記者会見する北海道の鈴木直道知事 写真/共同通信

「コロナが爆発的に発生し、全国に先駆けて2月に緊急事態宣言を出し、一斉休校を要請したのはよかった。安倍首相も休校要請はすぐにまねしましたからね。若いイケメンなのもいいですね」

 北海道の鈴木直道知事(39)のおひざ元・札幌市の主婦は、そう支持する。

寝食を忘れて夕張市のために献身

 知事に就任してからちょうど1年。最大の試練となった新型コロナ対策に奔走しているが、端正な顔立ちとは裏腹の苦労人だ。

「埼玉県出身の知事は高校時代に両親が離婚し、母親に楽をさせようと高卒で東京都庁に入庁。法政大学の夜間部で勉強を続けながら、ボクシング部にも入っていた異色の経歴です」(地元紙記者)

 2008年に都庁の職員として財政破綻した北海道の夕張市へ出向。

 1年で帰京したが、希望してもう1年、精力的に勤務。その後、都職員を辞めて、夕張市長選に出馬した。

「彼はふだんはおっとりしていて“天然”なんです。でも、いったん夕張市や政治のこととなると、シャキッとして堂々と自分の意見を述べる。寝食を忘れて夕張市のために献身的に働いてくれました。だから、先輩連中にも可愛がられたし、信頼されていましたね」(夕張市役所職員)

 北海道出身で、大手家具会社「ニトリ」の似鳥昭雄会長も鈴木知事を絶賛する。

「素直で人の話をよく聞き、実行力がある。市長就任後、全国で最も早くコンパクトシティー構想を打ち出したり、JR線廃止をしたり、判断・決断・実行力が素晴らしい」

 ニトリのモットーも備えた人間だという。

「百万人に1人の逸材ですよ。親の代から“政治には首を突っ込むな”が家言でした。商売に政治色が出ると、反対派に買ってもらえなくなるのでね。でも、もう私が惚れ込んでしまって」

 と知事の後援会会長まで務めている。

夫を支える幼稚園教諭の妻

 ’11年に夕張市長に初当選すると、年収250万円と日本一給料が安い市町村長として有名になった。

 当選から1か月後、かねてから交際していた幼稚園の先生・麻奈美さんと結婚することに。ふたりは飲み会で知り合ったという。

 麻奈美さんも選挙の準備段階から夕張入りして応援。選挙運動ではウグイス嬢も務めていたという。

「おとなしくて、控えめな幼稚園の先生。薄化粧で服装も質素な方です。知事が都職員を辞めて立候補することにも反対しなかったんです」

後援会の食事会で麻奈美夫人と(’19年12月)

 そう話すのは知事夫妻を知る主婦。

「“彼がやりたいことをやらせたい”という女性で、もし落選しても自分が幼稚園教諭として働いて支えていくとたくましい面ももっています。

 “都庁を辞めて市長選に出ますが、麻奈美さんをください”と言った直道さんを、彼女の両親もすんなり認めたそうですよ。素敵ですよね」

 しかし、元の同僚職員たちも招待した披露宴は突然のキャンセルになってしまった。

 当時、夕張市の消防本部で不祥事が発覚したため、市長として責任をとり自粛したのだという。

「かわいそうだったけど、麻奈美ちゃんはウエディングドレスのような派手なものは好きではないから、それほどショックはなかったみたい。地元では支援者数人でバーベキューをしながら祝いましたよ」(前出・主婦)

「あらゆるピンチをチャンスに!」が知事のポリシーだが、次はどんな策を政府より先に打つつもりなのか──。