バレれば痛い目にあうのがわかっているのに、やめられないのが“浮気”や“不倫”!? ときに情けなく、ときに潔くあきれつつも笑える芸能人たちの言い訳。そこには人間ドラマが詰まっている!!(寄稿/宝泉薫)
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他人にとって不倫は“娯楽”
不倫会見は面白い。言い訳をして、取り繕おうとすればするほど、その人の本性が見えてくるからだ。
例えば、矢口真里。'13年に自宅でモデルとデート中、夫の中村昌也が帰宅して、不倫が発覚した。その1年5か月後『ミヤネ屋』に生出演して謝罪し、取材陣相手に会見を行ったものの、具体的なことについては「中村さんとおたがいプライベートは口外しないと約束した」と、明らかにせず。しかし、着ていた服に疑問の声があがったのだ。
それは、大きな襟の白いブラウスとひざが出る丈のワンピースというもの。'18年に出演したバラエティー番組では、選挙戦略家の女性から「このときは可愛く見せる必要がないのに」「昔、こういう形でモテたっていうのを今も引きずっている」などとダメ出しされていた。
とまあ、こんなときは何をやっても叩かれがちだ。そもそも、不倫は当事者以外にとって娯楽にすぎないので、大衆は常に“ネタ”を期待している。しゃべりがつまらないなら、服や髪型にだってツッコミを入れたいのである。
それならいっそ、松田聖子のように、沈黙を貫くのもひとつの手だろう。近藤真彦とのNY密会でも、ジェフ・ニコラスの暴露本にも、 彼女は完全スルーで通した。
ただ、これは大物にしか使えない手だ。本業でそれなりに楽しませてもらっているし、キャラが立っていて勝手にいろいろ想像できるから、大衆は会見がなくても、そこそこ満足できる。
また、大物なら、会見をやってもデメリットは小さい。'17年に21歳下のジュエリーデザイナーとの不倫が発覚した渡辺謙は、妻の南果歩ががんで闘病中だったということもあり、集中砲火を浴びてもおかしくなかった。
が、会見では不倫がバレたことについて「隙だらけなんでしょうね」と苦笑し、やせたのではという指摘には「顔が締まったと言っていただけると。身体作りをかなりいいペースでできたので」と天然ボケみたいなリアクション。世界的スターの情けない姿が新鮮で面白かったのか、これで一段落ついてしまった。
というわけで、婿にあたる東出昌大も会見をやって何かネタを提供すれば逆風が弱まるのではないか!? 彼の参考になるかどうかは不明だが、芸能史に残る言い訳の名(迷)言の数々を集めてみた──。
【1】長渕剛(当時37歳)
「俺、一般常識の通用するようなところにいないから」
'93年、長渕剛と国生さゆりの熱愛が報じられた。ふたりは2か月後に始まるドラマ『RUN』の主役とヒロインであり、2年前の長渕主演ドラマ『しゃぼん玉』でも共演していた。
ただし、長渕には志穂美悦子という、ドラマ共演がきっかけで'87年に再婚した妻がいて、子どもも生まれていた。また、最初の妻は石野真子で彼のDVが離婚原因だとされる。
女性遍歴もなかなかにぎやかだった。
国生さゆり、長渕剛の奥さんと対面
一方、おニャン子クラブ出身で、ソロでも『バレンタイン・キッス』をヒットさせた国生にとっては、ほぼ初めての男性スキャンダルだ。熱愛が事実なら不倫ということになり、マスコミは色めき立った。
しかし、取材陣の前で長渕はこう言い放ったのだ。
「俺、一般常識の通用するようなところにいないから」
