会見を開いた手越祐也と同席した高野隆弁護士

 ジャニーズ事務所を退所し、You Tubeのライブ中継で2時間に及ぶ記者会見に臨んだ手越祐也。コロナ禍における“ステイホーム破り”をしたことについて、“ジャニーズにいては叶えられない夢”のため必要な打ち合わせがあったと語りつつ、今後の活動については「(エンターテインメントで)世界ナンバーワンのアメリカも攻めていきたい」としている。……そんな真剣な話し合いに女友達とワインいる? という疑問こそ浮かべど、自分が悪いと思っていなければ謝らない、というスタンスがなんとも手越らしい。

 会見では今年の3月から退所にむけての話し合いを続けてきたという事実も明かしたが、さらに特に驚きだったのが、ジャニーズサイドから「弁護士をつけてくれ」との注文があったということ。

 それについて手越は「僕の方も弁護士とか、そこまで今まで経験が個人でないので、急きょ弁護士の方を付けさせていただいて」と話しているが、弁護士をつけて話し合っている時点で全然円満じゃなさそうじゃん……というのが正直な感想だ。

「となりの手越」

 そして、会見は記者との質疑応答コーナーに移った。司会者から紹介を受け、登場したのが顧問弁護士の高野隆氏。

 その登場シーンにたぶん、ライブ放送を見ていた100万人を超える視聴者は思ったことだろう。「宮崎駿のお出ましじゃん……」と。髪型・髪色・髭・髭色・メガネ・肌の色や質感──すべてが宮崎駿を構成する要素と似すぎていたのである。

 彼が着席することによって、途端に会見は“スタジオジブリ新作発表会見”の風景に様変わり。案の定、You Tubeのコメント欄は一瞬にして“宮崎駿似弁護士”についての反応で埋め尽くされた。“ジャニーズとの確執”について記者が追及しているにも関わらず、コメント欄ではそっちのけで《となりの手越》などと投稿し、大喜利をはじめる視聴者まで出る始末。

 しかし、この高野弁護士、調べてみると業界の超大物であることがわかった。あの日産前会長のカルロスゴーンの弁護も務めたそうで、あの作業員姿が話題となった“変装保釈劇”を指示したその人だという。

'19年3月、保釈するカルロス・ゴーン。周囲と同じ装いのほうが目立たなかったのでは……?

 業界では“保釈のスペシャリスト”と呼ばれる刑事弁護の凄腕らしい。退所のゴタゴタを釈放や事件のスペシャリストに依頼する手越……直近で逮捕される予定でもあるのかよ、って話だが、とにかくプロ中のプロに依頼していることがわかる。

  翌日のワイドショーでも高野氏を“刑事弁護界のレジェンド”とし、「今回同席するのはあまりに異例」だとか……。多忙であるに違いない彼をいきなり雇えるってどんな人脈を使ったんだ。

「円満退所」と「敏腕弁護士」

 高野弁護士が代表を務める法律事務所のホームページを閲覧してみる。当然ながら、弁護士報酬(料金表)についても記載されており、

・弁護士の稼働時間に応じた「時給制」

・稼働時間に関係なく、一定額をお支払いいただく「一時金制」

 このふたつのコースがあり、「時給制」の場合、《代表パートナー弁護士 ¥30,000~¥60,000/時間(消費税抜)》で、《その他の弁護士 ¥20,000~¥40,000/時間(消費税抜)》とある。

 一方、「一時金制(民事事件)」の場合だと、裁判外交渉の際は『着手金』が請求額の3~5%(最低10万円)。『成功報酬』が交渉で獲得した金額・勝訴判決で認められた金額を基準とし、獲得した額の10~20%(最低10万円)だという。ジャニーズとの間に金銭トラブルがあったという話が出ていないので、上記の稼働時間に応じた「時給制」を採用したと推測できそうだ。

 いったい、手越はどれくらいの料金を支払ったのだろうか。彼いわく、活動自粛を命じられて(5月26日)から弁護士を含めた話し合いが始まったというだけに、庶民からすればなかなかの額だろう。思えば、ほぼ置物状態だったあの会見にも時給が発生していたわけだ……! 

 そんな手越は会見で「すでに今年の3月の時点で退所の意思を会社のトップに表明していた」ことから、“いつ退所通告がきて無職になるかわからない”不安に駆られ、ステイホーム中にも関わらず外で会合をしたと説明している。また、シングルマザーの母についても触れてこう語った。

《僕の収入で母を扶養に入れているので、家族だったり、犬もいますし、家賃だったり生活費だったり食事っていうのは、僕の活動で家族を食べさせているというか生活させているので、僕が職を失ってニートになってしまうと、僕だけではなくて、家族が食べられなくなる。というのは、一家の大黒柱の僕としては、絶対にあってはならない状況じゃないですか》

 なんとも泣けるし、共感してしまう話だ。

会見後にライブ配信を行い、ファンの心をガッチリと掴む手越(『OPENREC.tv』より)

 が、「にしては1番価格の高い代表弁護士を雇っているじゃん」と考えるのは意地悪すぎるだろうか。もちろん生活の基準も各々異なるし、個人の問題なので他人がとやかく言う筋合いはないのだが。結果的に、“宮崎駿似”弁護士を雇ったことでNEWSファンからの非難の声も上がっていたコメント欄を“バルス”できたのだから、ある意味で最高の人選だったわけだし。

 しかしながら、会見で何度も「円満退所」と繰り返しているウラで、「わざわざ敏腕弁護士を雇っていた」という事実、そしてその意味についてはダークな考察をしてしまわずにはいられない。

 会見の終え、深夜にSNSでライブ配信を行った手越ファンの「なんで隣に宮崎駿おったん?」とのイジりコメントを拾い、「違うわ! 誰がもののけ姫だ!」とツッコミを入れると、彼はフフフッと不敵な笑みを浮かべるのであった──。

〈皿乃まる美・コラムニスト〉