新型コロナウイルスの影響で、自宅で過ごす時間が増えているが、実は夫婦・パートナーとの関係性は、健康に大きく影響する。
「亭主関白な人は、夫婦の立場が平等である夫より、病気などが原因で死ぬ可能性が、そうでない人より20%高く、事故や殺人で死ぬ可能性も2倍以上高いということがアメリカ・ミシガン大学の研究でわかりました。かかあ天下の妻も同様で、家庭においても権力を得ようとする人は、危険な行動を起こしがちで、ストレスも多くなる傾向にあります。心臓や脳の血管が収縮しやすく、心筋梗塞や脳梗塞になりやすいからではないかと考えます」(森田豊先生、以下同)
夫婦関係を円満に保つためのストレス解消法
慢性的なストレスは、これ以外にもさまざまな病気を引き起こす原因になるという。
「性格を急に変えるのは難しいと思いますが、思い当たる人は、言葉を変えてみるのがよいでしょう。例えば、相手を呼ぶときは“ねえ”とやわらかい語調に置きかえて。それだけでも、かかあ天下っぽさが減り、円満な空気感につながります」
男性も女性もお互いをいたわりあって、しっかりと愛情を伝え合うことが、健康的に過ごすために大切のようだ。もし、すでにストレスを抱えていたら? 森田先生が自宅で簡単にできる、とっておきのストレス解消法を教えてくれた。
「まず、おすすめしたいのは、コーヒーの香りをかぐこと。コーヒーの香りは、気分を落ち着かせ、安らぎの脳波であるアルファ波を高めてくれます。コーヒーには、カフェインによる興奮作用があるので、イライラしているときは、飲まないで香りだけを楽しむのがよいでしょう。杏林大学などの調査によると、グアテマラやブルーマウンテンはより効果が高いようです。また、セロリに含まれるアピイン、パセリのアピオール、玉ねぎの硫化アリルという成分による、強い香りもおすすめ。精神を安定させ、気持ちを静める働きがあります」
感動もの、悲哀ものの映画やドラマを見て涙を流す“涙活”も、室内でできるストレス解消法としておすすめだという。
「感動したとき、悲しいときに流す涙の成分には、ストレスを感じたときに分泌される副腎皮質刺激ホルモンが含まれていると考えられています。つまり、涙を流すことは、ストレスを流す行為ともいえるのです。事実、涙を流す前後で血液中の副腎皮質刺激ホルモンを測定したところ、涙を出した後にはホルモンの減少がみられたという東京女子医科大学の研究結果もあります。さらに、放っておくと脳細胞を死滅させたり、神経をボロボロにしてしまうコルチゾールというホルモンも涙と一緒に体外に排出できるといわれています」
外出自粛が長引き、家庭内で“コロナ疲れ”を感じたら、コーヒーの香りを楽しみながら、感涙物語で思いっきり泣いてみよう!
森田豊先生/現役医師として診療に従事しながら、メディアでの医療解説など医療ジャーナリストとしても幅広く活躍。ドラマの医療監修も行う