「昨日、團子(だんこ)は新春公演の稽古初日で、夜中12時まで稽古していました。自分とはまるで違う人生。高校1年生でよく歌舞伎に打ち込めるよね」
うれしそうに話すのは、俳優の香川照之(54)。昨年末、都内のホテルで行われたトークショーでの一場面だ。
「このイベントは、香川さんの歌舞伎役者としての顔・市川中車で開催しているので、歌舞伎界での苦労話がほとんど。父親の市川猿翁さんにアドバイスを求めると“『無心になれ!』といういちばん参考にならない答えをもらった”と言って会場の笑いを誘うなど、さすがのトーク力でした。でも、息子の市川團子さんの話になると、笑みがこぼれてパパの顔になっていました」(トークショーの参加者)
父・市川猿之助から言われた“冷たい言葉”
笑顔のウラには、歌舞伎役者・團子に対する並々ならぬ思いが隠れている──。そもそもの始まりは、香川の両親までさかのぼる。
「'65年、三代目市川猿之助(現・猿翁)と女優の浜木綿子(はま・ゆうこ)さんが結婚して香川さんが誕生しますが、'68年に離婚。彼は母親に引き取られ、歌舞伎とは無縁の世界で生きてきました」(スポーツ紙記者)
香川は東大を卒業後、役者の道を選択するも、
「25歳のときに猿之助さんに会いに行くと“あなたは私の息子ではない”と冷たく拒絶されてしまったのです」(同・スポーツ紙記者)
破天荒な父との絶縁関係が長く続いたが'04年、香川に息子が生まれると、あきらめかけていた歌舞伎への思いが再び目覚める。ついには'12年、香川が46歳で『市川中車』、息子は8歳で『市川團子』を同時襲名することに。
「香川さんは自身の襲名よりも、息子を梨園入りさせられたことを大変喜んでいたそうです。将来、團子に猿之助を継がせることが、今の彼の夢だとか」(梨園関係者)
冒頭の言葉に続けて、香川は息子をこう評した。
「何にも怖くないって感じ。しかも外ヅラのよさもいい方向に出ているんです。誰に対しても気に入られたいという意欲がモーレツにあって、周りに気を遣えている。よくあんなふうに生きられるな(笑)」
息子のベタ褒めは続く。
「家ではいつも歌っているか、絵を描いています。特に絵はすごい才能なんです!」
香川は自身の歌舞伎人生になぞらえて“人間、何かを始めることに遅すぎることはない”という言葉で、トークショーを締めくくった。今月2日に開幕した『壽(ことぶき) 初春大歌舞伎』で、祖父が猿之助時代に当たり役だった『連獅子』を披露している團子。とあるインタビューで、友人を公演に誘う際には、
《毛! ふりまくるからきて! 側転もマジやるから》
と声かけすると発言。すでに“大物感”漂う自慢の息子が、香川の次なる夢も叶(かな)えてくれそうだ。