お笑いコンビ、ナインティナインの岡村隆史(49)が、4月23日放送のニッポン放送『ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン』で舌禍事件をやらかした。
新型コロナウイルスで不況になり貧困に見舞われる女性に触れ、
《収束したらなかなかのかわいい人が短期間ですけれども、お嬢(=風俗嬢)やります》《短期間でお金を稼がないと苦しいですから、3か月の間、集中的にかわいい子がパッと働いてパッと辞めます》
などと喜々としてトークし、リスナーに対し「だから今は(風俗行きを)我慢しましょう」と呼びかけてしまったのだ。
2008年にもあった歌姫の失言
「風俗は岡村の持ちネタ。『風俗野郎Aチーム』を自称しているくらいですからね。だから、どんな事情で女性が入店するかも知っている。そのことをまったく悪いと思っていないので、ホンネが出てしまったわけです」(放送作家)
『オールナイトニッポン』といえば、2008年にも舌禍事件を巻き起こした。発言の張本人は、歌手の倖田來未(当時25)。高齢出産に関連し「やっぱ35(歳)ぐらいまわると、お母さんの羊水が腐ってくるんですね」と言い放ったのだ。
「岡村のケースは生放送でした。放送作家が一緒にスタジオに入って、岡村の話に笑い声をあげていました。岡村と価値観が同じということです。
倖田の場合は、録音でした。つまり、その発言がまずい、と思えばいくらでも編集できた。それができなかったことは、ニッポン放送の危機管理能力の欠如を示しました」(前出・放送作家)
今回の岡村は生放送だった。だからタレントが不用意な発言をするリスクは避けられないにしても、放送中、もしくは放送直後に謝罪はできる。
「それがありませんでした。そればかりか、ニッポン放送側がいち早く岡村発言のまずさに気づいた形跡がない。というのも、オンエアが24日未明でしたが、ラジオを1週間さかのぼって聞けるアプリ“ラジコ”のアーカイブを取り下げたのは、27日の昼過ぎになってからです。メディアが騒ぎ出しても、しばらくは聴くことができましたから、少なくとも率先して局側が発言の危うさを感じ取っていなかったということです」
とスポーツ紙放送担当記者は指摘する。
時代とのブレに気づいていない
倖田のケースでも岡村のケースでも、周囲の誰もが本人たちの発言をスルーしてしまった。前出・スポーツ紙放送担当記者が続ける。
「スタジオに一緒に入っている放送作家はタレントさんと仲良しですから“ナアナアな関係”ですし、考えも似てしまう。じゃあ、どうすれば舌禍を避けられるのか? 世の中の空気をきちんと読み取れ、まともな物差しを持っているチェッカーの方に、収録にしろ生放送にしろ本番に立ち会ってもらうしかないですね。局内にそんな役割を担える人間はいません。似たようなカルチャーの人間が聴いたところで、チェックはできませんからね」
リスナーとパーソナリティーの関係が密で濃厚な深夜ラジオの時代は、とうに過ぎ去った。生であれ収録であれ、あらゆる発言がチェックされ、ネットにはアーカイブが残り拡散する時代。発信者は常に、多くのニュースやメディアに接することによって、変わりゆく世の中の価値観を自分の中で更新しなければならない。
怠れば、世間とズレる。
今回は、自分の発言が世間に受け入れられていると錯覚し続けてきた岡村の無知が、取り返しのつかない舌禍事件を招いた。
常日頃から岡村の無知、時代とのズレ加減を指摘するブレーンが周囲にいなかったことも大きい。
<取材・文/薮入うらら>