたユーモアすらも愛(いと)おしく思わせる。崎山つばさはどこへ出しても恥ずかしくない好青年と言えよう

一見、穏やかだが“ただ者ではない”

 いったい彼の魅力の秘密はどこにあるのか。彼の生年月日から、その端緒を開いてみたい。

 崎山つばさは1989年11月3日生まれのさそり座だ。さそり座は一見、穏やかだが芯の強いタイプ。洞察力が鋭く、物事の本質を見通す力を秘める。自分が何を背負っていて、何を求められているのか。その答えを本能的に知っていると言っていい。

 興味深い話がある。ワンマンライブについてのインタビューで、彼はファンのみなさんと「一緒に空間を作りたい」と抱負を語っている。

 新曲を披露し喜んでもらう、アーティストとしての新境地を見てもらう……などなど、表舞台に立つ人間ならいろんな思いがあるはずだ。だがその先にあるのは何か。何のためのライブなのか。それを見通しているからこそ、この言葉が口をついて出たのではないか。「空間を作る」とは象徴的な表現だ。演者というよりプロデューサーの発想に近い。それを迷いなく言い表した崎山つばさは、確かにただ者ではないと思わせる。

キアヌ・リーブスや山田孝之と同じ星を持つ

 さらに特筆すべきことがもうひとつある。いささか専門的になるが少しだけお付き合い願いたい。

 占星術では、太陽を筆頭に水星・金星・火星など、約10個の天体を見る。その人が『何座』であるというのは、生まれたときに太陽が何座にあったかに由来するのだ。

 彼のさそり座太陽には宿命の星・冥王星が寄り添っている。これ、ひと言でいうなら“ムーブメントを創る”相。個人の意思とは関係なく運命が紡がれ、ものすごいエネルギーを放つ人生になる暗示だ。

 ちょっとわかりづらいかもしれないので、具体的な例を挙げよう。同じ星の持ち主にはあのマイケル・ジャクソンがいる。ほかにも、キアヌ・リーブス山田孝之、声優界では『銀魂』はじめ数々の人気作品で活躍し、Twitterのフォロワー数が170万人を超える杉田智和など、錚々(そうそう)たる顔ぶれが並ぶ。F1チャンピオンのキミ・ライコネンもそうだ。

 その道のトップランナーであるのはもちろんのこと、表現活動及び生き方すべてが圧倒的。頂点に上りつめ、プライベートを(事実上)返上するかわりにカリスマとしての地位を築いている。催眠的な色気があり、見る者の本能にダイレクトに囁(ささや)きかけるような魅力と影響力を持つ。

 この人たちが声をあげれば世論が動き社会が変わる。ブームが起き、プロジェクトが生まれる。もちろん時と場合にもよるが、それが単なる絵空事でないことは、このラインナップを見れば共感してくださるのではと思う。

 この系譜に、崎山つばさは連なっている。今はまだ“将来有望な若手俳優”だが、5年後10年後、彼は何らかの偉業を成し遂げている可能性が高い。おそらくは彼自身の好き嫌いで選べないくらいの圧倒的な出来事が起こり、それを背負うことになるだろう。例えば「何の予兆もなくいきなり海外デビュー」とか、「誰もやったことのないプロジェクトで主役に抜擢(ばってき)」というような、それはインパクトに富んだニュースになるはずだ。

見事に浦飯幽助を演じ抜く

 話を戻そう。今年8月、彼に大きな節目が訪れた。舞台『幽☆遊☆白書』の浦飯幽助役だ。

 それまでノーブルな役どころが多かった彼にとってはチャレンジである。粗野で短気で無鉄砲。立ち居振る舞いも醸す雰囲気も、崎山本人とはあまりにかけ離れた役柄だ。それでなくても偉大な名作、相当なプレッシャーがあったのではないか。

 だが、それらは全て杞憂(きゆう)に終わる。彼は見事にこのキャラクターを演じ抜き、生を吹き込んだ。美しい彼がヤンチャではっちゃけた浦飯幽助の魂を宿したことで、このうえなく魅力的でオーラあふれる主人公が誕生したのだ。

 役者・崎山つばさが自ら可能性を押し広げ、「役になりきる」ことのギアをさらにもう一段上げた瞬間だった。

 2020年、彼はWOWWOW初となるオリジナルドラマ×舞台連動プロジェクト『ワケあって火星に住みました~エラバレシ4ニン~』への出演が予定されている。脚本・演出はあの鈴木おさむ。面白くないわけがない。

 崎山つばさがどんな奇跡を起こしてくれるのか。一観客として、そのときをワクワクしながら待ちたいと思う。


阿雅佐●占星術研究家・心理ナビゲーター。西洋占星術、血液型占い、タロットカードなど、古今東西の占いに精通。『CanCam』『PASH!』『anan』『JUNON』ほか年間100本以上の雑誌記事・Webコンテンツを執筆する恋占いのエキスパート。今までに鑑定した人数はのべ1万人に及ぶ。『スッキリ』『アッコにおまかせ!』ほか、テレビ出演多数。『おそ松さん占い』(主婦と生活社)ほか、約40冊の著書があり、小説『魔女たちの占いゲーム』(イースト・プレス)、『モデル マジック』(学研教育出版)を上梓(じょうし)するなど、作家としても活動している。
Twitter @agatchy
Instagram fortunenavigatoragatha