「セクハラ相談窓口を作ろうとしたことで不当に解雇されたと主張する原告と、原告とその姉が会社を乗っ取ろうとしていると主張する龍角散側ですが、裁判はいっこうに進みません」(司法記者)
2019年6月、『のどすっきり飴』で有名な龍角散の法務担当部長だった福田由紀さん(仮名・50)は、不当解雇で会社を提訴した。その訴状で藤井隆太社長(60)が行ったとされるセクハラが明らかに。
訴状によると、セクハラ行為があったのは、'18年12月に開かれた開発本部の忘年会。
同席した藤井社長は、業務委託の相田幸子さん(仮名・40代)に、「この首筋が色っぽい」などと言い、お触りや抱きつく行為を繰り返した。
同席していた当時、開発本部長の姉からセクハラの報告を受けた福田さんは、法務部長として社内調査に乗り出したが、社長室に呼び出され、突然の自宅待機を命じられた。
理由は、「セクハラを捏造して、けしからん」というもの。忘年会からわずか10日後のことだった。3か月後の'19年3月には郵送で解雇通知が届き、これを不服として6月に提訴に踏み切ったものの、この裁判がなかなか進まない。
「7月の初公判では、龍角散側が書面を提出せず裁判長にあきれ顔で注意されていました。その後も非公開の弁論準備が2回続き、いまだに龍角散側は具体的な書面を提出せずに次回の1月も非公開の弁論準備です」(司法関係者)
姉は倒産危機を救った人物
福田さんの姉は龍角散の倒産危機を救ったともいわれる『おくすり飲めたね』の開発者で業界では有名な人物。'18年3月には当時の『林先生が驚く初耳学!』(TBS系列)でテレビ出演も。
しかし、自宅待機を命じられた福田さんと同時に、姉も7つの役職をすべて解職され、千葉県香取郡多古町の工場に異動となり、10月からは自宅待機に。
「姉妹で会社に損害を与えたとの理由でしたが、パワハラではないか、と社内もざわついていました。自ら“独裁者”と名乗る社長は自分以外に目立つ人間が気に入らないのだと思います」(龍角散関係者)
会社側の圧力人事を感じ取ったのか、当初セクハラを証言していた社員らは次々に態度を翻(ひるがえ)していき……。
「不可解なのは、セクハラをされた相田さんは業務委託だったのに'19年1月付で社員に登用されているんです。会社の人事異動は通常4月と10月ですし、業務委託の人間が社員になるのも異例。一方で、セクハラがあったと最後まで証言した男性契約社員はこの9月に解雇されました」
藤井社長の主張を聞こうと自宅を訪ねたが応答はなく、龍角散は週刊女性の取材に6月の提訴時に発表した「ホームページのプレスリリースのとおり」と言うのみだった。