入手困難だったマスクがようやく店頭で見られるようになったが、感染予防にならない“ダメノ”マスクも多々あるようで─。「素材はガーゼより不織布を選ぶべき」と話すのは、聖路加国際大学・公衆衛生学の大西一成准教授。
「ガーゼタイプは織布で作られているため、布に格子状のすき間があります。髪の毛1本が通ったら、コロナウイルスの約800倍以上の穴があいているということです」(大西准教授、以下同)
全国マスク工業会のマーク
対して不織布は、文字どおり“織っていない布”。繊維を密着、またはからみ合わせた薄いシート状の布で、織布のように格子状のすき間がない。とはいえ、不織布マスクなら何でもいいというわけではなく、品質はピンキリだ。
「まず、パッケージに『全国マスク工業会』のマークがあることはひとつの目安です。一定の基準を遵守し、生産されたことを示しています」
ある大手コンビニでは、このマークがあるマスクだけを仕入れているという。次に見てほしいのが、実証データにある『PFE』のカット率。
「Particle Filtration Efficiencyの略で、フィルター部分を強い力で吸い込み、約0・1μmの試験微粒子をどれくらい捕集するかを試験した数値です」
1μm(マイクロメートル)は1mmの1000分の1。コロナウイルスの大きさは約0・1μmで、試験微粒子と同じ。
「パッケージに“95%カット”“99%カット”などと書かれています。この数値が高いほど、ウイルスを通さないということ。人間の呼吸力は試験時の吸引力ほど強くないので、ほぼ100%通さないと認識していいです」
基準以上に大切なのが“つけ方”
『VFE』や『BFE』という項目もあるが、
「同様の試験をウイルス飛沫粒子とバクテリア(細菌)で行ったものですが、いずれもコロナウイルスより大きいサイズのデータなので『PFE』を見ましょう」
この2つの基準を満たした不織布マスクを着用すれば、コロナ対策は万全!?
「そうではありません。性能と同じくらい重要なのがマスクのつけ方。ですが、パッケージどおりに着用しても、顔とマスクにはどうしてもすき間ができます。すると、空気は通りやすいほうに流れるので呼吸によってすき間はどんどん広がる。どんなにフィルター性能がよくても、ウイルスを吸い込む、まき散らす確率は跳ね上がってしまいます」
マスクの性能を100%発揮できている人はほとんどいないというが、
「それでもフィルター性能がよければ、感染したり、させたりすることを“ある程度、防げる”。そのぐらいで考えてください。マスクを着用しつつ、手洗い、うがい、ソーシャルディスタンシングを守るなど、トータルで感染対策を実践してください」
大西准教授は政府が配布したガーゼタイプのマスク、通称“アベノマスク”の着用時の性能も調べていた。
「格子状のすき間は200μmから500μmの差がある」
ウイルスを防ぐ率は0%~11%カットと、本家もダメノマスクのようだ─。