老け顔の大敵、シミ。日ごろからケアしていると思っていても実は見落としているのが“横顔シミ”。40代、50代の女性は、顔全体のシミを5割以上も認識していないという調査結果が──。真夏に紫外線がピークを迎える前に、横顔シミを増やさないためのケア法と、シミ対策で注目の野菜・ケールを要チェック!
認識している倍以上の数のシミが横顔に
鏡で顔を見たとき、年齢とともに気になるのがシワ、たるみ、シミ。
特にシミは老け込んだ印象を与え、なかなか消せない厄介なもの。この老化の象徴ともいうべきシミのスキンケア「ケシミンクリーム」で知られる小林製薬の調査によると、シミの数は正面よりも横顔にできる“横顔シミ”がダントツに多いという。
同調査で40代~50代の女性60人に、自分のシミがどこにあるかわかるかを聞いたところ、全員が「わかる」と回答。しかし、そのうち直径6ミリ以上の大きなシミがあった46人の女性に、自分のシミをどれくらい認識しているか聞くと、実際に顔にあるシミの個数に比べ、認識している個数は半分以下。
自己認識とのギャップが明らかになり、自分が認識している倍以上の数のシミが、他人には見えている可能性がある、という恐ろしい結果が浮き彫りに。確かに通常、鏡で顔を見るとき正面は見るが、横顔は三面鏡を使うなど、意識的に見ない限り、見落としがち。
まいこホリスティックスキンクリニック院長の山崎まいこ先生によると、「加齢による老眼や白内障などで、自分の顔のシミが見えず、気づかないことも。白内障の手術をして、よく見えるようになった途端、美容に目覚める方もいます」とのこと。
横顔は無意識に日焼け止めが落ちてしまう
美肌の大敵、シミができる原因といえば、やはり紫外線。
「1年で最も紫外線量が多いのは7、8月ですが、実は4月からすでに中程度の紫外線量が降り注ぎ、冬の乾燥で水分を失い、角質が薄くなった春先の肌は、ダメージを受けやすくなっているんです」(山崎先生、以下同)
では、なぜ紫外線を浴びるとシミができるのか?
紫外線を浴びると、そのダメージから肌を守るために大量の活性酸素が発生。活性酸素は強力な酸化作用で有害物質を死滅させてくれるが、過剰な酸化は悪影響を及ぼす。この過剰な酸化から肌細胞を守るために、メラノサイトという細胞で作られるのがメラニン色素。
これは本来、紫外線ダメージから肌を守るための色素沈着で、新陳代謝によって肌の細胞が生まれ変われば、やがて元の色の肌へと戻る。ところが、加齢によって新陳代謝が下がると、この色素が残ってシミとなってしまう。
だから、シミを作らないためには、紫外線対策が肝心だ。特に見落としがちな“横顔シミ”を作らないためには、右ハンドルの車で運転することが多ければ顔の右側、オフィスのデスクの左側の窓から日差しを浴びやすければ顔の左側の日焼けに注意するなど、普段の生活パターンを振り返って、気をつける必要がある。
日焼け予防の手っ取り早い方法は、やはり肌の外側から日焼け止めを塗ること。
「実は、ほとんどの人が日焼け止めとして有効な量を塗れていないことが、最近の研究で明らかになっています」
“500円玉1個分”などと適量の目安が書いてある商品もあるが、表示どおりに塗ると、不自然なほど真っ白になってしまったりするので、ほとんどの人が適量よりも少ない量しか塗っていない。
しかも、自分が見えている顔の正面はちゃんと塗るが、横顔は正面を塗った余りをのばしてすませるなど、適切に塗れていないことも、“横顔シミ”が多くなる要因だという。また、横顔は髪の毛が当たったり、無意識のうちに触っていることが多く、日焼け止めが予想以上に落ちていることも。
仕上がりを重視するなら、少なめの量を塗って、こまめに塗り直すことが重要だ。外に営業に出る、買い物に行くなど外出する前には塗り直してから出かける。1日中、屋外で活動するときは2、3時間おきに塗り直すのが理想だ。
化粧はともかく、日焼け止めだけはしっかり塗る
また、「SPF50」など、紫外線防止効果を表す数値の高いものは使っているだけで安心しがちだが、数値が高ければいい、というわけではない。肌が敏感な人は、短時間の外出ならSPF20~30で十分だという。
「気をつけたいのは、あまり安価なものだと、塗った日焼け止め自体が紫外線を浴びて肌の上で劣化することがあるということ。効果が期待される時間まで、実際は効果が持続しないというデータもあります」
塗り方のポイントを押さえたところでローション、オイル、クリーム、パウダーなど日焼け止めにはいろいろなタイプがあるが、はたして、どれがいちばん効果があるのだろうか?
