お受験コンシェルジュ&戦略プランナーのいとうゆりこさんが、東京都・神奈川県の小学校受験を中心に、学校説明会や幼児教室ではなかなか教えてくれないリアルな“お受験情報”を発信。小学校受験本番を迎える、幼稚園年長のお子様方に焦点を当て、保護者共々一年間どのように戦い抜いていけば良いのか各月ごとのポイントを教えてくれます!
東京の私立小学校は合否が出揃い、いよいよ国立の試験がスタート。
そこで12月編となる今回は、残念ながらご縁がいただけなかったご家庭がチャレンジしたい私立小学校の二次募集や補欠事情について、さらには受験シーズン後にやってくる行事事情についてお話していきます。
■国立の試験スタート。各学校の補欠事情とは?
国立大学附属小学校の合格発表をもって、東京神奈川の主要な私立小学校の合否は出揃いました。各お教室でもご案内があったかと思いますが、まだ合格をいただいていないもののどうしても私立小学校に……と考えている場合、二次募集もございます。
最後まで諦めず、ご家族のライフスタイルに合った学校を探してみてください。(※出願が終わっている可能性もございますので、本年度の受験生の方は学校のホームページやお教室などで詳細をご確認ください)。
そして、国立の試験に関しましては、最終的に“抽選”という壁があります。
こればかりはどうにもならない部分でございます。
受験番号の早い方、学校と同じ区内や近隣のご家庭が優先になるのでは、といった神話もございますが、まったく根拠がありませんので、抽選結果が悪くてもクヨクヨせず、すべてを結果として受け入れてください。言い方を変えれば、“当たったらラッキー”くらいに思っていてくだされば。
同時に、この結果によって動くのが私立小学校の“補欠”です。
まず、11月15日の幼稚舎の合格発表の後、その入学手続きが完了する11月20日頃から、暁星小学校、立教小学校、学習院初等科、白百合学園小学校、雙葉小学校などで補欠だった方に繰り上げ合格の連絡が入りはじめていることかと思います。
さらに12月19日の筑波大学附属小学校の発表を最後とする国立の合否が出た後、若干数ではございますが慶應幼稚舎、早稲田実業初等部、慶應横浜初等部の補欠の方にも繰り上げ合格の連絡が入ります。補欠連絡をする期限を設けている学校もありますが、最終的には3月までは補欠が繰り上げ合格となる可能性が残されています。
というのも、国立の筑波と私立の慶應幼稚舎の両方に合格されたご家庭が、どちらに進学するか3月まで悩み、なかなか合格を手放さないケースがあるからです。
12年間の学費を考えたら悩むのも当然です。
実際、慶應幼稚舎をお断りし、筑波に進学を決めた知り合いの方も、最後まで悩まれておりました。しかし、家族会議の結果、高い学費や保護者同士の“見栄合戦”に惑わされたくないという点、慶應大学しか行けない幼稚舎よりも、慶應も東大も視野に入れることができる筑波に行かせたいというご主人の意見を採用し、最終的に筑波に決められたそうです。
つまり最後の最後まで、何が起こるかわからないのが小学校受験となります。お受験界では“受験は水物”とも呼ばれておりますが、あまり気負いせずに、ひとつの通過点ととらえて挑んでいただきたいです。
また、3月なかば以降になると、無理に補欠を動かさずに欠員のまま、新小学校2年生、3年生などで編入試験をして欠員補充をする学校もございます。1人欠員となると、年間約100万円(学校により80万~180万円)の赤字となります。
学校法人の経営にとってこの100万円は大きいですよね。それゆえ、編入試験を実施する学校も多くございますので、こちらもチェックしておきたいところです。
■受験シーズンが終わり…保護者は休むヒマなし?
受験シーズンが終わると、幼稚園では卒園準備がはじまります。クリスマス会、学芸会、バザーや謝恩会……と、さまざまな行事に振り回され、受験を終えてひと息つく間もなく保護者は卒園式まで走り抜けることになります。
昨年の事例ではございますが、スポーツ教育で定評のある、とある幼稚園では、子どものお遊戯発表だけでなく、保護者の方々も総出でお遊戯をされたそうです。子ども達の衣装とまったく同じ大人用の衣装を作り、子どもの練習風景を撮影した動画を参考にしながら、それぞれ自分の子どものお遊戯を完全コピー。謝恩会でサプライズ発表したそうです。
またその幼稚園では、卒園式の後、子ども達を祖父母や友人宅に泊まりで預け、保護者は先生方を囲んで懇親会を催すそうです。そこでは、先生方も嵐などを熱唱して一緒に大騒ぎ。パイ投げまでしたり、毎年異なるテーマのもと保護者が出し物をするそうです。
昨年のテーマは大ヒットした「クイーン」だったとのことで、お父様方がタンクトップにつけ髭で変装して登場。総勢30人のフレディによる大合唱のパフォーマンスをされたそうです。その後、3次会、4次会と続き、結局朝の4時に朝焼けのなか帰宅されたとのこと。
保護者にとっても思い入れの強い濃厚な3年間だったそうで、何時になっても別れるのが辛かったとおっしゃっていました。
しかし、進学先がまだ消化しきれていない保護者にとっては、こういった行事ですらも苦悶に感じることでしょう。制服や学校グッズの話をするなど浮かれている保護者の方々と、仲良く“卒園準備”なんてしていられないですよね? また、なかには中学受験だけは負けられないと、すでに戦闘態勢に入ってしまうお母様方も多いことかと思います。
しかし、いまはじっと我慢。無事にお子様を卒園させ、小学校入学後、少なくとも1学期のあいだくらいは少しのんびりしてみてください。お子様とじっくりと向き合い、甘えさせてあげてください。きっとその時間は、今後お子様にとって人格形成の大事な基盤になるはずです。“親の期待に応えられなかった自分”という呪縛にいつまでも囚われ続けると、この先お子様が迷走することにもつながってしまうかもしれません。
受験後の冬休み、卒園までの過ごし方は大切です。受験結果はすべて忘れ、家族で新しい目標に向かって過ごしてくださいね。
<著者プロフィール>
いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、https://itoyuriko.studio.design