※写真はイメージです

 財布のヒモを締めたまま、さまざまな病気を予防! テレビや雑誌でも活躍する有名ドクターにおすすめの健康法をうかがいました。

無理なく続けられる健康法

 適度に身体を動かしたりケアを行うことは、健やかな心身を保つために欠かせないこと。とはいえ、このご時世、お金や手間、負担がかかることはなるべくしたくないというのも本音ですよね。

 そこで今回、それぞれ第一線で活躍する4人のドクターに、お金をかけずにできる、おすすめの健康法を教えてもらいました。どの健康法も、今すぐ、誰でも簡単にできる、“ハードルの低さ”もポイントです。それでいて、ケアしたい部分だけでなく、全身の健康維持や美容効果まで期待できるといううれしい効果が!

 先生方はみな、「毎日続けることが大切です」とも。思い立ったらすぐできて、お金をかけずにできる健康法なら、続けることも苦になりません。いつもの習慣にプラスして、イキイキ、元気な毎日を叶えましょう。

【1.緑茶つまみ飲み】

カテキンがウイルスから身体を守る

 新型コロナウイルスをはじめ、インフルエンザなど感染症予防に欠かせないのが、こまめなうがいです。水でも、ウイルスを洗い流して感染リスクを減らすことはできますが、栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅先生がおすすめする方法は「緑茶でうがい」。

患者さんにすすめているのはもちろん、自分でも診察をするごとに実践しています。おかげでここ20年、風邪とは無縁です

 緑茶に含まれるカテキンには、抗ウイルス・抗酸化作用があり、ウイルスが細胞の中に入る・増殖することを阻害する働きが。さらに、濃いめの緑茶を少しずつ飲む「つまみ飲み」をすると、より効果的だといいます。

 新型コロナウイルスは基礎疾患があると重症化することがわかっていますが、その代表といえる糖尿病の予防・改善にもカテキンが役立ちます。さらにカテキンだけでなく、緑茶に含まれる他の成分の働きもあり、免疫力もアップ。全身の健康にもつながるので、毎日の生活に積極的に取り入れよう!

1.「つまみ飲み」の前にまずはこれ!「緑茶うがい」のやり方

 水でうがいをするのと同じやりかたでOK。緑茶うがいは、のどをガラガラしたあとに、そのまま飲み込んでかまいません。緑茶をそのまま飲むと、うがいでは届かなかった咽頭についたウイルスも流せます。そのウイルスは胃に送り込まれ、胃酸で消滅。

 こまめに行うのもポイントです。外出先から帰宅したときだけでなく、室内にいる間も1時間おきぐらいに行うと効果的です。

●違いは緑茶を使うだけ。いつものうがいのやり方でOK
●そのまま飲み込めば咽頭についたウイルスも流せる!
●カテキンが多く入った「濃いめ」の緑茶がより効果的

2.こまめに飲んでリスクを軽減「緑茶つまみ飲み」のやり方

 緑茶うがいのあとは、少しずつ緑茶を飲むようにします。緑茶によるウイルス洗浄に加え、のどを湿らせておくことで、ウイルスの増加を阻止することも期待できます。

 緑茶を飲む量は、午前中、午後に総量それぞれ500mlぐらい、湯のみなら2〜3杯ずつ程度が理想。飲めるなら、もっと飲むのもおすすめです。緑茶を煎じるのが面倒なら、ペットボトルのお茶でもOK。その場合、カテキンが多く入っている「濃いめ」を選んで。

 自分で緑茶を淹(い)れるときも、カテキンが多く抽出されるよう「濃いめ」を意識して。

 緑茶に含まれるカテキンのひとつ「エピガロカテキンガレート(EGCG)」は、ビタミンCの数十倍の抗酸化作用をもち、花粉症などのアレルギー症状も緩和。水出し、または70〜80度のお湯で淹れるとEGCGが多く抽出されることがわかっています。

●少しずつ飲んで、のどを湿らせておく
●午前と午後、それぞれ500mlほど飲むとよい
●ペットボトルでもOK。市販のものも「濃いめ」を選ぶのがコツ

緑茶はココがすごい!