当時、ドラマや映画でアウトローな役を演じて飛ぶ鳥を落とす勢いだった彼らしい発言だ。ちなみに、この数か月前には野村真美とのダブル不倫を激写された片岡鶴太郎が会見で「私のような男を頼りにしてくれる」とカッコよすぎる発言をして、コラムニストのナンシー関に、高倉健かよとツッコミを入れられていた。不倫自体、背徳的なものだから、渦中にある男性はアウトローっぽい自己陶酔感に陥りやすいのかもしれない。
ところが、長渕は2年後、自らオチをつけてしまう。大麻で逮捕され、覚せい剤についても検査を受けたのだ。なんのことはない、彼もまた、法律という一般常識を反映させたルールのなかでしか生きられないひとりだった。
そのとばっちりを食ったのが、国生だ。こちらにもクスリ疑惑が向けられ、窮地に追い込まれた。そこで、手を差しのべたのが意外にも志穂美だという。敵だったはずの女性のアドバイスで、彼女は会見を開くことにした。そして「尿検査を受けて無実です」としたうえで、
「長渕さんの奥さんと対面し、関係を清算することを約束しました」
と、表明したのだ。あるいは、志穂美にすれば、夫と手を切らせる好機ととらえたのだろうか。
その後、長渕は冨永愛とも不倫を報じられた。そんな彼の代表曲『乾杯』は今も結婚式でよく歌われている。
【2】葉月里緒奈(当時20)
「好きな人に奥さんがいてもいいじゃないですか」
真田広之と葉月里緒奈の不倫が発覚したのは、'95年。マニラへの2泊3日旅行を週刊女性がスクープしたことがきっかけだった。
真田は'90年に手塚理美と結婚。しかし、映画『写楽』で共演した15歳下の葉月と恋に落ちる。そのとき、手塚は次男を妊娠中だった。スター俳優が身重の妻をさしおいて、若手女優に走るというのは、最近の東出昌大・唐田えりかに似たパターンといえる。
が、発覚後の行動は対照的だ。特に葉月は、週刊誌などで「私が家庭を壊したんじゃない。付き合い始めたときには家庭は壊れていた」としたうえで「好きな人に奥さんがいてもいいじゃないですか」「オバサンが私のことを嫌いだと言っても関係がない」といった大胆発言を連発した。
この開き直りは、'82年に糸井重里との不倫が発覚した樋口可南子のそれに通じるものだ。こちらは「妻子ある人を好きになったんじゃありません。その人にたまたま家族があっただけです」と言ってのけた。コピーライターの糸井が作ったのではと思うほど、キャッチーなフレーズである。
大事件に助けられた真田広之
一方、葉月に負けじと(?)真田も名言を残した。
不倫発覚の翌月、映画『写楽』がカンヌ映画祭で上映された際、報道陣の前でこう言ったのだ。
「オウム騒動でずいぶんと助かった芸能人が多いですよね」
実は不倫発覚の前月、地下鉄サリン事件が起き、ワイドショーはオウム一色に。おかげで自分のスキャンダルがあまり報道されずにすんだ、という自虐的な冗談だ。さらに、共演した葉月について「“あの女優さんはいいですね”って、僕に言ってくる人が多くって」とノロケまで披露した。
その後、葉月とは破局したが、'97年には手塚とも離婚。手塚が会見で「価値観の違いが大きくなった」「子どもは敏感ですよ」とシリアスだったのに対し、真田は囲み取材に、
「俳優としてクリエイティブな部分で気持ちが少しでも鈍ったりしてしまいそうな環境は改善していかなければならない」「子どもをもうけていろいろと楽しい思い出がいっぱいありますし、また新しいスタートだと思います」
と、晴ればれとしていた。
ただ真田が言うように、もしオウム騒動と同時期でなければ、風当たりはもっと激しかっただろう。東出や唐田も、大きな事件やスキャンダルが起きることをひそかに期待していたりして……!?
