「以前よりも街でお見かけすることが少なくなっていて、体調が悪いんじゃないかと近所の人と話していました。最近は前より足取りがゆっくりになっていたので……」(近隣住民)
コロナ禍で姿が見かけられない?
6月11日に『東京アラート』が解除され、繁華街にも徐々に活気が戻ってきた。ホラー漫画界の巨匠・楳図かずおが住む都内のとある街も、休日になれば商店街に若者が押し寄せて、コロナ前とあまり変わらない賑わいを見せている。そんな中で、楳図の姿が見かけられないというのだ。
「長年住んでいる楳図さんは、駅前などを散歩や買い物で出歩くことが多く、ファンなどからの呼びかけにも快く応じるなど、住民から非常に親しまれています。外出時の格好は、プライベートでもテレビ出演時などと同じ、トレードマークとも言える赤白ボーダーの長袖Tシャツですね」(同・近隣住民)
そもそも、なぜ彼は赤白ボーダーを身に着けるようになったのか。
「少年時代に手塚治虫さんの『新宝島』を読んで、作品の中に出てくる海賊の姿に衝撃を受けたそうです。海賊が着ていたのが赤白ボーダーだったため、それ以来ずっと着ているといいます。その日の気分でボーダーの幅を変えるため、クローゼットには常に40着以上の赤白ボーダーが取りそろえられているなんて話も。“1日に3回、ボーダー姿の楳図さんに会えると幸せになれる”という都市伝説まであります(笑)」(テレビ局関係者)
'07年には、愛するこの街に建てていた自宅を改築。洋館風の豪邸なのだが、そのデザインがなんとも“楳図らしい”と話題になった。
「自宅の壁を、トレードマークの赤と白のボーダー柄にしたんです。『まことちゃんハウス』と呼ばれましたが、派手すぎる外観のため、住民から“景観を損なう”と訴えられてしまいました。しかし、外で会ってもにこやかに挨拶をしてくれたりするので、自宅の周辺に住む人たちからは悪い感情を持たれていなかったそうです。実際に裁判では、楳図さんの勝訴となりました」(スポーツ紙記者)
自宅をその色にするほど、愛した赤白ボーダーだったはずなのに、彼は現在、まことちゃんハウスからほど近いマンションに居を移している。自宅はまったく手入れをしていないのか、外から赤白が見えづらいほどに木々が生い茂り、外壁も煤けてしまっている。
「 “まことちゃん”など彼の創り出したキャラクターや作品はいまでも非常に人気なので、コラボ商品やコラボイベントは途切れることがありません。とはいえ、楳図先生の姿はそういったイベントなどでもお見かけすることがありませんけどね。近年は、ほとんど表舞台に出てきていないんじゃないですか」(漫画雑誌編集者)
上から赤・白・赤。マスクは白
御年83歳。コロナ禍のなか、彼はいま──。
6月上旬、記者が彼の現在の自宅であるマンションに向かうと、ちょうど楳図が出てきた。おなじみの赤と白のボーダーの長袖Tシャツ。かぶる帽子もスニーカーも赤。“赤と白”の不文律は崩したくないのか、上から赤・白・赤となるようにマスクは白。足取りも比較的軽やかに見える。
「お年がお年ですからね。以前より出歩くことは少なくなっていますが、お元気ですよ。よく昼すぎにパンを買って帰ってくるところにお会いしてご挨拶しています。本当にいつも赤白ですよね。マスクまで赤いときもありますよ(笑)」(同じマンションの住人)
前述の都市伝説を受けて、年に1度は“青と白のボーダー”を着て外出するという楳図。この姿を見ることができれば“特別な幸運に恵まれる”と言われているだけに、いつまでも元気でいてほしいけど──。