 カテキンだけでなく、抗酸化作用のあるビタミンCやリラックス効果をもたらすうまみ成分のテアニンなども含む緑茶。さまざまな健康効果が期待できます。

●免疫力を高める
●血糖値の急上昇を抑える
●身体の老化を抑制
●糖尿病などの基礎疾患を改善
●脳にたまった老廃物を減らして認知症予防にも期待

【2.細胞の酸欠を防いで健康に! 細胞呼吸レッスン】

 いつもだるい、肩や腰が痛い、シワやたるみが……。これらの不調は細胞が息切れを起こしているせいかも。細胞が喜ぶ呼吸法を医師、医学博士の根来秀行先生が伝授!

呼吸に意識を向け細胞の元気をキープ

 根来先生によれば、

呼吸の真の目的は、肺呼吸に続いて全身の細胞レベルで行われる細胞呼吸にあります

 肺呼吸で体内に取り込んだ酸素は、食事から取り込んだ栄養素とともに毛細血管によって全身の各細胞に運ばれ、細胞内で燃やされます。そのとき発生するエネルギーこそが、生命活動の源。

 このプロセスが「細胞呼吸」なのですが、ストレスフルな現代社会の生活は、本来鼻ですべき呼吸が口呼吸になることで、細胞が呼吸しやすい環境とは言えないそう。しかも、細胞呼吸は加齢とともに働きが低下。特にエネルギーを大量消費する脳細胞は酸欠に弱く、脳が疲れると免疫力が低下したり、全身に不調が及んでしまいます。

 そこで意識したいのが、細胞にとっての“よい呼吸”。実は、呼吸のしすぎはかえってマイナスになるのだという。理想は、血中の二酸化炭素の濃度を適正に保つこと。そのために行いたいのが、鼻呼吸&腹式呼吸というわけです。

口呼吸になってない? チェックテスト

鼻呼吸が身につく「片鼻CO2呼吸法」

 口呼吸のクセがついている人も、毎日続けることで鼻呼吸が自然と身について、血中二酸化炭素の濃度も適正に。自律神経を整えることにも役立ちます。

【1】目と口を閉じ、右手の親指と人さし指で小鼻をつまむ
【2】人さし指を離し、親指で右の鼻の穴を閉じて、左の鼻の穴から5秒かけてゆっくり息を吐いていく。息はしっかり吐ききって
【3】そのまま5秒、息を止める(慣れるまでは3を飛ばしてもOK)
【4】人さし指を小鼻のわきに戻して親指を離し、右の鼻の穴から5秒かけてゆっくり息を吸っていく
【5】1〜4を5回繰り返したら、息を吐く側と吸う側の鼻の穴を逆にして、同様に5回繰り返す

 ※実は左右の鼻の穴は交代で働いており、左鼻で呼吸しているときはリラックスを促す副交感神経が優位になることがわかっています。緊張しているときは、左鼻で吐く呼吸を多めにして左鼻の通りをよくするとグッド!

イラスト/浅生ハルミン

 自律神経のバランスを整えるには、腹式呼吸緊張をほぐす「4・4・8呼吸法」が効果的。途中で息を止めることで、浅い呼吸で大量放出された血中二酸化炭素を正常に戻す呼吸法。幸せホルモンのセロトニンも分泌され、リラックス。詳しいやり方は写真ページにてイラスト付きで解説!

【3.のど・肺の“筋トレ”で声も身体も若返る! 1日3分音読筋トレ】

 のどは、呼吸する、ものを飲み込む、発声する役割をもち、免疫の最初の関門ともなる大事な部分。若さを保つカギは「声を出す」こと!

