新型コロナウイルスによって、見えない感染への恐怖心や不安感をあおられている人も多いはず。そんな人たちのために「感染を恐れない」ための著書を上梓した、米国でウイルス学研究に携わった自然派医師の本間真二郎先生がズバリ。これを知っていれば第2波、第3波があっても怖くはない!
熱は下げる必要ナシ
新型コロナに限らず、ほとんどの発熱には解熱剤は必要がないと考えています。熱が上がるというのは、免疫力を上げるための作用です。
解熱剤は、せっかく自分で上げた免疫力を下げることになります。
細菌やウイルスが熱を出しているのではなく、それに対処するために自分で熱を上げています。
ほとんどのウイルスは熱に弱いので、熱が上がることは、ウイルスを弱らせる、免疫力を上昇させる、その両方に作用します。
子どもや高齢者であっても基本的には熱を下げる必要はありません。
解熱剤を飲んで風邪が治るわけでも、新型コロナを退治できるわけでもないからです。
解熱剤は熱という症状を抑えているだけで、病気を治す目的からすると、免疫力を下げてしまい逆効果です。
子どもの場合、高熱によって脳炎や脳症が起こることを心配される方がいますが医学的にはありません。熱ではなく別の原因で脳炎、脳症という状態が起きて命にかかわってきます。
唯一、例外は熱中症です。延髄にある体温調節中枢が、高熱によって麻痺(まひ)し体温がどんどん上がってしまい命にかかわってくるので、急速に熱を下げる必要があります。
それ以外は、たとえ高熱であっても基本的には脳内に影響を及ぼし、後遺症につながるようなことはありません。
症状がつらい場合は、氷枕などを使ってマイルドに熱を下げるのがいいでしょう。
ウイルスが熱に弱いからといっても、暑い時期の新型コロナの感染については、高温多湿に弱い、弱くないと両方の論文があって結論には至っていません。
夏だから、高温多湿だから鎮静化するとはいえません。
インフルエンザと同レベルのリスク
感染症は常にふたつの側面をみる必要があります。私は2つの軸と言っていますが、自分の外(他者軸)と内(自己軸)です。
他者軸はウイルスを原因と考え、滅菌、消毒、抗菌、手洗いなどは、そのための対処。
自己軸は免疫力、抵抗力、解毒など、自分の内なる力です。この両方で考えることが必要で、外側からくる新型コロナに対して、感染を防ぐための対策として手洗い、マスクは意味があると考えられていますが、洗いすぎや石けんを使いすぎることで皮膚が荒れ、傷になって、そこから感染のリスクを高める可能性があります。
外側からの対策としては有効だけれども、やりすぎることで自分の内側からみると免疫力、抵抗力を下げていることも考えられます。どちらの観点でとらえるかということです。
新型コロナは、健康な人にとってはインフルエンザと同レベルだということがわかってきています。
そういうウイルスに対して、世の中が抗菌、除菌に神経質になっていることを危惧(きぐ)しています。
子どもたちが学校でフェイスガードをする、マスクをしていないとにらまれるような風潮は行きすぎているのではないかと感じています。
数か月にわたって連日、不安をあおるようなコロナ報道もあって何でも防御する思考になっている状態を、私は“コロナ脳”と呼んでいますが、そういう人は多いと思います。
徹底的に手を洗う、アルコール消毒、手袋をする、外出を控える、フェイスガードをつけるといったことは、現段階では基礎疾患がある人や高齢者といった感染リスクの高い人がやる対策です。
手洗いは、外出から帰宅したとき、食事をつくる前や食べる前、トイレのあと、あきらかに汚れた場合といった常識の範囲内でいいと思います。
当初、新型コロナの特徴に不顕性(感染しても無症状)の人からうつるということがありました。
これは、世界で最も権威のある医学雑誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に論文が掲載されたことから全世界に広まり、新型コロナの常識になってしまった。でも最近、発表された複数の論文では、無症状の人からうつるレベルは非常に低いのではないかといわれています。最終的な結論には至っていませんが、現状を照らし合わせると、クラスターが感染を増やしていると推測されています。
