ちょっとしたきっかけで、好かれたり嫌われたりする芸能人。つい最近も、お笑いコンビ、アンジャッシュの渡部建(47)が、『週刊文春』に“テイクアウト不倫”を報じられ、世間に不快感をまき散らした。
不倫などが暴かれると、ワイドショーやネットなどでまずは叩かれ、そのうち「そろそろいい」とか「家庭の問題だからそっとして」などと、かばう声が上がり、いつの間にか世間の関心が次に移り、しばらくしたら世間も「もういいじゃない」という空気になり、元のポジション、あるいはそれに近いポジションに戻ることもある。
結婚当時、加藤茶68歳、綾菜23歳
不倫で叩かれまくったタレントのベッキー(36)、女優の斉藤由貴(53)も、いつまでも不倫報道が足かせになることはなかった(多目的トイレで女性との行為に及んだ渡部に、浄化の手立てがあるのかわからないが)。
この人のケースは、これと言った問題を起こしたわけではない。単に結婚をしただけなのに、世間のあらぬ誤解を招き、バッシングの対象になってしまった。
タレントの加藤綾菜(31)。夫は大御所タレント、加藤茶(77)だ。
2011年に結婚したが、その際の世間やネットの反応は、嫉妬が入り混じり、すさまじいものだったという。
「ネット上に妻の素性が、どんどんさらされました。新型コロナウイルスの感染者のプライバシーを暴く、コロナ禍における自粛警察に近いものです。住所や親きょうだいの情報がダダ洩れになり、引っ越しする事態に追い込まれたこともありました」(スポーツ紙芸能担当記者)
やっかみの元になったのは、45歳という年の差。結婚当時、夫68、妻23。
「その年齢差の事実だけで、財産目当て、保険金目当てと決めつけられました。例えそうであったとしても、きちんと物事の判断をできる加藤茶が合意しているわけですから、何の問題もないはずですが、世間の空気というのはどうも、おいしい思いをする人間に厳しい。それは嫉妬に近いもので、好感度で売っていたベッキーの不倫も、嫉妬のエネルギーが働いたと思います」(前出・スポーツ紙芸能担当記者)
薬物裁判で「介護を勉強したい」と述べた酒井法子
あれから約10年。
綾菜に対する評価がこのところ、ガラッと変わった。タレント活動の一方、介護の勉強を続けていたこと、「介護職員初任者研修(ヘルパー2級)」という資格を取得したこと。さらに介護を勉強するために通信制大学に入学したこと、実際に介護施設で働くと明かしたことが追い風になり、ツイッターには「応援したいよね」「当初の評価と完全に変わったよね」「すごく頑張り屋というか努力家だなってイメージ」といった絶賛のつぶやきが相次いだのだ。
「加藤綾菜は介護の資格を取ることで、本気度を示しました。それが正解! 以前、介護に専念するという美談で芸能界を引退した俳優がいましたし、女優の酒井法子は、“薬物裁判”の中で『介護の勉強をしたい』と訴えたが、いつの間にか霧消している。資格をダシにしていると受け取られれば、加藤綾菜の取り組みがあらぬうわさにかき消されることもありますからね」(ワイドショー芸能デスク)
加藤綾菜は以前、テレビ番組で「今後、10年20年先に加トちゃんが病気したとき、自分が何かやってあげたいと思ったから」と、介護資格を取ろうと思ったきっかけを語った。
配偶者の介護のために資格まで取ろうとする夫や妻は、世間にはそう多くはいない。そこには首を傾げざるを得ないが、
「少し彼女には、資格ハンター的なところがある。食育やダイエットなど、何かに夢中になるとその成果を資格という形で証明する。介護は確かに夫の老後にも関わることで、必要性を感じることはわかりますが、タレント活動をしながら介護施設で働き続けることは、あまり現実的なことではありませんから、資格を取ったからといって彼女が今後、介護施設で働くわけではない。そういうふうにとらえていれば、妙に期待を裏切られた感じにならないで済む。ファンもがっかりしないで済みますからね」(前出・ワイドショー芸能デスク)
とはいえ、年下の伴侶が、自分のために介護資格を取ってくれ世話を焼いてくれる。加藤茶にとってはこんなありがたいことはないだろう。老老介護や独居、孤食といったことに悩むことがないだけで、老コメディアンは笑顔で生きられる。
<取材・文/薮入うらら>