積極的に声を出して印象&健康アップ

 現在、メールやSNSの普及に加え、感染予防も相まって、“しゃべらない生活”が続いています。

「しゃべらないでいると、声は確実に老化していきます」と、池袋大谷クリニック院長の大谷義夫先生。のどの若さを保つには、積極的に声を出すことが重要。

 しゃべるときに使う呼吸筋には、加齢とともに弱り、使わないでいると急速に衰えるという性質が。また、年をとるとともに声帯も萎縮し、肺機能もダウン。さらに、発声と嚥下(えんげ)で使う筋肉はほぼ同じだから、むせる、咳き込む、飲み込みづらい、咳払いが多くなるなどの症状が増えるほか、誤嚥性肺炎のリスクが高まる、免疫力が低下するなどの弊害も。

 そこで、今すぐ始めたいのが音読。先生も40代から続けているそう。1日3分、声を出すことで、のどや肺を若々しく保ちます。

「のどの老化は40代から始まりますが、鍛えて若返らせることも可能」というから、今日から「音読」、始めましょう。

声を出すことのメリット

・「のど年齢」が若返り誤嚥予防
・睡眠中、唾液や逆流した胃酸が気管に流れ込む“隠れ誤嚥”も予防
・若々しい声と表情になる
・肺機能が高まり、肺が若返る
・血液中の酸素量が増え、全身が細胞レベルから元気になる
・気管に入った異物を、咳によって排出しやすくなる
・のどがうるおい、免疫力がアップする
・飲食物が飲み込みやすくなる
・唾液の抗菌作用や、口内を清潔に保つ作用で歯周病や虫歯、口臭を防ぐ

「のど年齢」テスト イラスト/アライヨウコ

さっそく実践「音読トレーニング」

 はじめは、読み慣れたテキストを使うほうがやりやすいでしょう。1回1分×朝昼晩3回を目安に、5つのポイントに気をつけながら行って。慣れたら新聞や好きな小説などに挑戦を。

●背筋を伸ばし、胸を張ったいい姿勢で読む
●腹式呼吸をしながら、ゆっくりと大きな声で読む
●滑舌よく、口をしっかり動かす
●ひと息を長く保つように意識する
●声帯を痛めないよう、のどに力を入れた発声方法を避け、あごを突き出さないよう注意

【おすすめ音読テキスト:『枕草子』清少納言】

 春は、曙(あけぼの)。やうやう白くなりゆく、山際(やまぎわ)すこし明かりて、紫立ちたる雲の細くたなびきたる。

 夏は、夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛び違ひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも、をかし。雨など降るも、をかし。 

 秋は、夕暮れ。夕日のさして、山の端い(はい)と近うなりたるに、烏(からす)の、寝所(ねどころ)へ行くとて、三つ四つ二つなど、飛び急ぐさへ、あはれなり。まいて、雁(かり)などの連(つら)ねたるがいと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音(おと)、虫の音(ね)など、はた、言ふべきにあらず

 冬は、早朝(つとめて)。雪の降りたるは、言ふべきにもあらず、霜(しも)のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持(すみも)て渡(わた)るも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、炭概・火桶(すびつ・ひおけ)の火も白き灰がちになりて、わろし。

(『枕草子ビギナーズ・クラシックス』角川文庫より)

【4.免疫もアップして全身イキイキ! 若返りウォーキング】

 最近、目が疲れやすい、身体がなんとなくだるいと感じていたら、老化が進んでいるサインかも。全身パッと若返る健康法をご紹介。

有酸素運動で若々しさをキープ

今、眼精疲労を訴える方や、身体が重い、気分が落ち込むなど、心身の不調を感じている方がとても増えていることが心配です」と、Y'sサイエンスクリニック広尾 統括院長の日比野佐和子先生

 家にこもりがちだと、目にも脳にも、そして全身にも悪影響。血行不良や自律神経のバランスの乱れが起こりやすくなり、その結果、免疫が低下し、疲れやすくなる、あちこちに痛みが生じるなど、不調を招きやすい身体になってしまうのだとか。

