『豆柴の大群』と聞いて、柴犬の大群って、なにそれ? と思った人は多いはず。
『豆柴の大群』は'19年にバラエティー番組『水曜日のダウンタウン』(TBS系)内の企画で誕生した女性4人組のアイドルグループのことである。お笑いトリオ『安田大サーカス』のクロちゃんが初代プロデューサーを務めたことで有名になった。
そのメンバーの1人であるナオ・オブ・ナオの飲酒写真が『FLASH』(3月3日号)に掲載され波紋を呼んでいる。
撮られた一昨年当時、ナオは19歳。つまり未成年飲酒ということで、記事になっているわけだが、これについてネットでは多数の意見が飛び交っている。その大部分は、
「たしかにいけないことではあるが、そんなことくらいで週刊誌が取り上げるな」
「芸能人じゃなくても、二十歳前に飲酒している人はいくらでもいる。こんなこといちいち取り上げるな」
と彼女の肩を持つ声も少なくなかった。
大手事務所に所属していたなら……
これまで、日本の芸能界では未成年の飲酒・喫煙でタレント生命を失い、将来を棒に振る例がたびたび見られた。特にアイドルとなると、イメージを覆す“振れ幅”に比例してダメージも大きくなることだろう。
しかし、今回の一件についてナオの所属事務所は全面的に認めたうえで、《弊社としましても、本件を重く受け止め、ご迷惑をおかけした皆様には誠心誠意対応させていただき、改めて社員・アーティストへの指導・教育を徹底し、再発防止に努めて参ります》とコメント。そして、《今後このようなことがないよう、しっかりと監督し、今まで以上に豆柴の大群の活動に精進させたいと存じます》ということからも“お咎(とが)めなし”という扱いとなったわけだ。
「今回は彼女がデビューしたてだということもあるかと思います。これが例えば大手スポンサーのつくような仕事をしている“若手人気アイドル”だったら、たとえ過去の話であったとしても、こう甘くはなかったでしょう。
それと、今回はナオさんが所属する事務所が老舗の大手芸能事務所でないことも大きいかもしれません。世間も“デビュー前の未成年飲酒”ということでそこまで声高に叩いたりはしませんでしたが、これだけコンプライアンスも厳しくなっている時代ですから、大手ですと“事務所としての威厳やクリーンさ”を示すために何かしらの処分を下していたと思われます」
かつて、'06年に当時18歳だった元モーニング娘。の加護亜依も喫煙写真を撮られ、謹慎に追い込まれた。当時、所属していた大手事務所は《管理・指導体制を見直し、二度とこのような不祥事をおこさないようにしたい》と“不祥事”扱いをし、厳しい判断をとった(翌年に再度喫煙が発覚した際に解雇)。
それに比べるとナオの事務所としては、売れる兆しが見えてきて、これからの収益になりそうな稼ぎ頭になりそうなタレントをクビにするような処置はとれなかったのでは。さらにナオが救われた理由として、現役の週刊誌記者はこう語る。
「週刊誌にはこういったタレコミ写真が日々送られてきますが、編集部もそれを公開するタイミングは測るものです。話題にならなければ記事にしてもやりがいがないですから。そういった点では、ネットの声のなかにも“豆柴って何?”と、まだ世間に浸透しきっていない感が否めませんでした。証拠の写真は時間がたっても腐らないので、もう少しネタを温めたほうが反響が大きかったのでは……?」
スクープを出すタイミングにも救われたといったかたちか。
<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>
◎元フライデー記者。現在も週刊誌などで取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。