昨年末の『M-1グランプリ2019』で、「コーンフレーク」と「最中」をそれぞれのネタで連呼し、ファーストラウンドでは歴代最高得点を獲得し優勝したミルクボーイ。ボケ担当の駒場孝とツッコミ担当の内海崇からなる、お笑いコンビだ。
コーンフレークでおなじみのケロッグ社や、和菓子店などがSNSなどで次々に反応、ケロッグの公式ツイッターは、2人に〈コーンフロスティ1年分をプレゼントしたいと思います〉と宣言。優勝直後にはテレビのオファーが殺到し、その数なんと46本。ご覧のように正月番組にも出ずっぱりだ。
求められるキャラクター性
M-1で初めて彼らの存在を知ったという視聴者は多く、世間的には突如、現れた新生のようなふたりだが、この人気は今年もそのまま維持できるだろうか。人気バラエティーなどを手がける放送作家は、「もともと実力があるからこそ、ああいう着眼点でネタを発想できるコンビなので、大丈夫なのでは?」とみる。
「しかし、テレビの性質としては、今は単純に面白い人が活躍できるというものでもないんです」
お笑いの実力があっても、それがお茶の間の人気と直結しないことも少なくない。
「面白いことに加えて、ほかの特徴的な“何か”がないといけないんです。Mattやローランドなどの人気者も、もはや芸人のようなキャラクター性の強さですからね。これから私生活だったり人間的な部分を掘り下げられていくと思うのですが、ボケの駒場さんは結婚していて、なぜ筋肉がムキムキなのかなど、私生活に密着するなど新しい一面が見えてくると思います。それらがヤバさなのかマジメなのか、そこで面白いと感じるもの出てくれば、これからもいけるんだろうなと思います」
ひな壇よりもロケ向き
近年のバラエティーは、ロケやひな壇トークが主流だが、
「たぶん彼らは、ロケのほうがイケるのではないかと思います」と、前出の放送作家は言う。
「今回のネタから判断すると、ボケだけでは成立しないし、ツッコミだけも成立しない笑いですよね。両者のバランスありきなので、ひな壇に座ってMCからのツッコミで面白くなるかは、また別の話だと思います。でも、ふたりが“スキ”を見せれば、イケるかもしれません」
一方、ロケ番組の場合はふたりだけの世界でウケを成立させることができるぶん、向いているのではないかと読み解く。
「コーンフレークや最中じゃなくても、食べ物があれば、ネタとからめてあの感じを生み出すことができると思います。商品名を連呼して、“面白い!”となれば、いろんな企業からCMのお願いがくるかもしれません」
一昨年のM-1王者・霜降り明星は、またたく間にお茶の間の人気者になり、ミルクボーイにも期待が集まるところだが、霜降り明星のようになれるかどうかはタイプが違うためわからないという。
「霜降り明星は異例のスピードで一気に売れましたが、過去のM-1王者である、パンクブーブーや銀シャリなどは、わかりやすく“一気に売れたなぁ”とはならず、ジワジワ売れていくパターンも珍しくありません。ネタが面白いことと、テレビのバラエティーでの爆発的なブレイクはタイプが違いますからね。そこは本人たち次第だと思います」
ミルクボーイは、2020年のバラエティー界の台風の目になれるだろうか。
<取材・文/渋谷恭太郎>