自宅から出てきた志賀は少し顔色が悪く、疲れがにじみ出ていた

 俳優の志賀廣太郎さんが、4月20日午後8時20分に誤嚥性肺炎で亡くなった。所属事務所によると、2019年春に脳梗塞で倒れ、復帰に向けてリハビリを続けていたという。

激ヤセに心配の声

 志賀さんは、40年ほど前に結婚歴があるが、晩年は都心から車で1時間ほど離れた集合住宅にひとり暮らし、近所の人にもよく知られた存在だった。

「いつもチェックのシャツにジーンズ。普通のおじさんですね。映画やドラマにたくさん出ているからよく声をかけられてますよ。でも最近は痩せてきちゃって、ちょっと元気がないようです」

 2018年ころから、激ヤセした姿が目撃される。2017年10月に放送されたドラマ『陸王』(TBS系)では、老舗足袋屋の専務取締役「ゲンさん」を好演。しかし'19年1月から放送されたNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』の降板を発表。4月放送のドラマ『きのう何食べた?』(テレビ東京系)では、体調不良で途中降板に。その後、志賀さんは公の場で姿を見せることはなかった。

 すでに収録済みだった、'19年8月のドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season〜』(TBS系)に出演していた当時、ネットでは、《痩せすぎで心配なんだが》《声も飛ばなくなってるし。どこか具合が悪いのかな。。。》と、その激ヤセぶりも話題になっていた。

「大河降板のニュースがあったころに偶然お会いしたので聞いてみたら、“今はもう大丈夫”って。その言葉が本当だったらいいのですが、そのときはいつもより10キロくらいやせているような感じでしたから……」

 と、近所の住民もその姿に驚きを隠せなかったという。

 大河ドラマ降板を発表してからも、俳優業に加えて、都内の大学で非常勤講師として週1回、1コマ90分の授業を受け持ち、学生に演技を教えていたこともあったという。

 当時、そんな多忙な彼に真相を聞くため、週刊女性は直撃取材したことがある。

─体調不良で来年の大河ドラマを降板されましたが?

「今は完全に回復していますので」

─何かご病気とか?

「いやいや、疲れです」

─(どことなく顔色が悪そうで)かなりおやせになった印象ですが?

「元にどんどん戻ってはいます」

─いちばんおやせになったときで、どれくらい体重が落ちてしまったのでしょうか?

「……。ごめんなさい、電車の時間がありますので」

─ファンのみなさんも心配されているようですが?

「みなさんにご心配していただきありがとうございます。おかげさまでずいぶんよくなりました。仕事には支障がありませんので、ご安心ください。失礼します」

 そう言い残すと、タクシーで走り去っていった。

ドラマ『陸王』メンバーがお見舞いに

 その後、2019年4月に脳梗塞の疑いで緊急手術。当時、所属事務所に問い合わせると、

「すぐ退院ではなく、GW明けまで経過をみないとわからない状態です。回復には向かっていますが、その後のリハビリがどのくらいかかるか、俳優の復帰時期も見えていません」

 名バイプレーヤーに突然襲いかかった病魔。劇団関係者は、「普段からお酒もよく飲みますし、ヘビースモーカーでした」といい、普段の生活に周囲は心配していたという。

 また、自宅の最寄り駅から電車で20分ほどの行きつけの居酒屋ではこんな姿も。

「倒れる数日前にお店に来たときは、どことなくフラフラしていたので驚いてしまって。“昨日まで地方に行っていて飲みすぎちゃって……”と言っていました。去年の今ごろはグラスを持つ手がブルブル震えていたこともありました」(店の常連客)

 ’19年6月にはリハビリ施設に入り、これまで住んでいた自宅を出ることになった。

脳血栓の手術後に、右半身の麻痺(まひ)が残ってしまい、ひとりでは生活できない状態に。失語症にもなり、医師にすすめられて施設に入居したそうです。普段は入居棟の涼しい室内で、テレビを見たり、読書をしたりして過ごしています。移動はすべて車椅子で、ひとりで風呂にも入れないので、特殊浴槽で介護士の補助を受けて入浴しています」(劇団関係者)

 そんな中、何度も共演したことのある役所広司らがお見舞いに来たこともあったという。 

役所さんが志賀さんのお見舞いに来たのは7月下旬のお昼ごろ。阿川佐和子さんを含めた3、4人の『陸王』メンバーが同行したようです。2年前に共演した出演者が集まるのは珍しいことで、絆(きずな)の深さを感じますね。入居棟への出入りは騒ぎになる可能性が高いため、志賀さんとは来客用のスペースでひっそりとお話しされたようです」(同・劇団関係者)

 当時、志賀さんの病状を所属事務所に確認すると、

身体の麻痺は徐々に治りつつありますが、まだひとりで立つことはできません。ですが、失語症は医師が驚くほど回復していて、朗読やナレーションの仕事は来年春ぐらいの復帰を目指しています。役所さんの奥さまは志賀が講師をしていた大学の卒業生という縁もあり、お見舞いに来ていただいたんだと思います

 仕事復帰を目指していた、今年の春がすぎ、志賀さんは帰らぬ人となってしまった。晩年は病気とリハビリと闘う日々だったが、志賀さんの優しい演技は多くの人の心を打ち、世に受け継がれていく作品となって生き続ける。