《最愛の妻と娘を同時に失ってから今日まで、なぜこのようになってしまったのか訳がわからず、いまだに妻と娘の死と向き合うことが……》
《事情があることは重々承知しておりますが、少しでも運転に不安がある人は車を運転しないという選択肢を》
東京・東池袋の事故現場にそう貼り紙をしているのは、4月19日に飯塚幸三容疑者(88)が運転する車の暴走で亡くなった真菜さん(享年31)の夫であり、莉子ちゃん(享年3)の父である松永さん。
事故から8か月がたった現在も、現場のかたわらには絶え間なく花やペットボトルが供えられている。
高齢により刑の執行が停止される可能性も
2人が死亡、8人が重軽傷を負った重大事故にもかかわらず、容疑者が逮捕されなかったことにも批判が噴出。
東大卒で旧通産省工業技術院の元院長という“上級国民”だから警察は配慮したのでは、という説も囁(ささや)かれた。
テレビ局の報道部記者は、こう説明する。
「容疑者は事故当初は入院していて、90歳近い高齢者。逃亡や証拠隠滅(いんめつ)のおそれもないため、警察は逮捕せずに捜査するという方法をとりました」
結局、容疑者は11月に自動車運転死傷処罰法違反の疑いで書類送検。事故車の機能に異常がないことが確認され、アクセルとブレーキの踏み間違えが原因だと判断された。
「今後、起訴される可能性が高く、7年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金が科せられます。しかし、法律的には70歳を越えた場合は、服役しないですむという場合があると規定されており、刑の執行が停止される可能性もあります」(前出・記者)
事故直後から容疑者に対する“風当たり”は強かった。両手で杖(つえ)をつき、見るからによぼよぼの状態だったことに遺族らは、
「健康上の問題がありそうな人が、公共交通機関が発達した都内で、あえて運転をする必要があったのでしょうか」
と疑問を投げかけたこと
もあった。
容疑者に厳罰を求める署名も募り、その数は39万筆にも。
「予約していたフレンチに遅れそうだったから……」
と供述していると報じられた容疑者は、さらに、
「自分の体力にはその当時は自信があったんですけれど」
「メーカーの方には心がけていただき、高齢者が安心して運転できるような世の中になってほしい」
自宅マンションの“貼り紙”
などとTBSの取材に遺族感情を逆なでするような発言を連発。その真意を聞こうと、現場から車で10分ほどの自宅マンションを訪ねると……。
《迷惑です。インターホンを押し取材をすることはおやめください。悪質な場合……》
という“貼り紙”は週刊女性が夏に報じたときのまま。
改めて取材を申し込むと事故当時、助手席に乗っていた妻と思われる女性が、「お断りします!」とピシャリ。
この強気すぎる応対ぶりは、“上級国民”だからこそなのかもしれない。
*見出しに誤解を招くような表現があったため、修正いたしました(2020年1月6日16時21分修正)