2月28日、シャープがマスク生産を始めると報じられた。誰もが“総合電機メーカーのシャープが、なぜマスク?”と思ったはず。
「時期はお話しできませんが、経済産業省から、マスク生産の要請をいただきました。クリーンルームを持つ私どもであればできるのではないか、と」(広報部担当者、以下同)
クリーンルームとは、温度や湿度を保ち、外部からのゴミが極力入らないよう室圧を制御した部屋のこと。
「中国で新型コロナウイルスが広まった際、親会社にあたる鴻海(ホンハイ)精密工業が、現地でマスク生産を検討し、2月に開始しています。なので、私どもにも不可能ではないだろう、と。シャープは、みなさまのおかげで今があり、私たちがマスクを作ることで社会貢献ができるのではないかと考え、決断しました」
2月から社内での協議や調整が始まった。鴻海にマスク生産のノウハウやアドバイスを聞くこともできた。しかし、
「マスクを作るのは初めて。新たな機械の導入など、非常に短期間で準備をしなくてはならず、苦労の連続でした」
生産が三重工場に決まった理由は、
「液晶ディスプレーを作っている工場なのでクリーンルームがあるうえ、使用していないスペースもあったからです」
24時間態勢で生産されている
世界的にマスクの材料も不足しているが、経済産業省や材料メーカーが一丸となり、確保できているという。
マスクの生産が始まったのは、3月24日。
「商品名は『不織布マスク』。非常にシンプルですね(笑)。1箱50枚入り、個別包装はされていません。当面は日本政府に優先納品します。シャープ製のマスクが実際どこで使われているかは、私どもは把握していません。でも、いちばん必要なところに届いていると信じています」
ドラッグストアやスーパーでは買えないの?
「予定はありません。日本政府への納入が落ち着いた後に、当社のサイト(シャープココロライフ)で販売予定ですが、時期や価格は未定です。いち早く、みなさまにお届けしたいのですが……」
現在は24時間態勢で、1日15万枚が作られている。今後は製造装置を増やし、1日50万枚が目標だ。
「1日も早く新型コロナウイルスが沈静化することを願いながら、国内のマスクの安定供給に少しでも貢献できるよう、今後も精いっぱい努めます!」
目のつけどころ、その心意気がシャープでしょ。