お受験2.0

【小学校受験のお作法2.0】親子力を合わせ、厳しいお受験を乗り越えるためにも、先人たちのリアルな合格体験談はあらかじめしっかりと知っておきたいもの。しかし、幼児教室などで登壇する合格者の経験談は、幼児教室の先生たちのフィルターがかかった内容になりがち。実際にはいろいろな教室に行っていたのに「我が家は本当にこちらの教室のみでした」とコメントされることもあるそう。そこでここでは、お受験コンシェルジュ&戦略プランナーのいとうゆりこさんが、合格者のお母様たちにインタビューを実施。合格するまでの道のり、そして入学後の様子など“生”の声を伝えてくれます。あくまでもひとつの参考とされてみてくださいね。

立教女学院小学校に合格した女の子の場合

 立教女学院小学校に進学された女の子。その背景には、お母様の合格を勝ち取りにいく確かなる戦略がありました。

ご家族のスペック

・お父様:地方出身、国立大学卒、会社経営
・お母様:地方出身、国立大学卒、フリーライター
・お子様:都内人気幼稚園卒業

――都内の人気幼稚園に通われていたということですが、入園するにいたる経緯を教えていただけますか?

結婚して港区のタワーマンションを購入したんですね。マンション内にはゲストルームもあるので、地方から両親が上京した際にホテルを取る必要もなく、キッズルームやパーティールーム、居住者専用スカイビューラウンジ、公園などもあり、子育てするには最適な場所だと思ったんです。

 実際に入居してからは、キッズルームや公園でベビーカーを押していると、子どもの年齢が近い住人とも親しくなり、自宅の行き来こそありませんが、毎日キッズルームで一緒に遊んだり、少し遠い公園まで一緒にお出かけするようになりました。

 そして、いつしか、何のお稽古してる? どこのお教室行ってる? どこの幼稚園を受ける? なんて話題になっていったんです。私はマンション内にある保育園に入れて、少しずつ仕事の量も増やしていこうと思っていた矢先でしたので少し驚きました。

 そのことを主人に相談すると、“仕事なんていいから、幼稚園に入れたら?”などと言われ、いくつか名前を聞いた幼稚園の見学や説明会に行ってみました。

 マンションのママさんたちの一番人気は、課外活動も充実しているお寺の幼稚園だったのですが、何となく同じマンションのママさんたちとは違うところがいいと思い、自宅から車で5分程度のところに送迎バスの来る、別の私立幼稚園に通うことにしました。

 そこは茶道の授業もあったりと教育内容もしっかりしていて、制服もあるので私服に悩むこともなく、給食とお弁当が半分半分というのも魅力的で、第一志望にしていたので入園することができてホッとしました」

――実際に入園されてみていかがでしたか?

「入園すると、話題は小学校受験の話になりました。娘は“毎日幼稚園の砂場で遊んだり、かけっこしてるだけで楽しい!”と言っているような状態でしたので、小学校受験に気持ちを切り替えることは積極的にできなかったのですが、とりあえず大手幼児教室に入会しました。

 その後、お教室で知り合った男の子のお母様のご好意で、個人の先生をご紹介いただけたのですが、その先生とお話をすることで、お教室や幼稚園のママさんたちの情報が如何にいい加減なものだったかを知ることになり……

――どういうことでしょうか?

「たとえばお教室では、“幼稚舎の試験は、運動や絵画が中心なので、ペーパーができなくても可能性がある”“学習院は関係者はもちろん強いが、できれば必ず受かります”などと言われ、あおるように各小学校の試験内容に合わせたさまざまな授業を取らせられるんです。

 あるいは、聖心や白百合には一定の幼稚園とキリスト教信者が強いと言われ、信者になった人もいるほどです。お金がいくらあっても足りない状態で。しかし実際は、超名門校には縁故があったりペーパーが突出してできたりしない限り受かるはずもないんですよね」

――最終的にはどちらを受験されることに?

「いろいろな説明会に参加したり、個人の先生に家族のプロフィールや生活形態などもじっくりと密にお話をすることで志望校を絞っていき、第一志望に女子校の聖心、記念受験として共学の幼稚舎と学習院、そして立教女学院と東京女学館を受験することに決め、しっかりとペーパーを仕上げるなど準備を進めました。

 結果としては、やはり幼稚舎は縁故がないとスタートラインにさえ立てないことを身をもって知り、聖心は補欠に入るもまわってくることはなく、立教女学院と東京女学館には合格することができました。

 どちらに進学するか悩んだのですが、お教室で一緒だったご出身の方から、東京女学館は付属の大学も廃止になっているので、立教大学に進学可能な立教女学院をすすめられたんです。

 私としても、バザーや学芸会などに見学に行った際、東京女学館は芸能人のご家庭や出身者のご家庭も多く華やかな雰囲気でしたが、場所柄ほとんどの生徒が渋谷からのバス通学となるので、地方出身者としては現在工事中の混乱した渋谷駅を通学拠点として使用することに心配もあり…‥。

 教育内容は非常に魅力的ではございましたが、立教女学院に進学することにしました。穏やかで自由な雰囲気であり、キリスト教教育に軸がある立教女学院に非常に満足しております」

 “入りたい学校”と“入れる学校”は決してイコールではないという真実があります。その上で、希望校と志望校をしっかり見据え、確実に入れる学校を抑えにいくという戦略で勝ち取った結果だと思います。

 まさに“入れる学校”の1つ上の学校を目指して準備を怠らなかった、お母様のプロデュース力の結果です。マンションなどで発生する不要な人間関係や見栄の張り合いだけのママ友をしっかり断捨離し、不要な情報に振り回されず、ご家族が足並みを揃え、同じ目標に向かうことが何よりも大切な受験準備だと言えるでしょう。

<著者プロフィール>
いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、https://itoyuriko.studio.design