槇原敬之

 ピエール瀧、沢尻エリカに続き、芸能界にまたしても薬物禍が――。

 2月13日、覚せい剤所持などの疑いで逮捕された歌手の槇原敬之。'99年にも同じ容疑で逮捕され、有罪判決を受けた過去があり、今回が2度目。これまでの薬物事件と少し違ったのは、直近の所持容疑ではなく、2年前の所持容疑で逮捕されたということだろう。かなり時間がたっているようにも感じるが、なぜこのような形になったのか。『弁護士法人・響』の西川研一代表弁護士に話を聞くと、

「覚せい剤の所持・使用事件の時効は7年なので、2年前の事案も起訴はできますし、逮捕することも可能です。

 今回、使用された証拠は2年前のものということですが、逮捕までこれほど時間が空くのは珍しいですし、通常であれば2年前の捜査当時に逮捕へ踏み切るかどうか判断をするはずです。

 当時は十分な証拠がそろわず、今回、LINEやメールのやりとりなどの新たな証拠が出てきたので逮捕に踏み切った可能性は考えられます。槇原容疑者を泳がせておいて、交友関係や入手ルートなどを探っていたという可能性もあるかもしれません

レコーディングの直前に……

 覚せい剤と危険ドラッグ『RUSH』の所持については認めている槇原。最近は、“クスリとの関係は断ち切れた”と見られていた。

「マッキーさん、いつもニコニコしながら自転車に乗っていたり散歩していたり。目が合うと微笑んでくれてね。覚せい剤をやっているなんて見えなかったですけど、まさか……」(自宅近所の住人)

 仕事にもクスリの影は見えなかったというが、予期せぬ突然の逮捕に、所属レコード会社は大わらわだ。

「槇原さんは今年30周年で、アルバム2枚を出す予定でした。全国ツアーも行う予定でしたが、起訴されればすべて白紙に。すでに発売済みCDの出荷停止や回収、配信停止が検討されています。ピエール瀧さんのCDも回収されましたから、再犯である槇原さんには当然、厳しい対応になるでしょう」(レコード会社関係者)

 自身の楽曲制作やライブ活動だけでなく、テレビ番組などのテーマソング、CMソング、アーティストへの楽曲提供も多数手がけているだけに影響は広がるばかり。

「『ヒルナンデス!』は槇原さんが作ったテーマソングを別のBGMに差し替えました。高田純次さんの街歩き番組『じゅん散歩』のテーマ曲も変更になりましたね」(テレビ局関係者)

 あの国民的名曲にも「これからどうなるの?」との声が寄せられている。槇原が作詞・作曲し、SMAPが歌った『世界に一つだけの花』だ。

 320万枚超というセールスを打ち立てただけでなく、『日本の歌百選』にも選ばれて、道徳の教科書にも歌詞が掲載されている。作品に罪はないとはいえ、不道徳どころか法を犯した疑いのある人間の言葉を、無垢な子どもたちに説明なしに学ばせるのはいかがなものか。教科書を発行する出版社は「担当者が不在で……」と言葉少なに繰り返すのみだが、困惑は隠せない。

'16年に歌い手だったSMAPが解散して以来、この歌は一度も歌われていません。解散の際、槇原さんは“この曲は(僕が)受け継ぐ”というコメントをして日本中が安堵したのですが、今度はその槇原さんまでいなくなった。つまり、この曲をライブで歌える人がいなくなりました。今後、曲自体が“お蔵入り”になってしまうかも」(前出・レコード会社関係者)

 そんな中、4月にデビュー40周年を迎える“歌姫”松田聖子もとばっちりを受け、大ピンチに陥っているという。

いま聖子さんは40周年記念アルバムを制作中なんですが、実は、その目玉が槇原さん書き下ろしの新曲だったんです。さらにその曲を記念アルバムの先行シングルとしてタイアップを付けて発売する予定だった。すでに楽曲は完成していて、レコーディングに入ろうとしていた矢先でした」(音楽業界関係者)

 槇原が聖子に楽曲を提供するのは今回が初。となれば、大きな話題になったであろう。

それも、すべて水の泡。イチから企画を練り直さないといけないレコード会社は頭を抱えていますよ。発売を公表していなかったのが、せめてもの救いでしたけどね……」(同・音楽業界関係者)

 大切な節目の年に泥を塗られた格好の聖子。彼女の所属事務所とレコード会社にアルバム制作の今後について尋ねたが、回答はなかった。

 クスリの使用については、一貫して否認している槇原だが、聖子をはじめ信頼し期待していた人々を裏切ったことは間違いない。