「今年に入ってから美智子さまと電話でお話ししたところ、声のトーンが普段よりも低いように感じられました。やはり、ご体調がまだ悪いようなご様子だったので、少し心配ですね……」
そう話すのは、美智子さまの知人女性。
2月中旬から風邪の症状があった上皇さまだが、現在は回復されてお元気だという。しかし、一方の上皇后さまは昨年から崩しているご体調が全快されていないそう。
「昨春以降から続いている体重の減少がまだ止まらないことに加え、心臓への負荷を測る検査項目で、心不全の診断指標である『BNP値』が高い状態が続いておられます。
昨秋には血の混じる嘔吐が数回ありましたが、天皇ご一家とお住まいを入れ替えるため、日程ぎりぎりまでお引っ越しの準備作業を朝から晩まで行われています。
お代替わり後に受けられた、白内障や乳がんの手術で予定が多少遅れたこともあり、お休みなく作業されているので、周囲は“お身体に障らないか”と心配しているのです」(宮内庁関係者)
前回のお引っ越しでのお荷物が、2tトラック約100台分。今回は、平成の在位中に所有物が増えているので膨大な量の荷物を運ぶことになる。
そして、いよいよ作業も終わった3月19日から『高輪皇族邸』に、おふたりの荷物が運び込まれる予定。運搬作業が終わる3月31日までの約2週間、上皇ご夫妻は静養を兼ねて“2か所”に滞在されるご予定だが……。
ハードな移動をどう過ごされるのか
「まず、神奈川県三浦郡にある『葉山御用邸』で数日過ごされたあと、東京まで車で戻られます。それからすぐに東京駅で新幹線に乗り換え、今度は栃木県・高根沢町にある『御料牧場』に移られる予定で、それぞれの場所での滞在は半分ずつの日程になります。
葉山からわざわざ御料牧場に移動する理由は“葉山御用邸でのご散策がしづらいから”とのことです。
しかし、1度のご静養で2か所に滞在されること自体が“異例”ですし、長い移動距離と、まだ気温の低い御料牧場に行かれるのは、ご体調に不安がある美智子さまにとっては負担になると思うのですが……」(同・宮内庁関係者)
上皇ご夫妻が最後に御料牧場を訪れたのは'16年。その前が'11年と'08年なので、数年に1度のペースだ。葉山や那須にある御用邸には毎年のように訪れているため、御料牧場へ行かれる頻度が低いのはなぜなのだろうか。
「そもそも御料牧場とは、上皇ご夫妻や天皇ご一家などの『内廷皇族』の日常のお食事や『宮中晩さん会』、『園遊会』で使われる牛乳や肉、卵などの食料品を生産している場所で、静養目的でつくられた施設ではありません。
総面積252haという広大な土地で、職員は化学肥料や農薬をなるべく使わずに、伝染病などにも細心の注意を払いながら日々、勤務しています」(皇室担当記者)
美智子さまは今回、体力的に大きなご負担をかけて御料牧場に足を運ばれるのだが、つい最近、お心を痛められる出来事も起こってしまった。
美智子さまのお心遣い
「皇室の護衛や皇居の警備を担う皇宮警察の学校『皇宮警察学校』の実習先だった那須御用邸での懇親会で、昨年6月以降、未成年の新任護衛官が飲酒を繰り返していたことが最近発覚しました。
男女4人の護衛官が酒を飲んだ後、みだらな行為にも及んだそうで、容認していた学校長は退職することになったのです」(同・皇室担当記者)
今年2月には、現在の天皇ご一家の護衛にあたる男性護衛官が新潟県に出張した際、宿泊先で同僚の女性護衛官の入浴をのぞき見する事件も起こっていた。皇宮警察が起こしたこれらの不祥事に、美智子さまもさぞ、残念がられていることだろう……。
皇室を長年取材するジャーナリストで文化学園大学客員教授の渡邉みどりさんは、美智子さまの現在のご心境を次のように推測する。
「お引っ越しの準備や、体調を崩されることもある上皇さまのサポートで、美智子さまの疲労は体力的にも精神的にも、そうとうたまっておられると思いますし、身内の方も心配していらっしゃると聞いています。
さらに最近、皇宮警察が起こしてしまった不祥事で、皇室のイメージが悪化してしまったことに対しても、お心を痛めたり、ご体調にも障られているかもしれません」
それほどまでにご体調が心配される中でも、“異例スケジュール”で御料牧場を訪れるのは、美智子さまが抱かれている“とある思い”が関係しているようで──。
「御料牧場の牧場長や次長などは、東京の本庁への異動や訪問の機会がありますが、そのほかの職員は現地で採用されるため、皇居や赤坂御用地への異動はありません。
そうなると、牧場職員は必然的に、皇室の方々とお会いする機会が少なくなり、皇室にかかわる仕事をしているという意識がどうしても薄くなってしまいます。
特に、上皇ご夫妻が御料牧場に滞在される機会は、ほかのご静養先と比べても少ないので、美智子さまは“牧場職員を直接ねぎらいたい”というお心遣いで、今回の日程にされたのでは」(侍従職関係者)
“職員をねぎらう会”が開かれる可能性も
美智子さまと同世代である前出の渡邉さんも「今回のご移動は大変なこと」と語る。
「いくら車や新幹線に乗られるとはいっても、ご高齢でいらっしゃるので、間違いなくお疲れになると思います。しかも、今回は皇居から葉山、さらに葉山から栃木県の御料牧場へと移動が多いということであれば、なおさら大変です。
そんな大変なことなのに2か所に行かれる予定なのは、これまで御料牧場に行かれる頻度が少なかったことで、お代替わり後に牧場の職員に直接ご挨拶をされたかったのでしょうね」
宮内庁OBで皇室ジャーナリストの山下晋司さんは“職員をねぎらう会”が開かれる可能性を示唆する。
「御料牧場で働いている職員は、皇室の方々とお会いする機会がほとんどありませんので、ご訪問を楽しみにしていると思います。ご滞在中は貴賓館でゆっくりされるでしょうが、散策されたり、牛や馬などをご覧になったりもするでしょうね。
また、今まで支えてくれた御料牧場の職員にお会いすることも今回のご訪問の目的ではないかと思っていますので、職員一同をねぎらわれる場もあるかもしれませんね」
時代が変わっても、美智子さまの“慈しみの心”が変わることはないようだ。