新型コロナウイルスの緊急経済対策として実施されている10万円の現金給付。
知らないと損する!
「これとセットで活用してほしいのが社会保険料の『特例免除』ですね」
そう話すのは、社会保険労務士の井戸美枝さん。
「コロナの影響で収入が下がった人は、国民健康保険料と国民年金保険料の減免や全額免除を受けられるのですが、条件に当てはまる人が意外に多いんです」
まずは、国民健康保険料。通常だと市区町村によって減免の条件などが違ってくるのだが、今回は国から指針が出ているため条件がほぼ統一されている。
「国民健康保険に加入する年金受給者や個人事業主などで、前年に比べて収入が7割以下になる見込みの人が対象です」(井戸さん、以下同)
さらに“年金など他の収入を合わせた前年の合計所得が1000万円以下”と、条件の間口はかなり広いが、ポイントは“見込み”でよいという点だと井戸さん。
「通常、健康保険などの減免措置は、収入の落ち込みを証明しなければなりません。ですが今はコロナによる緊急事態なので、減収幅は実際の額ではなく“見込み”でよいとされています」
例えば、年金をもらいながらパートで働いていた人が勤務時間を短縮されて収入が減った場合、
「年金とパートの収入を合わせた額が来月以降から昨年の7割以下になる予定でも、減免の対象となります。実際にはまだ減っていなくても、これから減る“見込み”でも認めてくれるのです」
各市区町村によって細かい判断の違いがあるので、1度、問い合わせてみてほしい。
免除が認められれば、令和元年度分、2年度分の対象期間の保険料を見直される。
「銀行などからの引き落としですでに納めてしまった場合でも、申請すれば払い戻してもらえるということ。さらに年金などを含めない前年の合計所得金額が300万円以下なら全面免除になります。これはかなり大きいですよね」
今は前述した給付金10万円を申請する人が役場に多く集まっている可能性が高い。まずは、市区町村の役場の国民健康保険担当部署に相談電話をかけることをおすすめする。次に国民年金保険料だ。
「今年2月以降に収入が減少した人が対象で、減免や納付猶予が受けられます」
しかも、収入がもっとも低かった月の金額が水準となる。例えば、新型コロナウイルスの影響で夫が突然、解雇されて収入が月5万円になってしまった場合、
「5万円を12倍にした額(所得)が見込みになります。このケースのように、収入が157万円以下ならば全額免除を受けられるのです」
必要書類は年金事務所で受け取れるが、日本年金機構のホームページからダウンロードすることもできる。不明な点があれば、市区町村の国民年金窓口に問い合わせを。
国民健康保険料は月2万円前後(年収300万円の場合)、国民年金保険料は月1万6540円。申請して免除されるならやらない手はない。
免除されるのはこんな人!
■国民年金保険料■
対象となる人→コロナの影響で今年2月以降に収入が減収
全額免除の条件→世帯所得が92万円以下(見込み) ※夫婦2人の場合。その他、条件あり
問い合わせ先→市区町村の国民年金窓口
■国民健康保険料■
対象となる人→コロナの影響で収入が昨年の7割以下(見込み)
全額免除の条件→昨年の合計所得金額が300万円以下 ※事業収入のみの場合。その他、条件あり
問い合わせ先→市区町村の国民健康保険課