人気ドラマシリーズから不朽の名作まで――。昨今ドラマ界を席巻しているのが、海外で人気を博した作品を“日本版”として、新しく作り直したリメークドラマたちだ。
今期ドラマもリメーク作品はめじろ押しで、『SUITS/スーツ2』(フジテレビ系/毎週月曜夜9時~)も米人気ドラマシリーズが原作であり、日テレ系で放送予定の『未満警察ミッドナイトランナー』もまた、韓国映画が原作。リメーク作品の面白さは、いったいどこにあるのだろう? 注目作のスタッフにそれぞれ聞いた。
日本人の心に通づるもの
米ドラマシリーズ『コールドケース 迷宮事件簿』をリメークした'16年のドラマ『コールドケース〜真実の扉〜』(WOWOW)。未解決事件の真相を解決していく様子を描いたもので、今年冬にはシーズン3が放送予定だ。岡野真紀子プロデューサーいわく、原作ドラマには“日本人の心”にも通ずる点があったためリメークに至ったという。
「この作品は科学捜査の説明や、事件の詳細というよりも“この人はなぜ死ななければならなかったのか”というテーマに重点を置いています。事件を掘り下げていくと、家族や恋人同士で繰り広げられるさまざまな“感情”がきっかけとなっていて、シンプルな理由が根底にあるんです。日本版でもその要素は大切に取り入れたいと思いました」
日本ならではの設定
またリメークするにあたり、独自に取り入れた要素がドラマに新しい風を吹き込んでいる。今年放送予定のドラマ『逃亡者』や『24JAPAN』を担当する五十嵐文郎チーフプロデューサーも“日本独自の面白さ”を追求した。
「『逃亡者』では主人公を匿う女性を配置しました。またその女性にもしっかりした人生の背景を作り、逃亡者とのヒューマンなやりとりができるようにして、日本人ならではの情緒感を描き、アクションドラマにとどまらない作品に仕上げています」
『24JAPAN』(テレビ朝日系)は、原作ドラマのシーズン1で“米国史上初のアフリカ系アメリカ人大統領”が誕生するまでの24時間を描いているが、日本版はよりリアリティーのある設定に。
「日本に大統領はいないので、日本ならではの設定としてテロのターゲットを女性総理大臣候補に変更し、“日本初の女性総理が誕生するかもしれない”という総選挙当日の出来事として描いていきます。また、日本の現状に合わせた映像になるように、衣装、小道具、撮影場所の雰囲気なども大切にしています」(五十嵐さん)
原作にリスペクトを込めつつ、日本の価値観や雰囲気に沿った作品として仕上げられるリメークドラマ。放送が始まる前に、原作もチェックして違いを楽しんでみるのもアリかも……!
それぞれの見どころは
今期放送予定の『未満警察ミッドナイトランナー』(日本テレビ系土曜夜10時〜)は中島健人×平野紫耀のW主演で注目を集める。警察学校で学ぶ“未満警察”の本間快(中島)と一ノ瀬次郎(平野)は“理論派×体力派”という真逆の性格。ある日、異例のタッグを組んだ2人は、警察学校で学んだ知識を駆使し、お互いの足りない部分を補いながら難事件を解決していく。原作は'17年に公開されたパク・ソジュン×カン・ハヌル主演の韓国映画『ミッドナイト・ランナー』。
『逃亡者』の原作は1963年からアメリカで放送され、爆発的な人気を誇ったテレビシリーズ。'93年にはハリソン・フォード主演で映画化も。1人の医者が無実の罪で死刑判決が下されてしまい、自らの手で真犯人を捜し出す本格サスペンス。
『逃亡者』
ハリソン・フォード 製作20周年記念リマスター版
ブルーレイ ¥2381+税/DVD ¥1429+税
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
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唐沢寿明主演『24 JAPAN』の原作は、米テロ対策ユニット捜査官・ジャック・バウアーが凶悪なテロ事件と戦う姿を描いたもので、1話で1時間、1シーズン24話で1日を描くリアルタイムサスペンス。
24-TWENTY FOUR- シーズン1
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20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
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アメリカは殺人事件に時効がないが、日本版は時効があるなかで繰り広げられるなど、独自の要素も多数。『連続ドラマW コールドケース3 ~真実の扉~(WOWOW)では、孤独と戦いながらも原作の主人公・リリーよりさらに自立した強い女性として、吉田羊演じる百合は描かれている。