【3】石田純一(当時42歳)
「文化や芸術といったものが不倫という恋愛から生まれることもある」
「不倫は文化」──言わずと知れた、石田純一の名言だ。ウィキぺディアの彼の項目にも「文化や芸術といったものが不倫という恋愛から生まれることもある」というかたちで掲載されている。
そんな名言が生まれたのは'96年、千葉で行われたチャリティーゴルフ大会でのことだった。19歳下のモデル・長谷川理恵との不倫を激写された石田が取材陣の追及を受け、そのやりとりが翌日のスポーツ紙やワイドショーで紹介されたのである。
そのなかに「何が悪い? 不倫は文化」という見出しをつけたスポーツ紙があった。このいきさつについて、後年、石田自身が別のスポーツ紙でこう振り返っている。
「1人だけ残った女性記者が“不倫とかって許されると思うんですか!?”って聞いてきた。“あなたはあなたのお考えだと思うけど、そういうものが世の中の歴史上にも、いろいろずっとある。そういうことを全否定したら、芸術も全否定になっちゃいますよ”と、言いました」
とはいえ、そういう報道に対しては「趣旨としては合っているので、僕は全然、気にしていなかった」「コピーライト力があるなと思っていました」とも。さらに、「やはり女性は怒る権利がありますよね」と、自分が怒られる立場であることも認めていた。
こういうところが、不倫をしてもどこかニクめず、不思議なポジションで生き残ることにもつながったのだろう。
'16年には美輪明宏に「『不倫は文化』がなければ、今ごろはただの年老いた俳優だった」とフォローされてもいた。
ちなみに、不倫をしたときの妻は松原千明。'88年に結婚して、すみれという娘を授かった。また、最初の妻とは学生結婚で、隠し子騒動で世に出た、いしだ壱成が生まれている。現在の妻は東尾理子で、彼女との子どもは3人だ。
そんな石田は'89年に『愛と平成の色男』という映画に主演している。美女にモテまくる現代版・光源氏みたいな役だ。そういえば、あの『源氏物語』にも不倫は出てくる。主人公は父の再婚相手と密通したり、逆に年をとってから娶った幼い正妻を若者に寝取られたり。そんな小説が世界に誇る文学として千年以上も愛され続けているのである。
『不倫は文化』が語り継がれるのも、それがひとつの真理だからだ。ある意味、最強の言い訳かもしれない。
“ウソ会見”がバレて叩かれまくったベッキー
【4】ベッキー(当時31歳)
「お付き合いということはなく、友人関係であることは間違いありません」
ここ数年“ブーム”を通り越して、芸能ニュースの“定番”と化している不倫ネタ。その流れを作ったのが、ベッキーと川谷絵音の“ゲス不倫”だ。
スクープしたのは、'16年1月7日発売の『週刊文春』だが、その前夜、ベッキーは会見を開き、こう釈明した。
「記事にありましたように、2人でお食事に行かせていただいたこともあります。そして、お正月に長崎の(川谷の)ご実家にお邪魔したことも事実です。ただ、お付き合いということはなく、友人関係であることは間違いありません」
週刊誌の記事内容は、前日には各メディアに広まるため、先手を打って“言い訳”をしたのである。
ところが、文春は二の矢三の矢を用意していた。翌週号(14日発売)では、川谷夫人のインタビューを掲載。翌々週号(21日発売)では、ベッキーと川谷のLINEでのやりとりを公開した。
べ《友達で押し通す予定!笑》川《逆に堂々とできるキッカケになるかも》べ《私はそう思ってるよ!》川《ありがとう文春!》べ《センテンス スプリング!》
このやりとりがベッキーの会見前日のものだったことから、ふたりは完全にトドメを刺された。“友人関係”というのが真っ赤な嘘だとバレてしまったからだ。不倫の言い訳がここまで見事に覆された例は後にも先にもない。
なお、ベッキーが会見した夜には、川谷もFAXでこんな釈明をしていた。
《このような形でご報告することは、いつも応援していただいているファンの皆様に対して、申し訳ない気持ちでいっぱいですが、私、川谷絵音は、昨年の夏に一般女性の方と入籍しておりました。ベッキーさんとは、親しい友人としてお付き合いさせていただいておりましたが、既婚の身でありながら、私の軽率な行動によって、このように世間を騒がせる事態となりましたこと、深く反省いたしております》
