台風19号の暴風雨には傘もひしゃげて=都内

 2020年も大きな被害をもたらす台風はくるのか。

今後増える「怖い台風」に注意

 読売テレビのお天気キャスターで気象予報士・蓬莱(ほうらい)大介さんは、「予想資料がまだそろっていないため、はっきりしたことは言えないんですが、ここ数年の傾向を見ると油断できないと思います」として次のように語る。

「'19年は、千葉県などを襲った台風15号と、東日本に大洪水を巻き起こした台風19号の被害がひどかったですよね。実は以前から、今後、こういう台風が増えるのではないか、と予想されていたんです。地球温暖化などが招く怖い台風の代表例でした」(蓬莱さん=以下同)

 温暖化で「怖い台風」が生まれるとはどういうことか。

「日本列島近海の海水温が高くなっており、日本のすぐ近くで台風が発生して上陸が早いケースがあります。これまでは列島から離れた南の海上で発生して1週間ぐらいかけて上陸するケースが多かったんですが、15号は発生3日目で上陸しました。勢力が強まっていくタイミングです」

 勢いがあるうえ、発生から上陸まで時間が少ない。怖いのはそれだけではない。

「大洪水をもたらした19号は、平年よりも海水温が高くなっていたエリアをゆっくり北上し、勢力を落とさずに上陸しました。お風呂の湯気と同じで、海水が温かいため大量に発生した海上の水蒸気を巻き込み勢力を拡大しました。

 神奈川・箱根町では1日に922・5ミリの雨が降り、国内で1日に降った最大降水量記録を更新しました。東京の半年以上の雨が1日に降った計算です。こうした怖い台風が近年、目立っています」

夏暑く、冬暖かい1年になるか

 夏には東京五輪がある。涼しい夏になればいいが……。

「現時点の資料を見る限り、太平洋の海水温の変化傾向などから'20年の夏も猛暑になる可能性は高いと思います。

 例年、暑さのピークは梅雨明け後の10〜14日間。関東地方の梅雨明けは平年なら7月21日ごろですので、7月24日に開会式を迎える東京五輪にドンピシャであたる可能性がある。梅雨明けがいつになるかが、ポイントです」

 こうした台風や猛暑にどう対処すればいいのだろうか。

「自分は被害に遭わないとか、熱中症にならないと思い込まず、“もしかしたら自分も……”と考えるようにしましょう。天気予報は気象衛星ひまわりの進化などもあり、昔より精度が高くなっています。予報を把握して、自分が危ないと思っているよりも少し手前で線を引いて対策をしてください」

 ほかにも、気象災害で心配していることがあるという。

「暖冬傾向で全国的に雪不足になりそうです。雪が少ないと春には水不足が心配です。

 また関東では1月〜2月初めにかけて大雪が降るリスクが高い。近海の海水温が平年より2度も高く、雪や雨を降らせる南岸低気圧が海上の水蒸気を巻き込みそうです。低気圧の発達具合、進む位置によっては雨かもしれませんが、寒気が流れ込むタイミングが重なるなど悪条件がそろえば大雪のおそれがあります」

 備えは万全に!


気象予報士・蓬莱大介

ほうらい・だいすけ 気象予報士・防災士。兵庫県明石市出身。2011年から読売テレビの気象キャスターを務め、『情報ライブ ミヤネ屋』などにレギュラー出演中。著書に『空がおしえてくれること』(幻冬舎)、『気象予報士・蓬莱さんのへぇ~がいっぱい! クレヨン天気ずかん』(主婦と生活社)