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 コロナ禍が吹き荒れた今年前半。「例年よりボーナスが下がる」「ボーナスがない」なんて人も少なくないはず。それでも、この時期に購入しておきたい家電がある。いったい何を買えばいいのか。後悔しないための賢い買い方を家電のプロに聞いた。

今月中に買うべきものは?

「今年の夏のおすすめは『お家を快適にする家電』です。今年の夏はすでに酷暑が予想されており、自宅で涼しく過ごすためのエアコンや暑いキッチンに立たなくてもいい調理家電はボーナスで購入を検討したい候補です」

 と話すのはIT&家電ライターのコヤマタカヒロさん。

 1円でも安く購入するためにはどうしたらいいのか。そのノウハウを聞いた。

「夏場に欠かせないエアコンや冷蔵庫を購入するなら6月ですね。安くはないですが、7月になるとボーナス商戦でみんな動くのでその前なら種類も選べます。後々になると在庫がなかったり、設置や配送が数週間先になる場合もあります。また、今月末には昨年の増税後のポイント還元が終了しますので、その前に買い換えをするのもアリです

 1円でも安く購入するなら底値になるのを待ったり、新商品のモデルチェンジ前、いわゆる『型落ち品』を狙いたい。購入前にはまず「新商品が欲しいのか、型落ちでもいいのか」を決めよう。

 型落ち品の買い時はモデルチェンジの前後。新商品が発表されて、市場に出るまでの間が狙い目だ。

「今年の春に新製品が出なかった商品は旧モデルが底値で売られており、すごくお得。冷蔵庫も意外とあります」

 今年は新型コロナウイルスの影響で各メーカーの新商品の発表時期も流動的だ。

 冷蔵庫は春先に新作が発表されボーナス時期までに発売されるので、夏前に型落ちが狙える。エアコンも秋~冬にかけて新作が発表されるため、7月末から値段が落ち、8月に安くなり、9月には売り切る流れだ。

「もっとも得なのは新商品と機能はほとんど変わっていないマイナーアップデートしかしていない家電。値段が半額になっている場合も。デザイン変更が問題なく、追加された機能は必要ない、と判断するなら型落ち品を選んでもいいでしょう」

 さらにメーカーが多く競合している製品をピンポイントで狙うのもひとつの方法。

「例えば400リットルの家庭用冷蔵庫などは競合も多いので、型落ち品でもさらに値段が下げられることもあります。製品の機能や価格などの情報をよく調べ、購入時に妥協できるポイントを決めておけば量販店での値段交渉もしやすいです

 しかし、型落ち品は新商品が販売されると店頭からなくなるため、購入が難しくなるのが難点。店に残っているのが数台ということも。家電量販店の『アウトレット店』を利用するのも手だ。

ボーナス時期の値下げテクニックとは!?

「家電量販店でのボーナス時期の値下げの有無は、何を買うか、商品次第ですね」

 下げられない商品や「新商品を5万円下げろ」は無理な話でも「型落ちでいい」「今、決めるなら」など切り出し方や交渉の次第では店頭価格より安く購入することができることもあるという。

「ネットに出ているような最安値じゃなくてもどこまで下げられるのかを素直に尋ね、交渉してもいいでしょう。“ポイントなしなら”とか、値段は安くならなくても“ポイントや付属品をつける”というような案を提示してくる場合もあります。また、商品単体での価格ではなく、付属品をつけたときの“総額で決める”のもありです」

安い海外ブランドの家電ってどう?

「これは物によります」

 ホームセンターなどに進出している新興メーカーの家電はおすすめできるもの、できないもので差があるという。

「サーキュレーターやテレビなどでシンプルな機能を求めるのならいい製品もありますが、多機能になるとおすすめできないものもあります」

 家電量販店でもよく見かけるようになったアジアメーカーの家電についてはどうか。

「安くても中身は日本のメーカーの製品を使っているものや日本に出しているのはプレミアム製品というメーカーもあるので、日本で買う分には問題はないと思います」

 ただし、注意したいのがAmazonなど通販サイトでの購入だ。キーワードで検索すると数年前の商品や、別のメーカーの商品も引っかかる。

「商品に詳しくないなら安いからと安易に飛びつくのは気をつけたほうがいい。特に名前も知らない海外メーカー。日本の新興家電メーカーでもデザイン重視、中身は海外の格安家電ということもあります。知識がないとネットでの購入は非常に危険です。

 特にエアコンや冷蔵庫のように毎日使用し、設置が大変だったり、安全性が求められる商品に関しては安さよりも信頼性を求めたほうがいいですね。その場が安くても、後々トラブルになることもありますから。あまり妥協せずに買ってください」

 どうしてもネットで購入する場合には、

「事前に欲しい商品を決めて、型番まで調べること。そして信頼できるショップで、その製品をピンポイントで買うことが大事です。ネットで購入して、届いても動かない、返品先もわからない、なんていうこともありますので」

いま購入を待つべきものは?

