『青少年読書感想文全国コンクール』に臨席された際のご夫妻(2月7日)

「5月15日の夕方、突然のことでしたが『済生会中央病院』に宮内庁職員の方からお電話をいただきました。

 “秋篠宮ご一家と職員で、ビニール製の医療用ガウンを作ったので、これからそちらにお持ちします”とのことで、あまりのサプライズにたいへん驚きました。

 職員が届けてくださった段ボールには100着のガウンに加え、ご一家全員と職員5名の直筆メッセージカードも同封されていたのです」

 そう話すのは、社会福祉法人恩賜財団済生会』事務局の広報担当者。

済生会とは明治44年、医療によって生活困窮者を救済しようと、明治天皇が設立した日本最大の社会福祉法人

 全国で病院や診療所を運営している団体で、緊急事態宣言が解除された現在も、新型コロナウイルスの感染患者を受け入れるなど、今の日本医療界を支えている。

 秋篠宮さまは'13年4月から『済生会』の名誉総裁に就任されており、今回、ご一家全員でポリ袋と養生テープを使い、感染症患者を治療する従事者のために“特製ガウン”を作られた

5月15日に『済生会』に贈られたご一家の“手作りガウン”

 5月22日には、追加で200着のガウンを『済生会』の本部にプレゼントされたという。

 さらにもう1回、29日にも追加で200着のガウンが届けられたと話してくれたのは『済生会』の炭谷茂理事長。

「28日に宮内庁職員の方からお電話をいただいて、翌日の午前中にガウンを新たに200着と、メッセージカード2枚もちょうだいしました。これでガウンは合計で500着です緊急事態宣言は解除されましたが、まだまだ患者はいらっしゃいますし、ガウンは足りていない状況なので本当にありがたいです

眞子さまと佳子さまも同席される

 そもそも、このサプライズのきっかけは、5月11日に行われた『済生会』関係者らとのオンライン会議だった会議には、両殿下だけではなく、眞子さまや佳子さまもご出席し、関係者からの説明を熱心にお聞きになっていたという

「以前から、新型コロナウイルスについて何度かご報告はしていたのですが、3月27日に予定されていた秋篠宮邸への訪問が中止となり、5月11日に改めて1時間ほどのオンライン会議を行うことになったのです

 会議が始まる1時間前に“眞子さまと佳子さまも同席される”と伺って、たいへん驚きました。というのも、長年ご報告やご進講はして参りましたが、おふたりのご参加は初めてのことだったからです。

 会議中、質問や感想を話されていたのは秋篠宮ご夫妻のみでしたが、眞子さまと佳子さまも関心がお強いのだと感じましたよ」(炭谷理事長)

陛下のお誕生日行事で皇居に入られる眞子さまと佳子さま(2月23日)

 5月18日、済生会のホームぺージ上に、秋篠宮さまから全国の医療従事者に向けた、2000文字を超える“激励メッセージ”が掲載された。この“異例メッセージ”に関しても、オンライン会議中の会話が発端だったという。

「紀子さまからは、最後に“ご苦労なさっているのがよくわかりました。ぜひ頑張ってくださいね”とのおことばをいただきました。その中で、私から“メッセージを出していただけないでしょうか”とお願いすると、殿下は“わかりました。書きましょう”と即答してくださったのです。

 18日に届いたメッセージは長文で驚きました。職員は“大変元気づけられた”、“本当に励まされた”と感動していますよ」(炭谷理事長)

 実は、11日の会議中になされた紀子さまのご質問によって、今回の手作りガウンが贈られることになったそう。

「簡単に作れるものなのですか? 教えてください」

「中央病院から“ガウンが足りず、東京都のビニールのゴミ袋を使って手作りしている”と報告した際、両殿下は“足りないというのは困ったことですね”と、おっしゃってくださいました。

 その後、紀子さまから“(ガウンは)簡単に作れるものなのですか? 教えてください”といった質問がなされたので、翌日に看護部長から医療用ガウンの作り方を宮内庁にメールしたのです。

 病院側としては“あくまで参考までにご覧になっているのだろう”と考えていたのですが、3日後にガウンが届けられたので職員一同、驚きを隠せませんでした

 同封されていたメッセージに関しては、どれがどなたのものかはわからないのですが、署名のないものが秋篠宮ご一家のものだと伺っております」(前出・『済生会』事務局広報担当者)

 5月15日に寄せられた1回目のメッセージの中で、署名のないものを一部次ページに紹介する。

“コロナ”の風評被害を抑えるために

皆様の大事なお仕事に感謝しています。くれぐれもお身体をおたいせつに

最前線でたたかって下さる皆様に本当に感謝申し上げます。少しでも御負担を減らせるように、自粛を頑張ります。お身体に気をつけてください。本当にありがとうございます!

5月29日に『済生会』に届けられた“直筆メッセージ”。この中にご一家のおことばが?

 これらの激励とともに贈られたガウンは「そうとうな労力が必要だったはず」だと、『済生会中央病院』広報室の佐藤弘恵さんは話す。

慣れた人でも1着15分ほどかかりますし、3日で100着も作られたとなると、かなりのマンパワーが必要だと思います当日は、院長と看護部長が受け取ったのですが、病院一同、ありがたいという気持ち以外の何物でもありませんでした

 コロナに対するご関心の高さは、ご一家の“知識とご配慮”からもうかがえたという。

「コロナウイルスについて、かなり勉強されているようで、とてもお詳しく、具体的な薬の効果などについて質問されていました。その中でも、いちばん驚いたのは、私たちが新型コロナウイルスと口にしても、両殿下は必ずCOVID-19という正式名称を使われていたことです

 これはWHO(世界保健機関)が示した名称で、両殿下は“コロナ”という言葉が含まれた固有名詞などへの風評被害を抑えるために配慮をされていたのです。そういった意図にもたいへん感激いたしました」(前出・『済生会』事務局広報担当者)

 医療従事者に対する風評被害に関しても両殿下は心を痛められていたとこの広報担当者が続ける。

「コロナが蔓延する中、お子さんのいる看護師は保育所から“来ないでください”と言われ、病院内の会議室を臨時の学童保育として開設するほどでした。みんなは“病院に勤めている”ことを隠しながら仕事をしていて、“もう辞めたい”という訴えも出ています。“感謝してほしいとは思わないけど、せめて普通に扱ってほしい”と思います

 そういった状況をご一家にお伝えすると、殿下は代表して“大変なことですね……”とおっしゃって、病院関係者を思いやっていただきました。今回のガウンやメッセージにも、病院では“すごいね”、“ありがたいね”と、本当に元気づけていただいたのです」

 今後、コロナ騒動が落ち着いたころには、実際の現場に赴かれる可能性もある。

「現段階では、ご一家が視察されるご予定はありませんが以前起こった災害の際は、積極的に現場へ足を運んでいただきました。今後はそういった機会があるかもしれませんし、秋篠宮ご夫妻とも“今、自分たちができることをやりたい”という気持ちがお強いのは確かです」(炭谷理事長)

 ご一家が贈られた“3度のサプライズ”は、全国の医療従事者を勇気づけてくれたことだろう──。