年をとれば、誰でも聴力は衰えると思っていませんか? 多くの栄養が必要な器官「耳」は、血流の悪化やストレスが原因で難聴になっている可能性も。1日1分の「耳力UP」習慣で聴力は回復できるんです!
血流・内臓・自律神経が耳力に影響
「耳の聞こえが悪くなったことを、年齢のせいにしてはいけません!」
そう、アドバイスするのは、独自の難聴治療が話題で、テレビなどにも数多く出演する人気の整体治療院「日本リバース」の今野清志院長。
「音が聞こえづらい=難聴の第1の原因は、血流の悪化です。多音を聞き分ける細かな働きをする耳は、多くの栄養を必要とする器官ですから、栄養と酸素が血液できちんと運ばれないとたちまち働きが悪化。血流に大きな影響を及ぼす内臓、特に腸も健康でなければなりません。
また、自律神経も“聞こえ”に大きく影響します。緊張し、交感神経が過敏になっていると血管が収縮し、血流が低下。さらに、自律神経は内臓の働きを制御するので、バランスが乱れると内臓の働きが悪くなります。
逆に、内臓の働きが衰えると、自律神経が乱れることも。血流、内臓、自律神経が関係しあい、三位一体で良好に機能することが、耳の力を支えているのです」
血行をよくするマッサージや自律神経を整えるための睡眠導入法など、身体がバランスよく働くための生活習慣を身につけてほしいという。
「特に30~50代の女性は、仕事や家庭でストレスをためやすい時期。内臓機能が低下したり、不眠になりがちなので、突発性難聴にも陥りやすいです。まだ若いから大丈夫と思わず、耳によい習慣を取り入れてほしいですね。耳だけでなく、全身によい影響を及ぼしてくれてアンチエイジングにもなりますよ!」
さっそく、以下の【耳の聞こえチェック】で自分の危険度を確かめてみよう。次のページからは、「耳力UP」のための1分習慣をイラスト付きでご紹介!
【耳の聞こえチェック】
●アナウンサーが読むニュースは理解できても、バラエティー番組での会話が聞き取りづらいときがある。
●知らない話だと聞き取れないときがある。
●呼びかけられたのに、気づかないことが少なくない。
●周りが騒がしいと何度も聞き返してしまうときがある。
●きちんと聞き取れず、「そうだね」と返事をすることがある。
●玄関の呼び鈴が聞こえないときがある。
●テレビの音量が大きいと言われることがある。
──これらの1つでも当てはまるものがあれば、難聴の疑いあり!
1. 夜寝る前に深呼吸
夜更かしは自律神経の乱れにつながるので、心地よい入眠に導くことが大事。「深呼吸することで、副交感神経が活発になり、リラックスして眠れます。また、深い呼吸は横隔膜がしっかりと動き、血流がアップ。酸素不足になりがちな状態を改善するので、美肌にも効果があります」(今野さん、以下同)
●HOW TO●
口からゆっくりと息を吐き切ったあと、鼻からゆっくりと、息を吸い込む。このとき、しっかりとお腹がふくらむのを感じること。限界まで息を吸い込んだら、ゆっくりと口から息を吐き出す。これをできるだけ20回繰り返す。
2. 10秒耳リセット
耳は、常にフル稼働。「雪崩のように音が入ってくる耳を意識的に休ませて、ムダな音を聞かない時間をつくってあげることが必要です。逆に、風鈴や鳥のさえずりなど、心地よいと思える音は脳を刺激。脳の音を認識する部分を活性化させるので、積極的に聞くようにするのがよいですね」
●HOW TO●
両手のひらで両耳をしっかりとふさぎ、できるだけ外音が聞こえない状態をつくる。そのまま10秒数える。1日1回行う。
3.エア縄跳び
「血行を上げるためには、全身を使う運動が効果的。特に、身体を上下に揺らす縄跳びの動きは、胃腸を刺激し、働きを活発にするのでおすすめです。特別に時間を設けなくても、信号待ちや電車待ちなど、ちょっとしたすきま時間に行えばOKです」。今野さん自身も1日1000回を目標に行っているとか!
●HOW TO●
軽くひざを曲げて立つ。両手は縄を持っているように曲げる。つま先は床(地面)から離さず、かかとをジャンプするような感じで軽く上下させ、それに合わせて手は縄を回すように動かす。なるべく1分間、連続で行う(1分間で40~50回くらい跳ぶようなスピードで)。
4.耳シェイクマッサージ
どこでも手軽に耳の周りの血行を促してくれるマッサージを日常に取り入れて。「1日何回行ってもOKなので、気持ちいいと感じる程度に行ってください。耳をいたわる時間をつくるという意味でも、マッサージは大切。まずは、2週間くらい続けてみましょう」
●HOW TO●
1.左手の人さし指と中指でチョキをつくり、左耳を挟むように置く。
2.左耳の前後の4か所のポイントに人さし指と中指を置き、それぞれのポイントで、心地よい程度の力で上下にもみ込むようなマッサージを行う。右側も同様に行う。耳上からスタート。
5.鉄・タンパク質をとる
「鉄、タンパク質が不足すると、血液の流れが悪くなり、酸素を運搬する力が衰えるので、特に女性は気を配りましょう。食生活の乱れは、突発性難聴を繰り返す原因にもなります」。バランスのよい食事を心がけながら、プラスで赤身のステーキやレバー、あさり、ひじき、いわし、納豆を野菜とともに取り入れて。
いますぐやめて! こんな習慣はNG
●要注意! 1.日常的にヘッドホン・イヤホンで音楽を聴く
ヘッドホンなどを使い、呼ばれても気づかないほどの音量、かつ頻繁に音楽を聴いている人は要注意。「常に騒音のなかにいるようなものですから、耳がとても疲弊しています。走行音も加わる電車内は、特に耳への負担が大きい。なるべく頻度を減らしましょう!」
●要注意! 2.片耳難聴になっていない!?
「難聴の兆候がなくても、実は、片方の耳だけが難聴になっているということは珍しくありません。“片耳難聴”になると、聞こえがよいほうの耳への負担が高くなり、良好であったはずの耳まで難聴の可能性を高めてしまいます。気づいたときでよいので、片方ずつ耳をふさぎ、聞こえに大きな差がないかチェックすることが大切です」
(取材・文/河端直子)
日本リバース院長。目と耳の美容室院長。30代から銀座、日本橋などに整体治療院を開業。これまで15万人以上を施術。難聴、視力低下に困っている人の来院が後を絶たない。著書に『耳は1分でよくなる!』(自由国民社)など。