「コロナは怖い」「とにかく感染しない」「感染させない」といった外側よりも、自分の内側にアプローチする「免疫力を上げること」「感染しても大丈夫」と伝えることが不足していると思います。
そのために、いちばん大事なことは腸内細菌です。腸内細菌は、免疫を活性化させ、感染を防ぎ、炎症、アレルギー性疾患などを制御する役割があります。腸内細菌を大事にする生活をしていれば、自然に免疫力も上がり、感染しにくい身体にもなり、感染しても重症化しない身体になれます。
腸内細菌に大事なのは、食事です。腹八分目が基本で、よく噛(か)むことで唾液が増え、免疫が強まります。ひと口につき30回から50回噛むことを心がけてください。その土地でとれた旬の野菜を食べて、白米よりも玄米や分つき米などの未精白食品をとり、白砂糖は控える、発酵食品を食べるなどです。
また、免疫力とともに大切なのは自然治癒力です。多くの人は病気を薬で治していると思っていますが、薬で治る病気は、ほとんどありません。
風邪に効く薬はありません。あればノーベル賞をもらえます。薬でせきや鼻水の症状を抑えている間に自分の力で治っています。高血圧も薬で数値は下げられても、高血圧という病気は治していません。西洋医学の薬は、すべて対症療法。症状や数値を軽減しているだけで、病気そのものは治してはいない。治すのは自分の力です。
ヤケドや傷になっても自然に治るのは自分の力、自然治癒力です。手術して縫った場合でも治しているのは自分の力です。
病気やケガが治るのは、極論すれば自然治癒力のみと考えていいと思います。
その自然治癒力を支えているのは、睡眠と休息です。リラックスする副交感神経が優位になると、身体のさまざまな部分を修復、浄化して自然治癒力を高めてくれます。
ワクチン待望論に疑問符
ワクチンを研究した立場からすると、接種は慎重にすべきではないかと考えています。
例年、インフルエンザ予防のワクチン接種をしてもかかる人がいることからみても、感染を防ぐ効果は、完全ではありませんし、副作用も心配です。
毎年、3000万本のワクチンを用意しても流行するインフルエンザによる年間死亡数は約1万人です。
厚生労働省は重症化を防ぐということで推奨していますが、重症化を証明する方法はありません。
同調圧力がかかってワクチン接種をしている人もいるのではないでしょうか。ワクチンは自然の免疫システムからは、かけ離れた行為です。
ワクチンを打つのは、(感染して)他人に迷惑をかけてはいけない、周りが打つから、会社から言われるからなど惰性(だせい)に流された判断基準になっているのでは。そういう考え方を含めて、立ち止まってみてはどうでしょう。ワクチンは義務ではありません。ワクチンを打つ人の理論が、打たない人の考えを同調圧力で抑え込む。
新型コロナでも同じことが起きないかと危惧しています。ワクチン待望論のようになっているので、(ワクチンができたとき)多くの希望する人が打つのはかまいませんが、打たない人を攻撃しないでほしいですし、メリットだけでなくデメリットも含めて検討すべきだと考えます。
新型コロナに限らず感染症は免疫力、抵抗力を高めておけば恐れる必要がないので、ワクチンはリスクの高い人以外は必要ないでしょう。
新型コロナの第1波は初めて出現したウイルスに専門家を含めて何にもわからない状態から始まりました。患者が増えている状況は脱して第2波、第3波にどう備えるのか大切な段階に入っています。
その間に、ストレスの要因にもなっている“コロナ脳”をリセットし自分の内なる力、考え方、行動も含めていろんなことに目を向けることが大事であり、今後の対策のためのあり方になると思います。
【プロフィール】
本間真二郎 ◎医師、小児科医。ウイルス学研究者。札幌医科大学医学部卒業。勤務医を経て2001年より3年間、アメリカ国立衛生研究所にてウイルス学、ワクチン学の研究に携わる。帰国後、'09年に栃木県那須烏山市に移住、七合診療所所長として地域医療に従事しながら、自然に沿った暮らしを実践している。