週末の情報番組などの報道を経て、ひととおりできった感のある元SMAP中居正広(47)のジャニーズ事務所退所会見。
あらためて確認してわかったことは、質問をガッチリ受け止めているふうで微妙にかわした中居の“手練手管”と、深掘りしきれなかった取材陣の“技量の差”、だ。
「取材陣が最初から舞い上がっていましたね。ただでさえ、大きな会見の場合、メディアはテンション上がりぎみで臨むクセがあるのですが、そこをまず中居が上手く、くすぐった」と芸能記者。
中居の話術にハマるメディア
開始時間の15分前に突如、何の前触れもなく会見場に現れた中居に、カメラマンは慌てふためいた。大いにブレる映像をオンエアするテレビ番組があったように、身構える前に登場することで、さらに会場のテンションを上げ、自分との垣根をなくした。手には「フラッシュの点滅にご注意ください」という、テレビ画面のテロップに流れる決まり文句を書いたボード。おかしい。中居のうまさだ。
会見は、無制限に質問を受ける、というウェルカムのスタイル。そのことによって取材陣にすべて質問を吐き出させ、きちんと満足させる狙い。16時からスタートした会見だったが、番組収録が18時に設定されていたため、吉本興業の岡本昭彦社長の釈明会見のように、5時間越えになることは最初から想定されていなかった。にもかかわらず、無制限で質問を受けるスタイルを打ち出すことは、好感を呼ぶ。
質問に対し中居は、正面から答えたり、うまくかわしたり、一般論にすり替えたり、微妙なテクニックを駆使した。
「中居はうまいなぁ、と思ったのは、『新しい地図』と共演する可能性と、SMAP再結成、YouTubeで発信することについて触れたところ。中居は『1%から99%』の間と可能性について触れていますが、単なる一般論でしょ。0%、100%と言い切らなければ、そういうしかない。中居の発言を受けてメディアは、『SMAP再結成もある』と喜び勇んで報じた。確かに見出しとしては見え映えがいいんでしょうが、中居の術中にはまっている感じですよね」(情報番組デスク)
肝心なことに対しては、口を割らないのも中居の手だ。
SMAPの不仲説が出た当時の報道については「なんで知っているんだろう」と笑わせ「不仲でいいんじゃないですかね」「信用する人は信用していいし」とけむに巻いた。
2016年11月にテレビ番組『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)で生謝罪したことについては「覚えていない」と前置きし、当時のコメントについて「あれ以上でもあれ以下でもない」と、これまた何か言っているようで何も言っていないロジックを駆使している。まるで、小泉進次郎環境相並みだ。
悪のりするメディアにピシャリ
中居が唯一、言いよどんだ場面があった。『新しい地図』の3人の退所がメディア出演の機会を奪われたことに対し、中居は現在のレギュラー番組が継続することについて聞かれたシーンだ。
両者の違いを聞かれた中居は「ん?」「違い?」と言い迷った後、「まあ(番組が)終わることがあるんじゃないですか」と一般論に落とし込んだ。
SMAPの楽曲『世界に一つだけの花』の作者、槇原敬之(50)について話が及んだ際は、「やってはいけないことはやってはいけない、このひとつに限るんじゃないですか」と、またしても言葉を駆使しての一般論でかわした。
テレビ司会者やコメンテーターらは、こぞってこの会見を「成功」とたたえた。それは否定できないが、成功したのは「会見」ではなく、「中居の対応」である。
ところどころ、中居による記者いじりもあり、笑いの絶えない会見はおしまいまで盛り上がり、メディアもハイテンションが続いた。
それに冷や水を浴びせかけたのも中居だ。
記者が「(取材陣と)記念撮影やりませんか?」と、卓球の福原愛選手が引退会見で「記念写真を撮りませんか」と、マスコミとの撮影を言い出したことをたとえに、中居に記念写真を持ちかけたのだ。
福原選手の場合、自分から申し出たもので許されるとしても、メディア側から記念写真を申し出るなんて、図々しいというか、明かに悪のりだ。
中居は「その思いやりはないです!まったくない!」とピシャリ。
最後まで中居が株をあげ、それをマスコミがアシストした会見だった。
<取材・文/薮入うらら>