'18年に交際4ヶ月のスピード婚をし、翌年の3月に第一子が誕生した前田敦子・勝地涼夫婦に危険信号が灯った。
『女性セブン』(7月9日号)が報じたのはふたりの《フライング別居》報道。結婚のときも懐妊のときも各週刊誌は何かとAKB48の楽曲“フライングゲット”にかけて報じてきたわけだが、今回はなんとも切ないフラゲ案件。
今年の冬ごろから勝地が「家出した」という噂が出回り、現在は車で20分の距離にある別のマンションで生活しているという。つまり、あっちゃんは現在ワンオペ育児中。大変だ。記事中には、感情の起伏が激しく、ときにヒステリックになる彼女から“逃げた”との記述もある。妊娠中には勝地が外で飲んでいると、何度も携帯を鳴らしたり、ドアチェーンをかけて部屋に入れなくするといった行動にも出たらしい。
AKB時代の長所は今や……
彼女が国民的のアイドルグループの「絶対的エース」「不動のセンター」だったころ、“感情の振れ幅が大きい”その性格は、AKB48というグループの物語を大きく支えてきた。ドキュメンタリー映画(『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る』)でみせた『選抜総選挙』の重圧から解放されて号泣したり、過呼吸を押さえ込んで舞台に立つ姿は、まさにカリスマアイドルとしか形容できない何かがある。
しかし、この長所であったはずの「感情の起伏」がグループ卒業後はネガティブに報じられるようになった。
いちばん記憶に残っているのはやはり佐藤健との合コンを撮られ、泥酔・号泣した末、「お姫様抱っこ」で運ばれたアレであろう。報じた『週刊文春』('12年9月20日号)によれば、テキーラを煽ったりで現場は大荒れだったという。卒業し恋愛解禁されて間もなく、いきなりやらかしたわけだ。この報道と同時期に掲載された『AERA』(9月3日号)のインタビューでは、今後の人生についてこう答えていた。
暗闇の映画館で“刺身”を
《私には人生経験が必要だと思うから、やりたいことはたくさんあります。車の運転免許も取りますし、いろんな人の話を聞きたいから友だちと外でご飯を食べるようにもします。もう21歳になったのでお酒を飲むということも》
字面だけみると、グループを卒業する21歳になるまで飲酒したことがなかったとも読み取れる。アイドルの鑑である。そんな彼女が、国宝級イケメンの佐藤健と高級ホテルのような内装(なんとガラス張りの風呂付きの部屋もあるとか)のカラオケバーでテキーラ一気なんて……。芸能界の洗礼が過ぎて溺れてしまうて。
そんな“人生経験不足”を自称する彼女のもっとも凄まじいエピソードは、'13年に『アサヒ芸能』(5月2・9日号)でテリー伊藤と対談したときに繰り出された。
もともと大の映画好きで、時間に余裕ができるようになったアイドル卒業後は映画館で1日4~5本も鑑賞していると豪語。5作も続けて観て何が頭に残るのか、ってくらいハードスケジュールなわけだが、真に凄いのはここから。上映中、彼女が口にしたものはというと……。
《持ち込みOKなところでは持っていきますね。たまに、お刺身とか……》
──暗闇のなかで刺身て! 手元を照らし続ける爆破シーンの連続でもない限り、どのようにして醤油をつけるというだろうか。テリー伊藤は《エッ、》と驚きに包まれながらも、《お刺身だったら、食べてても音がしないもんなぁ》と苦しいフォロー。対し、あっちゃんは《そうなんです。ポップコーンとかよりも全然しませんよ(笑)》とご陽気だが、周囲の客は生臭さに包まれながら作品を楽しむことができたのだろうか。マナーの是非が問われるところだ。中学生の時分から芸能人だと、映画館すらまともに通えなかったのかと、ふと想像してしまう。経験不足は恋愛面でもそう。初カレとして報じられた尾上松也とうまくいかないときは、親友の柄本時生に“手紙を代筆”させたり、別の男性の家には深夜にタクシーでパジャマ姿のまま押しかけたり──そんな数々の悲哀が報じられてきた。
このように、AKB時代はプラスに捉えられ続けてきた「ちょっと変わっている」ところや「感情の起伏が激しい」性格が、ずっと修正されずにそのままでいたことが、良くも悪くも今の彼女のイメージを形成しているのではないだろうか。今回の勝地涼との別居に世間がそこまで衝撃を受けていなさそうだったのも、そういう側面を知ってのことかもしれない。
なかなかドライな勝地涼
そして、一方の勝地涼。'14年にインタビューで恋愛観を語り、「男友達と私、どっちが大事なの?」という“恋愛あるある”について、こう明言している。
《もし僕がそういう立場に立たされたら。もう速攻、謝ります(笑) モメる前に謝る。そういう部分で面倒を起こしたり、ムダな時間を使いたくない。男って面倒くさがりなんですよ》
《「何してるの?」「会いたい」っていつも訴えてくるような女の子には、ウソでも「忙しいって」答えてしまうこともあるんじゃないですかね。自分もたまに言いますけど(笑)それはやっぱり「忙しい」って答えておいた方が話が早いですからですよ》(『JUNON』5月号)
なんともドライだ。しかし、そんな彼だからこそ、あっちゃんの火の玉ストレートな性格を受け止められたのかもしれない。いい感じの凸凹である。ただし、それはあくまで恋愛の話。同居のともなう結婚や子育てが折り重なると、なかなか一筋縄ではいかなかったということか。
真相は本人たちのみぞ知るわけだが、我々の身にも起こりそうなゴタゴタ劇に親近感を覚える。これぞ「会いに行けるアイドル」の距離感。復縁を願う。
〈皿乃まる美・コラムニスト〉