所属事務所を退所した、神田うのとローラ

 早くも芸能界には“第2波”がきたのだろうか。芸能人の退社報道が相次いでいる。

 春先に第1波がきた。

「ジャニーズ事務所の中居正広、米倉涼子やヨンア、岡田結実らのオスカープロモーションのタレントたち、ブルゾンちえみといったところが、事務所を退所したり芸能界を引退したりしました」

 と情報番組デスク。

「女優の菊池桃子とジャニーズの手越祐也は、ちょっとタイミングがずれましたが」

 と説明し、こう続ける。

フリーランス志向による退所

「所属タレントと事務所の契約は、年単位、もしくは年度単位の契約が基本で、次に多いのが、その半期、つまり7月から翌年の6月、10月から翌年9月という契約。中には長年所属していると、半年単位の見直しも可能という契約もあります。1月が契約スタートの人は、7月から見直しができるというわけです」

 ちょうどタイミングよく、タレントのローラ(30)と神田うの(45)が、ローラは約14年、うのに至っては31年間在籍した所属事務所を退所した。

「ローラの場合は、以前、事務所ともめたこともあり、すでに海外活動のマネジメントは違うエージェントと契約している。全面的に円満とはいえませんが、うのに関してはこれといったトラブルは聞こえてきませんね」(前出・情報番組デスク)

 女優ののん(26)や西内まりや(26)のケースのように、所属事務所との確執や人間関係が退所の一因になったと報じられたケースは多いが、このところ芸能界で目立つのは、フリーランス志向による退所だ。

芸能人の活躍の場、というか金を稼げる場が、テレビを中心としたマスメディアだけでなく、ネットの世界にも考えられるようになったことも大きい。先日、独立会見を開いた手越も、自らの媒体を持てることが大きい、とSNSの存在をたたえていた。熱烈なファンがいれば、ネットでつなぎとめて、ファンクラブを設立すれば、安定収入が確保できますからね。ただ、元ジャニーズのエースクラスじゃないと、その戦略が立てられない」(大手芸能プロ関係者)

 とはいえ、うのクラスのキャリアになれば、豊富な蓄えもあり、生活には困らない。芸能プロ関係者が続ける。

「本人的には、事務所があろうがなかろうが困らないですし、事務所から見れば、うのに芸能人としての伸びしろは期待できない。新しい役に挑むとか、違う分野で勝負するとか、そういう野望がないわけですから、マネジメントしていても面白くないと思いますよ」

芸能人もリストラされる時代に

 以前、女優の小泉今日子(54)が独立した際は、仕事のフィールドを、テレビ等のメディアから舞台へと変えた。しかも、自分が出るよりも、プロデュース側に回る、という立場の変革の意思もあった。

「これまでどおり同じ世界で活躍したいと思う芸能人にとっては、元の事務所と仕事を取り合う場面も出てきますが、元の事務所がさほど興味のない分野に進むのであれば、利害は対立しない。

 ローラが海外進出を今後本格化させるのであれば、元の事務所とは住み分けができる、ということです。うのはご意見番としてテレビの中にポジションを確保していましたが、今はすっかりその顔触れは、マツコ・デラックスやミッツ・マングローブ、カズレーザー、社会学者やネット文化人などにとってかわられていますからね」(前出・情報番組デスク)

 総務省が6月30日に発表した完全失業者数は約200万人。新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2月以降で、33万人も増加したという。

コロナ禍で、芸能人がリストラされる事態も、今後やってくると思いますよ。テレビ局、ラジオ局が広告が入らなくて四苦八苦している。その影響は必ず、出演料の値下げに及びます。どんなタレントでも“このご時世だから”というエクスキューズがあれば、プライドを保ったまま出演料の値下げを受け入れことができる。

 世間を襲っている失業率や不況が、半周遅れぐらいで芸能界を襲うのは間違いない。そのとき、独立してやっている芸能人が耐えられるかどうか、でしょうね」(前出・情報番組デスク)

 所属事務所に守られようが、独立しようが、とどのつまりは本人の芸能人としての才能次第だが、その周りに多くのブレーンがいるかどうか、知恵袋があるかどうかが、独立後の生き死にを握る。

〈取材・文/薮入うらら〉