「まさか! まさか! 私たちがスキンケア商品のアンバサダーで再会するとは! この展開はまったく想像してなかった!」
ももいろクローバーZと元メンバーで女優の早見あかりが発酵スキンケア『SOPHISTANCE(ソフィスタンス)』のアンバサダーに就任した。5月24日には同商品の公式YouTubeチャンネルとTwitterでリモートトークライブを生配信し、その際に、早見が妊娠したことを発表して話題を集めている。
「『SOPHISTANCE』は5人が所属する芸能事務所のスターダストプロモーショングループが開発。昨年12月にオンラインショップで販売を開始した化粧品ブランドです。ファンやメンバーが待ち望んでいた元メンバーの早見さんとの10年ぶりのコラボが実現した背景には、所属事務所のブランドだったことが大きいでしょう」(レコード会社関係者)
タレントに合う商品を
事務所自ら開発
ももクロファンを中心に購入者が増加中の同ブランド。コロナ禍でコンサートやイベントが軒並み中止になるなど、大きなダメージを受ける芸能界だが、スターダストプロモーションのように他事業で本業の赤字を埋める芸能事務所も増えているという。
「福山雅治さんや佐藤健さんなどが所属するアミューズは、オリーブオイル事業に参入。同社のブランド『感動オリーブオイル』は100mlで2100円と高価ながら、品質のよさで『ウェスティンホテル東京』のレストランで使用されているほか、多くの高級スーパーで販売されるなどシェアを拡大中。利益を生み出す“アミューズの新たなスター”となっています」(スポーツ紙記者)
芸能事務所が他事業に参入する理由を、経済ジャーナリストの須田慎一郎さんはこう語る。
「芸能事務所は音楽などのコンテンツを生み出す以外に、タレントさんのイメージを使ってCMなどで稼ぐイメージビジネスが大きな主軸。イメージビジネスはかつてメーカーが主導権を握っていましたが、ネットの普及で実店舗がなくても商品が売れるようなったこともあり、“自社のタレントに合う商品がないのであれば、自分たちで開発しよう”という動きになりつつある。
今はSNSを使ってタレント自身が発信できる時代。ただタレントが広告に出て宣伝するよりも、彼らのキャラクターに合った商品を開発、販売するほうが説得力があり、ヒットに結びつきやすいんです」
一方で弱り目に祟り目といった状態なのが、EXILEなどが所属するLDH。コンサートが150公演以上中止になってしまっただけでなく、全国で16店舗を運営する飲食店事業や、ウエディング事業などがコロナ禍で大打撃を受けている。
同じくモーニング娘。らが所属するアップフロントエージェンシーも、アイドル部門のハロープロジェクトだけで230公演以上が中止に。関連企業の『花畑牧場』や飲食店も臨時休業を余儀なくされている。
生き残っていくためには……
予測不能の事態だったとはいえ、須田さんは、「古いビジネスモデルが通用しなくなってきた結果」と分析する。
「飲食店は初期費用が安く、タレントの看板があれば料理や商品の質がそこまで高くなくても儲かるてっとり早いビジネス。しかし今の時代、ユーザーも舌や目が肥えてきているので、ネームバリューだけでは通用しなくなりつつある。コロナ禍でビジネスの変化のスピードが早くなっただけで、今苦戦しているところは、コロナがなくても将来的にはダメになっていたでしょう」
芸能事務所も、これからは“時代を読む目”がより必要になってきそうだ。
「コンテンツの見せ方、マネタイズ化の方法もこれまで通りでは通用しない。最近はYouTubeに参入する芸能人も多いですが、地上波の劣化コピーのような番組しか出来ないならすぐに飽きられるでしょう。
一方で、今回のコロナ禍はビジネスチャンスでもある。僕が関わっているトークライブハウス『ロフトプラスワン』を例に上げると、これまではチケットと会場での飲食の売上げが収入の柱になっていました。しかし今回、有料配信にしてアーカイブで見られるようにしたところ、会場に足を運べなかった方たちが購入してくださり、売上げは3倍になりましたからね。古いビジネスモデルに捉われている事務所は今後、淘汰されていくかもしれません」(須田さん)
タレントをマネージメントしているだけでは、令和の時代は生き残れない!?