不倫報道によって、結婚したばかりの妻の存在が公になるというマヌケな状況。この展開を仕掛けたのは夫人サイドだともされるが、たしかに何かしらの復讐はしたくなるところだろう。
このあと、ベッキーはテレビからしばらく干されることに。レギュラーだった『世界の果てまでイッテQ!』のMC・内村光良は復帰へのエールを送ったが、この人もかつて、テレビ朝日の徳永有美アナと不倫をした過去がある。類は友を呼ぶ的な印象しかもたらさなかった。
言い訳も擁護も役に立たないあたりが“ゲス不倫”たるゆえんだろうか。
【5】太川陽介(当時58)
「カミさんだもん、僕は信じる」
元アイドルで、旅タレントとしても知られる太川陽介。その妻・藤吉久美子がテレビ局プロデューサーとのダブル不倫を報じられたときには、その代表作がいろいろといじられた。
スクープした『週刊文春』は、藤吉が相手のマンションに行くのに使った交通手段に引っかけて『「路線バス」で不貞へ』というタイトルをつけ、彼女がその前にキックボクシングのジムに寄り道していたことから、それを“途中下車”と表現。また、ワイドショーはヒット曲『Lui-Lui』の「眼を醒ませよ」「きみ 食べられちゃうよ」の部分をBGMとして流した。
とまあ、その時点('17年12月)で結婚から22年というベテラン夫婦だったこともあって、メディアもどこか興味本位だったが、これに対し、太川は会見で、
「カミさんだもん、僕は信じる」
と、キッパリ。数時間後、藤吉も会見を開いて「彼に守ってもらわないと生きていけない」と涙ながらに訴えた。これにより、いわゆる元サヤにおさまったわけだ。
が、面白かったのはその3か月後、藤吉がテレビに復帰したときの姿だ。夫のやっている番組のライバルでもある『路線バスで寄り道の旅SP』に登場。メインの旅人である徳光和夫と「何でもなかったんでしょ?」「もちろんです」というやりとりを交わしたあと、カラオケに寄り道した。そこで彼女は、なんと石川さゆりの『天城越え』を熱唱したのだ。
その選曲について「火に油を注ぐような不倫の歌を歌うなんて」とツッコミを入れる徳光。しかし彼女は「今、主人と2人で週2回カラオケに行っていて。彼が選んでくれました」と平然と答えた。どうやら太川が、うまいと褒めてくれたらしい。不倫はダメだが、不倫ソングならOKということだろうか。また、彼女にとってはこんな歌も聴かせられるくらい夫婦関係はもう盤石なの、というアピールだったのかもしれない。
ただ、このふたりのケースはひとつの教訓を示してもいる。不倫という“途中下車”をしても、その先にある峠を“越え”なければ修復も可能だということだ。とはいえ問題は、峠の場所が夫婦それぞれで、その見極めが極めて難しいことなのだけど。
【6】小室哲哉(当時59歳)
「普通の男性としての能力というのがなくて、精神的な支えが必要だったと思います」
'18年1月、女性看護師との不倫を報じられ、会見を開いた小室哲哉。その内容は異例なものだった。'02年に3度目の結婚をしたKEIKOがくも膜下出血から高次脳機能障害を患い、その介護による疲労、そして自身の体調不良から、サポートをしてもらっていた女性だと説明。それでもケジメをつけるとして「音楽の道を退く」と宣言したのだ。
いわば、自らの音楽家生命とひきかえに言い訳をしたかたちで、当時は文春砲に一矢を報いたとも評された。が、この会見で最も効果的だったのは、この発言だったかもしれない。
「本当にお恥ずかしい話ですが、5年、6年、普通の男性としての能力というのがなくて、精神的な支えが必要だったと思います」
かつて三田村邦彦が高橋かおりと不倫した際「みなさん、エッチしたかどうか聞きたいんでしょ」と挑発(?)したことがあったが、不倫において肉体関係の有無は重要だ。その興味をシャットアウトしたうえで、同情を誘う意味でも有効だった。
しかし、彼は作詞作曲のできるミュージシャンだ。この手の人たちには、音楽で言い訳することも多い。
例えば、桜井和寿は吉野美佳と不倫した際、週刊女性の直撃に「僕はいい人なんかじゃない」「僕が帰る家は、彼女(吉野)と一緒の家です」などと答えつつ、マスコミ向けFAXでは、
