「1月14日、天皇・皇后両陛下は『講書始(こうしょはじめ)の儀』に出席され、奈良大学の東野治之名誉教授などの3人から講義を受け、約1時間ほど熱心に耳をかたむけられていました。
その2日後に開かれた『歌会始(うたかいはじめ)の儀』には、雅子さまが実に17年ぶりにお出ましになり“望”というお題で和歌を発表されました」(皇室担当記者)
《災ひより 立ち上がらむとする人に 若きらの力 希望もたらす》
被災地へのお見舞いの中で接した、若いボランティアの姿をこう詠まれた雅子さま。'18年には豪雨被害を受けた福岡県、昨年末には台風19号で被災した宮城県と福島県を見舞われている。
「雅子さまは、昨年あった一連のお代替わりに関する儀式に出席され、今回の『講書始の儀』と『歌会始の儀』にも無事出席されたのを拝見すると、体調がよい状態なのだと感じます。
皇后さまは年間、16首ほどの和歌を発表しなければなりません。そのためには100首ほどの和歌をお作りになるので、大変な作業なのです。
ご結婚当初の雅子さまは秋ごろになると、ご友人から食事のお誘いを受けても『歌会始』のために断られていたほどなんですよ」
そう話すのは、皇室を長年取材するジャーナリストで文化学園大学客員教授の渡邉みどりさん。
昭和の時代から慣れ親しんだイギリスへ
昨年のお代替わりに伴う一連の行事に加え、新年行事にも出席された雅子さま。さらに、即位後初の海外訪問も決定した。
「今年5月を軸に、エリザベス女王が国賓として招き、おふたりはイギリスを公式訪問される予定です。夏には東京五輪が控えているので、4月から6月の時期が好ましいということも理由だそうです。
両陛下はロンドン近郊にあるウィンザー城に滞在され、雅子さまにご負担がかからない5日間ほどの滞在になるのでは」(前出・皇室担当記者)
雅子さまの外国訪問は'15年のトンガ以来で約5年ぶり。令和初の外国訪問がイギリスになった理由を、ある皇室ジャーナリストはこう話す。
「昨年10月の『即位礼正殿の儀』に参列した各国代表から“ぜひ両陛下にお越しいただきたい”という要望が相次いだ中で、かねてから交流の深いイギリスを選ばれたのではないでしょうか。というのも、皇室とイギリス王室は昭和天皇の時代から深い親交関係にあるからです」
親交が深いだけではなく、イギリス王室の影響も大きく受けているという。
「両陛下はおふたりとも『オックスフォード大学』での留学経験がおありですし、長女の愛子さまも'18年の夏には短期留学されるなど、今の天皇ご一家にとってイギリスは慣れ親しんだ土地です。
昭和天皇が訪英した際には、ジョージ5世に多大な影響を受けたのは有名で、上皇陛下もジョージ5世の本で学んだものを日本で生かされるなど、イギリス王室が皇室に与えた影響は大きいと思います。
美智子さまに関しては、イギリス現地の赤十字社で“相手の手をマッサージしながらお話をすること”を教わり、その方法を日本でも実践されていたそうです」(渡邉さん)
“皇室外交”を目指して嫁がれた雅子さま
宮内庁OBで皇室ジャーナリストの山下晋司さんは、イギリス訪問による雅子さまへのプラス面をこう話す。
「両陛下にとって、イギリスは思い出の地です。'91年、皇太子だった陛下がイギリスを訪問された際には、名誉博士号を受けるためにオックスフォード大学に立ち寄られました。今回も公式日程の終了後に足を運ばれる可能性があります。
国際親善は、皇后陛下がお力を発揮できる公務ですし、今回のイギリス訪問が成功すれば、ご体調の回復にもつながるでしょう」
もとはエリート外交官で“皇室外交”を目指して嫁がれた雅子さまにとって、5年ぶりの海外訪問は今後の国際親善への足がかりとなるだろう。
「語学の実力をお持ちの雅子さまは各国から注目される存在であり、イギリスを訪問されたあとにも他国との交流が増えると思います。以前よりも親交のある外国の数が増加し、よりグローバルな社会になっていることもあり、国際親善の機会は増えていくことでしょう」(宮内庁関係者)
そんな絶好調ムードの一方で、雅子さまに関する懸念が浮上していると話すのは、ある侍従職関係者。
「実は、2月23日に控えている天皇陛下のお誕生日に伴う記者会見に、雅子さまの同席はないということが内々で決定しました。
上皇ご夫妻が平成時代、即位されてから初めて上皇さまのお誕生日を迎えられた際には、おふたりでの会見だったので、テレビ・新聞が所属する宮内記者会は両陛下での会見を要望していたのです。
しかし、お誕生日まで1か月以上も月日があるにもかかわらず、ご欠席を決めたのは“いまだ療養中であり、回復途上の状態でご負担をかけるわけにはいかない”という理由でした。
宮内庁としても、おふたりでの会見が望ましいという気持ちはあるそうなのですが、今回は残念ながら実現できない結論になったようです」
両陛下おそろいの記者会見は……
確かに、昨年12月の雅子さまのお誕生日文書においては、宮内記者会に事前配布される予定だった日より、2日も遅れてしまったという経緯があった。
重要行事に次々と出席されている状況でも、記者やカメラ前での会見は難しく、文書を発表することが現在行える限界なのかもしれない。
「両陛下の即位後の記者会見はまだ行われていません。即位に際しての記者会見は、平成の天皇・皇后が即位から7か月後に行った前例があります。本来ならば陛下のお誕生日の前に両陛下おそろいの記者会見を行うべきでしょう。
イギリス訪問前にも記者会見が行われると思いますが、訪問は両陛下でされるのに記者会見は陛下おひとりで、となると皇后陛下に対する批判が起こりかねません」(山下さん)
'02年を最後に、雅子さまは記者会見にお出ましになっていない。ご体調との兼ね合いもあるだろうが、雅子さまの“肉声”を聞きたいという国民も少なくないだろう。
「“海外には行けるのに、なぜ会見はできないのか”という声があがるおそれがあるため、会見内の質問を絞るなども対策のひとつでしょう。
雅子さまは本来、お代替わり後から訪英前の間に“即位”“天皇陛下お誕生日”“イギリス訪問前”という、3つの記者会見に出席されるべきなのです。
しかし、好調な様子に見えてもご臨席できない会見は、雅子さまにとって唯一の“難所”なのでしょうね」(前出・皇室ジャーナリスト)
立ちはだかる“会見の壁”を越えられるかが、皇后の正念場なのかもしれない─。