いつの間にか芸能界を席巻している『藤岡家』。今年3月に藤岡弘、(74)の息子・真威人(まいと・16)がCMで“俳優”デビューした。ゲーム会社『セガ』の“アンバサダー”に就任し、『せが四郎(セガ、知ろう)』というキャラクターに扮している。セガといえば、藤岡は’90年代後半に家庭用ゲーム機『セガサターン』のCMに登場。演じた『せがた三四郎』は大きな話題となった。父子2代で、セガのイメージアップを狙う。そんな藤岡父子に自宅で話を聞いた。
息子として恥ずかしくない存在になりたい
─芸能界デビュー、おめでとうございます。
真威人「ありがとうございます!」
藤岡「幸運なことに、CMの話は先方からいただいたんです。こうした貴重な機会も“時が来た”ということでしょうね。少し早い気もしますが……」
藤岡が『仮面ライダー』に出演したときは25歳。今回デビューした真威人は若干16歳。
藤岡「時代が違いますからね。昭和、平成、そして令和。私のころは発展途上で、厳しい時代状況でした。今はすごいスピードで世界が動いています。われわれが生きたアナログな時代から、デジタルとなり、今やAI。運よく流れが来ているならば、それに任せるのもいいかな、と。それでまた、壁にぶち当たって、悩んだりしていけばいいじゃないかと思います」
真威人は、無骨でいかついマッチョな父親とは対照的な、さわやか美少年系イケメン。偉大な父の跡を継ぐ重圧はないのだろうか。
真威人「プレッシャーは、あります。普段から父に、過去の困難をどう乗り越えてきたか聞かされていて、息子としても恥ずかしくない存在になりたいと思います。ゼロから始まった俳優業ですが、父からアドバイスをもらいながら取り組んでいきたいです!」
子どもたち自らが「やってみたい」
真威人は昨年末に『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)の「初登場! 2世芸能人祭り」に出演。18歳の姉、14歳と12歳の妹もおり、この1年で、藤岡家の子ども全員がテレビ出演を果たしたことになる。
藤岡「昨年は令和元年。新しく日本の生まれ変わるタイミングなのでいいと思ったんです。子どもたちも新しい体験をして“やってみたい”と言っていたので。最近は家族問題で悲しい事件が多いじゃないですか。親が子を殺し、子が親を殺し……。動物の世界じゃ絶対にありえない。そのことに気づけなくなったわれわれは、いかに傲慢なことか。今までは、私だけが俳優として表現をしてきましたが、家族としてのメッセージもいいのではないかと思い、新たに踏み出すことにしました」
芸能界という厳しい世界に、子どもたちを放り出すことへの不安はないのか?
藤岡「映像の世界で生きるには公的な精神を持っていなければならない。世間に与える影響力は大きい。どう責任を持ちながら、自分を磨いていくかを考えなくちゃいけない。これから世間から厳しい目で見られる存在になります。今は何が起きるかわからない時代。さらわれたり、突然、刺されたりするかもしれない。この世のあらゆる危険に満ちたトラップから自分を守れる術は考えておけと常に話しています。何か起きたときは、私が教える実体験で得た実践と心で試練を乗り越えていってほしい。本当の優しさとは強さという基盤があってこそなんだと伝えています」
とはいえ、藤岡家では特に厳しい教育を行っているわけではないという。
藤岡「私と同じ道を、子どもに強いるのは違うと思うんです。私は昭和21年生まれ。戦後の大変な時代と今は違うので、同じことを言うのは無理な話。ただ、武道という道を通じて試練を与えたいという気持ちはあります。今、自宅の武道場を改装していて、子どもたちのための多目的スタジアムにして、修行の場にできるようにするつもりです」
柔道、空手、刀道、抜刀道、小太刀護身道など、あらゆる武道に精通している藤岡。これまで世界100か国近くを訪れて、紛争地域・難民キャンプなどで救援活動を行ってきた実績がある。そうした経験を次世代に伝えたいという思いがあるようだ。
藤岡「子どもにはどんな状況に追い込まれようとも、ちゃんと生き抜く力を伝えたい。いちばんやっているのは『サバイバル訓練』です。ナイフ1本で生き抜くにはどうすればいいか、自分がとったものをどのようにして食うか。魚のさばき方、ナイフの使い方、火のおこし方。キャンプで遊びながら伝えています」
コロナウイルスは『ショッカー』
父の教えを胸に刻んだ真威人は、どんな俳優を目指しているのか。
真威人「演技には、普段の心構えが出ると思います。日常の挨拶や礼儀を大切にして、自分の中の心を、まずは成長させていきたいです。ルックスで褒められるだけではなく、内面を高めていきたい。そしていつか、お父さんみたいになりたいと思います!」
やはり、尊敬する父がお手本なのだ。もちろん若い世代にも目標とする先輩がいて、中でも菅田将暉が気になっているそう。
真威人「音楽にもすごく興味があって、『BUMP OF CHICKEN』のライブに行きましたが、実は生でミュージシャンの演奏を聴くのは初めてでした。音楽ひとつで人を感動させられるんだと感激しました。昔からピアノは習っていましたが、最近はギターもやっています。音楽に触れる機会が多いので、役者のほかに音楽の世界にも飛び込んでみたいですね。今できる努力をどれだけやっていくかで、未来は変わっていくわけですから、時間を無駄にせず頑張りたいです!」
藤岡家では親子ゲンカはないという。藤岡は、息子の努力を後ろから見守っていく。
藤岡「私の生きざま、背中を見て、何かを感じて歩んでもらいたいと願っています。どんな過酷な状況になろうと、人生はサバイバル。あきらめない強い心で立ち向かえる人間に成長し、自分の夢を追って好きな道を進んでもらいたい。名のとおり、“真の威のある男”として……」
藤岡は、感染拡大が続く新型コロナウイルスにも立ち向かう姿勢だ。
藤岡「私は、コロナウイルスは『ショッカー』だと思っています。ショッカーが全人類に最後の挑戦を仕掛けてきた。彼らが最後の猛威をふるう兵器こそ、新型コロナだということです。今は時代の大転換期。全世界に対する“天の警告”が起きている。運命共同体の地球でいがみ合い、争いながら地球を破壊している。そのことに気づけよ、と。今、地球人が一致団結するチャンスだと思います。人種や民族を超えて、地球人類がコロナウイルスという大きな敵と戦うときなのです」
百戦錬磨の藤岡の言葉には強い説得力がある。父の背中を追う真威人も同じ気持ちだ。
真威人「僕も、いつまでも親の手を借りたままではダメなので、自力で乗り越えられるようになりたいです!」
強い信念を持つ最強の父子は芸能界の枠を超えて旋風を巻き起こしそうだ。