《Mr.Childrenの音楽を好きでいてくれる人達には、音楽を通して答えていきたいと思います》
と表明した。実際、この時期のミスチルにはそういう感じの作品が目立つ。なかでも吉野との再婚直後に発表された『安らげる場所』は自分が別れを繰り返してきたのは君と出会うためだった、という趣旨の都合のいい言い訳ソングである。
それ以上にすごいのが、布袋寅泰。高岡早紀とのダブル不倫の際にコメントした「いやぁ…火遊びが過ぎました」も有名だが、その8年前には不倫関係にあった今井美樹に『PRIDE』を歌わせ、その後の略奪愛成就のイメージをかなり浄化してみせた。
小室にしても、全盛期には華原朋美に自分への愛を歌わせたりしていたものだ。この会見は“男性として”だけでなく“音楽家として”の能力も枯渇したことを告白したという、せつなすぎるものだった──。
言い訳だけじゃない──会見でにじみ出る人間模様
不倫会見がスターを生むこともある。先日、川崎麻世との離婚が成立したカイヤがそうだ。
'93年、川崎が斉藤由貴と不倫。斉藤は前年、尾崎豊と不倫したばかりで「本当に学ばない人間なんだな」と会見で自嘲した。一方、川崎は会見で「僕と彼女は恋人ではない」と釈明したが、彼以上に注目されたのがカイヤだ。
夫の不倫会見に同席するだけでも異例なのに、数メートル横で腕を組み、仁王立ちでガン見する姿が話題に。ここから鬼嫁・恐妻家という構図ができ、ふたりはお騒がせ夫婦として意外な人気を博していく。
その11年前、夫婦で会見を開き、似た構図で笑いをとった(?)のが峰竜太と海老名美どりだ。妻の隣で「もう2度と浮気はしません」 と、峰は平謝り。この、女性に頭が上がらないイメージは後年『アッコにおまかせ!』の司会などに活かされることになる。
平謝りする者、開き直る者……それぞれの“釈明”
こうした構図は、芸人の不倫でもよく利用される。'14年にグラドルと浮気をした浜田雅功は、メディア向けのFAXで《羽根を伸ばしすぎ、その羽根は家族にへし折られました》とコメント。「迷惑をかけない遊びは大いに結構」という妻の言葉に甘えすぎたという意味の言い訳だ。
吉本の後輩・宮迫博之も恐妻家キャラでピンチを乗り切ってきた。特に'17年、ふたりの女性との不倫が報じられたときには、雑誌の直撃に「えー、オフホワイトです」と説明。クロではないが、シロともいえないといううまい返しをしてみせた。が、昨年の闇営業問題により、過去の女性関係までクロっぽい印象に変わってしまったのは否めない。
また、会見で泣きながら謝ったのが大鶴義丹だ。'03年、自宅へほかの女性を招き入れ、そこに帰宅した妻・マルシアが鉢合わせ。しかし、大鶴は6人で飲んでいて、たまたま1人女性が残っていただけとしたうえで「僕が悪い」「謝りたい」「土下座してもいい」「マーちゃんごめんね」と訴えた。それも実らず、翌年離婚する。
そこへいくと、歌舞伎役者には強気な人も。坂田藤十郎は中村鴈治郎時代の'02年、 51歳年下の舞妓との不倫が発覚した。それも、ホテルで下半身を露出している写真まで撮られるという、人間国宝にあるまじき失態だったが、会見では「お恥ずかしいなあ、私が元気だって証明くださって」と豪快な切り返しを見せた。妻の扇千景も「問題じゃない」とフォロー。梨園の美学が世間の常識をねじ伏せたかたちだ。
中村芝翫も橋之助時代の'16年、芸妓との不倫が発覚。会見では何を聞かれても「私の不徳のいたすところでございます」を繰り返し、その数は25分間で8回にも達した。さすがは幼少期から稽古してきたとあって、何か決め台詞を言うのはお手のものなのだろう。妻の三田寛子も「家族5人で頑張ります」と語り、事なきを得た。
大衆演劇のスター・梅沢富美男もなかなかのものだ。バラエティー番組では、これまでの浮気の数を「80回!」と豪語。ただし「私は遊びです」ということで、本人的には「不倫」ではないらしい。また「全部バレた! もう全部!」だそうで、妻には「飽きないの?」とあきれられているという。
そんな梅沢が本格的な不倫をして会見を開いたら、どんな言い訳をするのか。ちょっと聞いてみたいかも!?
(寄稿/宝泉薫)
ほうせん・かおる ◎アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)