NHKが仕掛けた“巧妙な交渉術”が、SMAP側を追い込んでいる。
ことの発端は、新型コロナウイルスによる、テレビ業界のコンテンツ不足にある。ロケやスタジオ収録ができないため、おのずと手は限られる。
「各局が再放送のために、出演者の所属事務所への許可取りをしていますよ」(民放・編成マン)
可能性、探り続けていきます
頼みの綱の再放送。NHKも例外ではなく、人気番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』は、視聴者から再放送のリクエストを募った。
「その中には、通常なら再放送は不可能だろうと思われる、SMAPが出演した回があったんです」
とスポーツ紙放送担当記者。2011年12月24日にBSで放送された『プロフェッショナル 仕事の流儀 SMAPスペシャル完全版』に対するリクエストが、「全体でぶっちぎりの1位だったそうです」(放送作家)
同番組の公式ツイッターは4月9日に、
《2006年1月の放送開始まで遡って、過去の傑作を再放送すべく準備を進めています。リクエストありましたら、是非お聞かせください》
と発信した。
そのアンサーとして同ツイッターは4月29日、
《たくさんの再放送リクエスト、ありがとうございます。特に#SMAPスペシャル! こんな時だからこそもう一度見たい…という気持ちは私たちも同じです。可能性、探り続けていきます。》
と表明したのだ。
前出・スポーツ紙放送担当記者が解説を加える。
「再放送の許可を取るためには、木村拓哉が残っている『ジャニーズ事務所』、中居正広が立ち上げた『のんびりな会』、稲垣吾郎・草なぎ剛・香取慎吾が所属する『新しい地図』の3か所が、首を縦に振らないといけない。NHKはツイッターで、3カ所と交渉すると宣言したのです」
とNHKのツイッターの真意を読み解き、その“圧”を次のように伝える。
再放送不可の場合、どこかが反対
「コロナ禍の異常事態の日本を盛り上げるために、SMAPの再結集が夢物語のように語られることはあるかと思いますが、所属事務所の意向よりメンバー5人の思いが交錯するため、再集結の実現は不可能に近い。ビートルズの再結成が何度もニュースになったけど実現しなかったことと同じです。
ところがすでに放送されたテレビの再放送となれば、それほど難しいことではない。立ちはだかるとしたら所属事務所です。NHKが交渉を明言したことで3か所に話は持ち込まなければならない。もし、再放送が叶わなければ、どこかが反対したことになる。それがいやなら再放送にOKを!というのがNHKの狙いですよ。結構エグイやり口ですよね」
世論を味方につけたNHKが押し切るのか、SMAPサイドが抵抗を試みるのか。
変な意地の張り合いをせずに、コロナ禍で弱っている日本のためにことがスムーズに運び再放送されることを心待ちにしたいところだ。
<取材・文/薮入うらら>