日本でも必要に?“外出許可証”を持って車を運転するエンさん

「4月8日に武漢の都市封鎖(ロックダウン)は解除されましたが、すぐに家を出たい気持ちにはなりませんでしたね……」

 新型コロナウイルスの発生源である中国は湖北省武漢市での近況についてそう語るのは、ITライターのエンさん。

許可証がなければ外出不可

 1月23日に人口1100万人の都市が封鎖されてから、週刊女性に2度にわたってその様子を伝えてくれたが、まだ完全に日常が戻ってきたわけではないようだ。

「飲食店は基本的に営業していますが、まだデリバリーやテイクアウトが中心です。遊園地などの娯楽施設、カラオケ店、映画館、バーやナイトクラブなどはまだ営業できないので遊びに出かけることは事実上できません。

 教育では大学受験を控えた高校3年生の授業は再開していますが、ほかの学年はまだオンライン授業です」

 封鎖解除とはかけ離れた実態をエンさんが続ける。

「解除されたといっても、実は武漢を通り抜ける主要道路だけが解除されたのであり、武漢の内部はまだ厳重に管理されています。公共の交通機関などは閉鎖されていて、自由に街を行き来できるようになったわけではありません。

 外出するのであれば、(家の外で)体調確認を受けたうえで発行される許可証が必要になります」

 仕事の復帰にも書類が必要だという。

「多くの仕事やビジネスは再開されましたが、働く人たちには健康であるという証明書と復職許可の証明書が必要です。人が多く集まる場所は営業許可が下りないので、復職できない人も大勢います

 さらに、一連の疫病と荒療治は、市民の心に暗い影を落としているようだ。

「私も常にコロナに感染する不安はぬぐえず、毎日ニュースを見たりして、自分が感染しない方法を模索している状態です」

 許可証と覚悟。この2つを持ち合わせていないと、武漢では散歩にも出られない状態なのだ。

日本へ力強いメッセージ

“ゴーストタウン”だった封鎖時の武漢

 しかし、ロックダウンはやむをえない措置だったとエンさんは考えている。

日本の法律では、都市を強制的に封鎖することは難しいことのようですが、武漢での封鎖は、正しい決定だったと思います。

 この政策はウイルス感染の拡大を徹底的に抑制して、市民の健康と安全を保ちました。武漢市は約1000万人以上の人口ですが、感染人数は約5万人にとどめることができました」

 最後に、こんな力強いメッセージを寄せてくれた。

日本のみなさんは、これから大型連休があるそうですが、1か月間は家にとどまってください。出かけてはダメです。

 人との交流をとにかく避けてください!

 まずは辛抱して、感染拡大が下火になり、新薬が開発されたら、またすぐに元の生活に戻れると思います。遊びに行くのはそれからでも遅くないはずです」

 世界に脅威を与え続けるウイルスを克服しつつある都市の住人の言葉だけに、聞くべき価値はある。