稲垣吾郎 撮影/吉岡竜紀

「不思議なんですよね。演技経験のなかった僕が初めて出演させていただいたのが“朝ドラ”で、ひとつの転機を迎えて環境が変わった中で、初めての連ドラがこの作品。僕が出演することが決まってSNSで話題にしていただいたりと、“朝ドラ”は影響力がありますし、何かご縁みたいなものも感じていて。

 地上波の番組に限らず、これからもいろいろと挑戦していきたいですし、またひとつ地図を広げることができると思うので、しっかりと演じていきたいなと思っています

 稲垣吾郎(46)が約30年ぶりに“朝ドラ”に帰ってきた! 間もなくクライマックスを迎える連続テレビ小説『スカーレット』(NHK総合 [月〜土]朝8時〜ほか)で、医師の大崎茂義役で出演し話題に。『青春家族』(’89年)以来の“朝ドラ”に「そんなに時間がたったのかって感じです」と懐かしみ、当時を振り返った。

「会社のみんなでオーディションに行ったんですが、ライバルを抑え僕が見事に受かりました(笑)。それで出演が決まったんですが、わからないことばかりでしたし、“思ったとおりにセリフを言ってお芝居をすればいいのかな”ってナチュラルに演じていたんです。

 そうしたら、両親役の橋爪功さんといしだあゆみさんが、それをすごく褒めてくださって。当時はまだ15〜16歳でしたし、仕事で褒められたことなんてあまりなかったんです。本当にうれしくて、“これからも俳優としてお芝居をやっていきたい”と決意させてくれた作品でした」

草なぎ剛&香取慎吾に声かけすべきでした

 演じる大崎は、白血病と闘う武志(伊藤健太郎)の主治医。その母・喜美子(戸田恵梨香)と武志を精神的にも支えていく重要な役どころだ。

「大崎は白衣を着たがらなかったりと、ちょっと風変わりな医師なんです。白衣を着ないと最初のころは医師になった気持ちになりづらかったので、コスプレって大事だなって思いました(笑)。

 この先は、武志くんの白血病と闘っていく喜美ちゃんたちの物語が中心になります。それは死をテーマにしたものではなく、どう生きていくかが描かれていきます。その思いを芯に持って、ヒロインたちを支え、生きる希望を与える存在になれればと思います」

 今回の出演を「新しい地図」の2人はどう思っているのだろう?

「そうですよね、一緒にいれば聞かれる質問なのに、まだ話せていなくて。2人に声をかけておくべきでした(笑)。

 でも、2人とも応援してくれると思いますし、草なぎ(剛)くんは愛犬のクルミちゃんと一緒に早起きしているから、毎日見てくれると思います。香取(慎吾)くんはなんせ夜更かししますから、寝る前に見てくれるんじゃないかな、と(笑)」

大阪での思わぬ出会いに……

 そんな稲垣は、大阪での撮影の合間にこんな初めての冒険をした。

「昨日、たまたま撮影が夜だけだったので、散歩に出かけたんです。大阪の街は歩いたことがないので、土地勘がなかったんですよ。でも、NHKの楽屋から大阪城が見えるから近いぞと思って出かけて、初めて間近で見て感激しました。大阪城ホールでコンサートをやったりと、近くにはよく行っていたんですけどね(笑)。それからまだ時間があるので、“梅田は知ってる”と思って調べたら歩くのは難しく、電車に乗って大阪駅のほうへ」

 そこで、こんな出会いが。

「駅ビルにデパートがあって、信楽焼が売っていたんです。この作品に携わって、興味が湧いていたんですよ。それで、マグカップを衝動買いしようとしたんですが、“食器はかさばるから、家に何があるかを確認して買おう”と、なんとかとどまって(笑)。そこからまた電車に乗り、途中駅で降りて散歩して戻りました。すごく楽しかったですし、歩かないとやっぱり頭に地図って入ってこないですよね。すごくいい経験になりましたし、また機会があれば歩いてみたいです」

稲垣吾郎 撮影/吉岡竜紀

教えて! 撮影ウラ話

「戸田さんをはじめ初共演させていただく方が多く、最初は転校生みたいな気分でした。でも、みなさんあとから参加する人にすごく気遣いをしてくださって、楽しく撮影ができました。また、“朝ドラ”は撮影しなければいけない量がほかの現場より多いんです。なので、衣装をどんどん着替えたり、急に本番になったりと、撮影のテンポが速い感じが約30年前と変わってなくて、懐かしさを感じました」

■来週(第24週)の連続テレビ小説『スカーレット』

 白血病と闘う武志のために奔走する喜美子や八郎(松下洸平)は、ドナー検査を受ける。しかし、2人とも骨髄移植ができないことが判明。すると、照子(大島優子)や信作(林遣都)も家族とともにたくさんの人が検査に協力してくれることに。一方で、喜美子は大崎から白血病患者の会を紹介してもらうことになり……。喜美子たちの運命はどうなる!?

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