 日比野先生は、「今だからこそ、外に出て歩くことが最適な健康法です!」とアドバイス。

 適度な運動は、身体にとっていいことずくめ。野外でのウォーキングは目にたくさんの情報が飛び込んでくるので、脳も活性化されます。また、最近の研究で、歩く=有酸素運動をすることで免疫細胞のNK細胞(ナチュラルキラー細胞)が活性化するということもわかっています。

楽しみながら行うというのも、若返りの秘訣です

 では、実際の若返りウォーキングの効果を見ながらシュミレーションしてみましょう!

景色に目を向け、早歩きで1時間

 気軽にできるのに、さまざまな効果があるのが、ウォーキングのすごいところ。リフレッシュ効果も高いので、ぜひ日々の習慣に取り入れて。ただし、だらだら歩くのはNG。少し汗ばむ程度の早歩きを。視線を広く向けましょう! 歩きスマホはダメです!!

●目と脳の疲れを解消

 空や緑の木々などの色彩と変化のある景色を見ることで、目と脳によい刺激が与えられてリフレッシュ。また、ときどき立ち止まり遠くにある看板などを眺めたあとで手元や足先の草花などに視線を移すことを繰り返してみるのもおすすめ。目のピント調節をつかさどる毛様体筋が鍛えられ、視力回復にも効果が期待。

●免疫がアップ 

 ウォーキングなどの有酸素運動をすると、ウイルス感染細胞やがん細胞などの異常細胞をやっつけるNK細胞が活発化。免疫力が高まります。

●ストレスから解放される

 歩くことで、幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」の分泌が促進されます。自律神経のバランスが整い、気持ちも明るく軽やかに!

●脂肪燃焼力アップ

 コツは、大きく腕を振りながら歩くこと。肩甲骨のまわりやわきの下などにあり、脂肪を燃やす働きのある褐色脂肪細胞が活性化。

●歩くときには、これを忘れずに!
・人混みを避けるなど、きちんと感染対策を
・熱中症対策、水分補給をしっかりと
・紫外線対策も万全に。実は目からも日焼けします。日焼け止めはもちろん、UVカット加工のメガネやサングラスの着用もマスト!

家にいるときにオススメ「眼トレ」 イラスト/アライヨウコ

 家にいるときにはぜひ「眼トレ」を。“近く”と“遠く”を凝視して、目の毛様体筋の“緊張”と“弛緩”を繰り返すことで、毛様体筋を鍛え、こりをほぐす。近くと遠くを意識すれば、親指でなくてもOK。思いきり目を開け閉めする運動でドライアイの解消も。

(取材・文/長谷川英子)

監修協力:林田康隆先生 医療法人社団康梓会 Y'sサイエンスクリニック広尾 理事長・院長。日本眼科学会認定眼科専門医。主に大阪で難治性白内障手術や網膜硝子体手術などに取り組む傍ら肌再生療法や免疫療法にも携わる。


栗原毅先生 栗原クリニック東京・日本橋院長。前慶應義塾大学大学院教授。「血液サラサラ」の名付け親で生活習慣病予防に力を注ぐ。
根来秀行先生 医師、医学博士。ハーバード大学医学部、ソルボンヌ大学医学部客員教授、奈良県立医科大学医学部客員教授。最先端の医学研究で国際的に活躍。
大谷義夫先生 池袋大谷クリニック院長。医学博士、日本呼吸学会専門医・指導医、日本アレルギー学会専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医。全国屈指の呼吸器患者数を誇るクリニック院長。
日比野佐和子先生 医療法人社団康梓会 Y'sサイエンスクリニック広尾 統括院長。医学博士。眼科医、内科医、皮膚科医を経て、現在は日本抗加齢医学会専門医として、アンチエイジング療法、再生医療の第一線で国際的に活躍。