2月1日は、東京都の私立中学入試の解禁日。12歳の春をめぐる戦いはピークを迎える。リーマンショックなどの景気の最悪期を脱却し、一都三県(千葉・埼玉・神奈川)の公立小学校6年生の中学受験比率は上昇一途。2019年は13.9%で、全体の生徒数は減っているのに、2月1日の中学受験者数は前年に比べ1800人以上、増えたという。
「特に熾(し)烈なのは女子です。女子校は御三家といわれる名門校をはじめ、もともと高校募集をしない完全中高一貫校が多いのですが、高校受験界の女子校最難関だった豊島岡女子学園までが2022年での高校募集停止を発表。ますます高校から進学校に入るのは難しくなるため、中学受験にチャレンジする子が増えています」(中学受験塾講師)
さて、難関突破した女子たちが大学に進み目指す花形にして最難関の職業として君臨するのが「女子アナ」ではないだろうか。その昔、「麹町中→日比谷高校→東大→大蔵省」というのが男子エリートコースの象徴といわれた時代があったが、名門女子中高からアナウンサーというのが女子エリートのひとつの道かもしれない。では、その道を戻って、女子アナに最も近い中学はどこだろうか。
その疑問の答えに最もふさわしい学校のひとつが、「女子学院」だ。中学受験界では「JG」の名で親しまれている。学校を紹介する前に、どれほど女子アナを輩出しているか示しておこう。
朝7時代は“女子学院アワー”
まず昨年の紅白歌合戦の司会を務めたNHKの和久田麻由子アナ。『おはよう日本』の月~金曜日のキャスターも務める同局の顔だ。女子学院から東大経済学部に進学した。同じ『おはよう日本』の土日キャスターを務める石橋亜紗アナも女子学院卒。慶大文学部に進んだ。つまりNHKの朝は7日間、女子学院OGが務めていることになる。
NHKにはJGが多い。『首都圏ネットワーク』などでおなじみの合原明子アナ(東京外大)も。フリーに転身して活躍中の膳場貴子アナ(東大)、医師を志して退職した島津有理子さん(東大)も同窓だった。
民放でも日本テレビの徳島えりかアナ(慶大)が和久田アナと同学年に在籍した。現在、朝の『ZIP!』に出演しており、JG同級生が同時間帯で視聴率を競っているのである。フリーに転身して『ゴゴスマ』などに出演している馬場典子アナも同校卒の日テレOGだ。早大からマスコミという王道路線を歩んだ。
なぜ、女子学院がこれほど女子アナを輩出するのか。そこには、同校の校風の影響が見て取れる。
1870年に創立した女子学院は、東京都千代田区一番町にあるプロテスタント校。桜蔭、雙葉と並び「女子御三家」と呼ばれる最難関のひとつだが、個性的な学校として知られる。
「桜蔭は毎年、東大に60名近く合格させる圧倒的な進学実績を誇るように、生徒たちもまじめな勉強家。悪く言えば地味なタイプが多い、というイメージ。雙葉は小学校を併設しており“ザ・お嬢様”という学校。おっとりした感じが主流です。それに対して、女子学院の校風は『自由』。制服がなく、校則も3つしかないと言われています。生徒は積極的で快活な印象。私服で髪型やピアス、化粧もすべてOKなので、一部には派手に見える子もいますが、地頭がよく要領をわきまえています」(同講師)
この3校の個性を表現する有名なたとえ話がある。
「もし空き缶が道端に落ちていたら。雙葉生はそっと拾ってゴミ箱に入れる。桜蔭生は本を読むのに夢中で気づかない。そして、女子学院生は……缶蹴りを始める」
また、こんな話も。
「JGの校舎って、2004年まで日本テレビの本社があって、今もスタジオがある場所の隣なんです。だから在学中にタレントやアナウンサーを見ることもちょくちょくあったし、テレビやマスコミの業界に比較的、親近感を抱きやすい環境なのは確かですね」(女子学院OG)
自由で積極的で快活。そして、中高からファッションを意識する感覚も養われる。そんな6年間を送った将来に、女子アナという道を見つける者が多いのは、とても納得できる話だった。