長谷川博己

「5月10日には第17話の放送を控えていますが、収録済みの“ストック”は後5話分を残すのみとされています。一部では《放送回数減らし年内終了へ》とも報じられましたが、あくまで予定通りの全44回を撮影して放送することがNHKの既定路線。大河ドラマとして異例の策に打って出るみたいですよ」(芸能プロ関係者)

 長谷川博己主演のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』が波乱続きだ。

 出演予定だった沢尻エリカの逮捕で出鼻をくじかれ、スタートが2週間遅れた矢先に新型コロナウイルスの感染が拡大。全ての撮影が中断されてしまったのだ。

「追い討ちをかけたのが緊急事態宣言の発令と延長で、5月31日まで撮影はできなくなりました。感染防止のためやむを得ない決断ですが、ただでさえ出演俳優が多く、また売れっ子を揃えている大河ドラマは撮影スケジュールを組むだけでも一苦労なのです」(テレビ誌記者)

 それでも、ただ状況を見守っているわけにもいかない。ここにきてNHKも再始動を図っている。

「緊急事態宣言の解除を見込み、約1か月の準備期間を経た6月29日の撮影再開を決めたのです。もちろん、“再延長”の場合はさらに後倒しになるとのことですが、各出演者のNG日を照らし合わせた撮影日の再調整が始まっています。

 そのため、例年は10月に撮了を迎えるのですが、今回は年末にずれ込み、最短のスケジュールで12月27日と想定しています。つまりは越年して2021年に最終回を迎えるのです。10月以降の出演者の予定次第では、脚本の変更もやむなしといったところでしょうか」(前出・芸能プロ関係者)

大河の歴史で唯一“越年”した作品とは

 これまで、年をまたいだ大河ドラマといえば、1993年〜1994年時に放送された『炎立つ』がある。しかし、この時は前後の大河『琉球の風』『花の乱』に合わせて、2年間で3本を放送する変則スケジュール。いわば計画的な越年放送だった。

 つまりは今回のように、アクシデントによる“越年”は初めてのこと。それでも、全44話をまっとうしたい理由があるのだという。

「たしかに放送回を減らして年内で終了させる、ということも話し合われたそうです。しかし、コロナの影響が出ているのは『麒麟〜』だけではないのです。GW明けにクランクイン予定だった、2021年の大河『晴天を衝け』が始動できていないのです。仮に年内で『麒麟〜』を終わらせたとしても、年明けに放送できる新作が用意できないかもしれないのです。

 また歴史物の大河ドラマは、数話分でも圧縮すればストーリーの重厚さが薄れてしまいますし、それは職人気質が揃う大河の制作陣が最も嫌うこと。また『麒麟〜』はここ数年と比べても視聴者からの評判がよく、NHKとしては44話全てを届けたい思いもあるんですよ」(前出・芸能プロ関係者)

 コロナ禍で何かとストレスを抱える日々。制作も視聴者も、納得できる面白い大河ドラマを作って欲しい。