「一概にどれがいちばんとは言えません。乾燥肌の人はパウダーでなく、オイルかクリームタイプが最適です。逆にオイリーな人は、さっぱりタイプのローションが向いているなどベースの肌質によります。ローション、ファンデーション、パウダーの順にUVケア効果のあるものを数種類重ねて使えば万全です」
この春は新型コロナウイルスの影響で、マスクをつける人が急増している。
「マスクによる摩擦や過剰なムレで、ニキビができたり、湿疹、かゆみ、肌荒れなどの肌トラブルが悪化して受診する方が、患者さんの半数近くを占めています」
また、マスクで顔が見えないからと、すっぴんで外出する人もいるが、白いマスクは紫外線を透過して、日焼けしてしまうので要注意。
マスクの色は紫外線を吸収しやすい黒のほうがオススメだが、マスクをするときは、化粧はともかく、日焼け止めだけはしっかり塗ることが肝心だ。マスクでこすれると、いつも以上に日焼け止めも落ちやすくなるので、外に出るときにはまた塗り直す。
「夏場になって、強めの日焼け止めを使うようになると、洗い残しで毛穴詰まりを起こし、ニキビが悪化するパターンも。意識的にしっかりとクレンジングをしてください」
とはいえ、洗顔時に過剰にこするのは禁物。高価な洗顔料をケチって少なく使うより、リーズナブルなものをたっぷり使って、なるべくこすらないように、ソフトに洗うのがベスト。
皮膚科や美容クリニックに頼って
注意していたはずが、うっかり日に焼けてしまったら?
「まずはタオルで包んだ保冷剤などで冷やすこと。2、3日は肌の炎症を沈静化させるシートマスクなどを使って、集中的にケアしてください。ひどく日焼けしてしまった場合は、皮膚科などで薬を処方してもらうのもいいです」
日焼け直後からメラニンの生成が始まるので、放置せずに早めにケアすることが大事だ。
左右対称にシミができるときがあるが?
「肝斑(かんぱん)など、左右対称に出るようなシミは、一般的なシミというより、炎症反応やアザに近いものもあります。気になったときは、皮膚科や美容クリニックで診てもらったほうがいいでしょう」
紫外線が強くなる、これからの季節。しっかりとUVケアをして、自分では気づきにくい“横顔シミ”の予防を!
“美ベジ”ケールでインナーUVケア
美意識の高い女性たちが注目している、美肌の救世主「ケール」。身体の外側からの日焼け対策をマスターしたところで、身体の内側からUVケアする方法を引き続き、山崎先生から伝授してもらいました。
紫外線から肌を守るには、身体の外側からだけではなく、内側からもケアすることが重要。それにはシミのもととなる活性酸素を抑制する必要がある。
活性酸素は大量に生成されると、過酸化脂質を作り出し、シミばかりでなく、動脈硬化、がん、老化、免疫機能の低下などを引き起こす恐ろしいもの。紫外線によって発生する活性酸素の働きを抑制したり、取り除く“抗酸化物質”を含む食品を摂取することが有効だ。
なかでも、葉野菜「ケール」は、“スーパーフード”として近年、注目されている。
抗酸化作用のあるポリフェノールをはじめ、ビタミン、カルシウム、食物繊維が豊富で、インナービューティーに導く“美容食”として、ヘルシー志向の女性を中心に、愛用されている。
ビタミンCはグレープフルーツ約2個分、食物繊維はレタス2個分以上、カルシウムは牛乳約2杯分になる。
一見、美容には無関係なカルシウムだが、カルシウム不足で骨が弱くなると、周りの筋肉が衰え、肌のたるみにつながるので、抗酸化物質はもちろんのこと、カルシウムまで摂取できるケールは、まさに美容にいい野菜 “美ベジ”といえる。
効率よく栄養素をとるのは大変
ゴルフが趣味という山崎先生だが、シミひとつない美肌の持ち主。
「レストランなどでケールのサラダがあれば食べるようにしています。“ケール=苦い”というイメージが一般にありますが、ドレッシングが美味しいと、モリモリ食べられますよ」(山崎先生、以下同)
とはいえ、まだまだケールを売っているスーパーや、食べられるレストランは限られている。
ビタミンA・Eは油と一緒に食べるといい、ビタミンCは火を通さないほうがいい……など、効率よく栄養素をとるのは大変!
「そういうときは、ケールで作られた青汁などを買っておいて、定期的に飲むのがオススメです」
1990年代に“まず~い、もう1杯!”というキューサイのCMで知られるようになった青汁。近年は味も改良されて飲みやすくなり「粉末タイプ」「冷凍タイプ」など形態もさまざま。
青汁以外にも「飲む日焼け止め」といわれるようなサプリメントやドリンクも出ているので、こうしたものをうまく取り入れるのもいい。
「外で紫外線を浴びるような予定があるときは、その数日前から数日後まで抗酸化物質を集中的にとるといいでしょう」
そうすることで、体内の抗酸化濃度を高め、日焼けをしても、ダメージを最小限に抑えることができるそう。
日焼け止めを正しく塗ることで身体の外側から、身体の内側からはUVができる栄養素をとることが大切。肌にダメージが残らない“横顔シミ”のない美肌を目指しましょう。
(取材・文/小山内美貴子)