まったく不思議なニュースである。
今月22日、ジャニーズ事務所の6人組『SixTONES(ストーンズ)』と9人組『Snow Man』がCDデビューした。
オリコンのデイリーチャートでは、当然のように1位を獲得。そのことを伝えるスポーツ紙の紙面には「史上最速ミリオン」「初日売上歴代1位77.3万枚」「デビュー即ミリオン確実」などといった見出しが並んだ。
両者はもちろん別々のグループで、それぞれのレコード会社からデビューシングルをリリースした。それがちょっとややこしい。
同時デビューのカラクリ
SixTONESは、「SixTONES vs Snow Man」名義でソニー・ミュージックから、Snow Manは「Snow Man vs SixTONES」名義でエイベックスからリリースした。SixTONESのデビュー曲は『Imitation Rain』、Snow Manのデビュー曲は『D.D.』。両A面シングルとして発売されているが、もう一度記すが、あくまで両者は別々のグループだ。
「情報のもとはオリコンです。デビュー曲がリード曲として両A面になっているため、合算にしたようです」
スポーツ紙芸能担当記者はそう言って苦笑いだ。こう続ける。
「昨年8月、両グループの同時デビューが発表されたとき、当然オリコンチャートで1位2位の順位づけがされると思いましたが、そうか、こういうカラクリなのか、と納得できました。週明けにウイークリーチャートが発表されますが、そこでも両グループが1位にクレジットされるわけです。2つのグループともに1位! 誰が考えたか、何が同時デビューだって、思っちゃいましたね」
両グループの売り上げ合算にもかかわらず、KAT-TUNが2006年に記録した『Real Face』の発売初週記録75.7万枚を超えるとスポーツ紙は記事にしているが、データの見方を間違えている。同じ土台で測定していないものを比較しても、まったく意味はないからだ。
リアルな数字が出た
そんな中、きちんとしたデータを公表したデータサービスもある。音楽・映像ソフトの推定販売枚数やランキングを発表するSoundScan(サウンドスキャン)のデータ(1月20日~21日の集計)によれば、SixTONES名義のCDは47万6109枚、Snow Man名義のCDは44万9528枚。その差が歴然としている。
Billboard JAPANも、SixTONESが約58万6000枚、Snow Manが約56万9000枚、と初動3日間の売り上げデータを弾き出している。
「順位づけをしてこそのデータだし、ライバルでしょう! 発売日に合わせ、朝日新聞と読売新聞を使った両グループの新聞広告が打たれた。そこには『#ライバルがいるって最高だ』というコピーが躍っていました。ライバルが切磋琢磨(せっさたくま)するために、数字の差がつくことがその原動力になる。日本を代表するオリコンのデータは、それを無にするものです。両グループかその背後に気を遣っているのかわかりませんが、どうも日本的なあいまいさがプンプンして、同調できないですね」(別のスポーツ紙音楽担当記者)
2つのグループを、それぞれに個性を持ったグループとして尊重するなら、両グループの合算ランキングなど発表しない。それこそグループに対する侮辱でしかない。
<取材・文/薮入うらら>