「今年は春に発売ができなかった製品が非常に多く、新製品発売スタート時の高い価格のままボーナス時期に販売されることもあるでしょう。そのため、発売後にすぐに売り切れてしまう商品や値段が下がらないものは別ですが、この先、値下がりするエアコンや冷蔵庫などの新商品は飛びついてすぐに購入すると後ですごく安くなっていて、がっかりする場合もあります

 しかし、古い冷蔵庫とエアコンは早めの買い替えを検討したい。というのも冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの家電は10年ほどたつと破損しやすくなるからだ。

「購入後10年くらいが買い替えのめどなんです。壊れてから買い換えるとなれば、すぐに購入できるものは限られてしまうので製品を選べない、設置されるまでにも時間がかかるので日常生活に支障をきたすおそれも」

 エアコンや冷蔵庫は夏場、室内や庫内を“冷やそう”と一気にモーターを回す。製品が古いとそのエネルギーは機体に負荷をかけ、故障の原因になることもあるからだ。

 酷暑の中、エアコンが壊れれば生命の危機にも瀕(ひん)する。コヤマさん自身も数年前の夏場にエアコンが壊れたことがあり、入荷まで2週間以上かかった経験があるという。

「夏場、エアコンは工事、冷蔵庫は搬入、その予定がパンパンになります。それだけ夏場は故障が多いんです。まだいけると思っているうちに買い替えたほうがいいです」

 電気代も同様だ。今の家電のほとんどが省エネ仕様のため、古い家電と比べると消費電力の差は大きい。

「エアコンや冷蔵庫は10年前のものと比べると電気代が半分くらいになっています。買い替え後の電気代が月1000円、2000円変わることもあります。それを加味したうえで買い替えると、お得感が出るかもしれません。もったいない、まだ使える、思い入れはあっても、古い家電を使っている人ほどもったいないなんてこともあります」

 また、購入時は高くても何年使うかで金額を割っていくとお得に思えることもある。

「例えば、炊飯器なら10年は使いますよね。10万で購入したとして、年単位で1万。月だと1000円弱。それで毎日おいしいご飯を食べると考えたらありかな、とも思えるんです」

調理家電で家事時間の節約を

 外食ができないぶん、自宅でおいしいご飯を食べるためにも欲しいのは『調理家電』。中でも『電気圧力鍋』と『電子レンジ』がおすすめだ。

夏の料理は暑くてキッチンに立ちたくないという人も少なくないでしょう。夏のキッチンは直火を使わないことがポイントです。電気圧力鍋はこれからは一家に1台あってもいいアイテムです。煮込み料理は冬のイメージがあるかもしれませんが、子どもたちが好きなカレーを煮込んだり、ローストビーフなど手が込んだ料理も作れます」

 というのも、夏場に長時間コンロで火を使うとキッチンはものすごく暑くなる。電気圧力鍋は室温を上げないため、快適な状態で調理でき、あとは炒め物などサッと作れば簡単に2品ができあがる。

 また、最新の『電子レンジ』は非常にスグレモノなのだ。

「パスタをガラスボウルに入れてチンするだけで簡単に作れる機能もあるんです」

 手軽で早いのが魅力で、お湯を沸かす時間、ゆで時間、ソースを準備する時間、電子レンジひとつですべてOK。

「火を見ていなくていいのでほうっておけて、その間に別のことができます。子どもでも調理できるので、夏休みのランチにもピッタリです」

 これまで昼食にパスタを作るなら30分はキッチンに立たなければいけなかったが、パスタ機能がついているレンジなら最初の5分~10分キッチンに立って準備するだけ。後はレンジに入れておけば調理してくれるのだ。在宅ワークなどで忙しいときにも心強い。

 ゆで時間を少し長く延ばせば麺も柔らかくなるので高齢者の食事にもぴったり。ボーナスで高齢の両親にプレゼントしても喜ばれるだろう。

「年2回のボーナス時期は、メーカーや量販店もそこに合わせて商品を集めますし、値段の勝負もかけます。目玉商品や、値段がちゃんと下がっている商品を見逃さずに出会えると幸せになれますよ」

【まとめ】
1.「型落ち品」や「アウトレット品」も検討
2.「底値」になるタイミングをチェック
3.増税後のポイント還元も利用したい
4.新商品の機能には特にこだわらない
5.量販店で買える海外ブランドも候補に
6.電気代を今より安くできるものを選ぶ
7.10年使うと仮定し、ひと月あたりの金額を出してみる

家族とお家で楽しむならコレ!!

 緊急事態宣言は解除されたが、子どもたちの夏休みも短いし、外出を控えて自宅でのんびり過ごそう、と考えている人は少なくないのでは。そこで最後に、お家で家族や友人たちと楽しく過ごすための、プロが選ぶイチオシアイテムを紹介する。

◎popIn Aladdin 2 (popIn)
「シーリングライトにプロジェクターが内蔵されており壁に映像が投影できます。AmazonプライムやNetflixへの接続もでき自宅に居ながら映画館気分の大迫力を楽しめます。ヨガやストレッチの動画を映せばスタジオ気分に」

◎ラクラ・クッカー(T-fal)
「炒め物もできる電気圧力鍋。火力が高くチャーハンなども作れます。具やソースが飛び散ることもなくお手入れも楽々です。煮込み料理で部屋も暑くなりませんし、1台でほとんどの料理ができるスグレモノ

◎BRUNOコンパクトホットプレート(IDEA)
「デザインも可愛くて人気のコンパクトなホットプレート。たこ焼き、ホットケーキからパエリアまで調理ができ、スチーマー、グリルなどオプションプレートも豊富。用途に合わせてチョイスできるのも魅力」


【PROFILE】
コヤマタカヒロさん ◎白物家電を中心にPCからAV機器を専門分野として執筆活動を展開するデジタル&家電ライター。AllAboutガイドも務める。米・食味鑑定士の資格を所有。調理家電のテストと撮影のための空間「コヤマキッチン」も用意。