12月19日から22日の4日間にわたって開催される『全日本フィギュアスケート選手権大会』。今大会をもってアイスダンスへ転向する高橋大輔や、今季大会をコーチ不在で挑んだ宇野昌磨も出場。そして、“絶対王者”の羽生結弦(25)が4年ぶりに出場することでも注目が集まっている。
明らかに見えた「変化」
「12月5日からイタリアで行われたグランプリファイナルで、羽生選手はライバルであるネイサン・チェン選手に40点以上の大差をつけられ、2位で大会を終えることに。しかし本人は“点数ほど大きな差はない”と前向きな姿勢を見せています」(スポーツ紙記者)
一部では羽生の衰えを指摘する声もあるが、フィギュアスケート解説者の佐野稔さんいわく、今回の結果は、ネイサンの大きな“飛躍”に勝因があったという。
「ネイサン選手は'18年の平昌五輪の際、4回転ジャンプを6本組み込んだプログラムで出場していました。今回のように4回転を5本跳ぶことには比較的余裕があり、ほぼノーミスの演技ができたのではないかと思います」
ライバルの成長をひしひしと感じ、ふたたび表彰台を譲る結果となってしまった羽生。しかし今回のグランプリファイナルでは、明らかな変化が見えた。
「羽生選手はフリーの公式練習中、突如4回転アクセルの練習をし始め、周囲を沸かせていました。来年3月に行われる世界選手権ではプログラムに組み込めるよう本格的に練習していくようです。もし成功すれば、成長著しいネイサン選手にも十分に対抗できる必殺技になると思います」(前出・スポーツ紙記者)
この4回転アクセルは、羽生にとって“スケート人生最後の目標”といっても過言ではないようだ。
「本人は'22年の北京五輪へ出場の意欲を語っていますが、“4回転アクセルの成功を機に電撃引退するのではないか”という声も出ています。彼は大会にこだわるというより、自分のなかの目標や信念に沿って動く性格。北京五輪を待たずに引退ということも十分にありうると思います」(スケート連盟関係者)
「1回でも多く日本で」
引退へのカウントダウンが進むなか、競技以外の面でも、終焉を見据える発言が垣間見えることがあった。
「11月下旬に行われたグランプリシリーズNHK杯後のインタビューでは、勝利への感想よりも先に、“やっぱり日本で滑りたかったので”と、母国への愛を語っていました」(前出・スポーツ紙記者)
彼はここ最近、特に日本で滑ることへの思いを口にしているという。
「地元の宮城県仙台市の復興を願う気持ちや、フィギュアスケートという競技をより多くの人に知ってもらいたいという狙いがあるとのことですが、“自分自身、あと何回、日本で滑ることができるのだろう”と考えていて、1回でも多く日本で滑りたいという思いがあるようです」(前出・スケート連盟関係者)
4年ぶりに立つ舞台には、勝利以上の思いがあった。