東日本大震災のヒーローが地に落ちた。
岩手県警釜石署は7月14日、強制性交の疑いで釜石市に住む千葉淳容疑者(79)を逮捕。顔見知りの少女を人けのない山奥に車で連れ込んでの犯行だった。
「誰も彼をよく言う人はいませんよ」
岩手南部の大船渡で生まれた容疑者は東京などで職を転々としながら40年ほど前、釜石市に移住。昨年まで20年以上、民生委員を務め長年、地域の町内会長としても活躍していた。
東日本大震災のときには遺体安置所でボランティア活動に志願した千葉容疑者。次々と運び込まれる遺体に優しく語りかけ、死者の尊厳を守ろうと懸命に尽くした。そんな姿が、作家・石井光太氏の著書に取り上げられ、'13年には映画『遺体 明日への十日間』が公開。美談は全国区となる。千葉容疑者を演じたのは、俳優の西田敏行だった。
逮捕の報に、石井氏は、
「報道については驚きました。現段階では捜査中であるため、憶測で感想を申し上げることはできませんが、私としても事件の真相を独自で調べる所存です」(文書で回答)
人格者として知られる容疑者の逮捕騒動。地元でもかばう声があがるかと思いきや、
「誰も彼をよく言う人はいませんよ」(近所に住む女性)
取材の過程で浮き彫りになったのは、セクハラ・パワハラなど悪評の数々だった。
今回の事件は容疑者の自宅のそばにある中学校の生徒との間で起きた。民生委員・浅間さん(仮名)によると、
「雨の日に、中学校の女の子に駅まで送り届けてあげると声をかけて、怖がった生徒が先生に相談し問題になった」
千葉容疑者はいわゆる“地域の見回りおじさん”として防犯パトロールを行っていたが、よさげな子を物色していたのだろうか。
「手品がうまくて、知らない女の人とすぐに打ち解ける」
別の民生委員・伊藤さん(仮名)は、相手の警戒心を解く千葉容疑者の手の内を明かす。
「被害に遭った女の子を、千葉さんは以前から気にかけていたようです。防犯パトロールの際、何か買って食べなさいとお金を渡していました」
家庭に問題のある子のようで、心の隙間に入り込もうとする手口がうかがえる。
変態・不倫・町内会費のネコババ
取材を進めると、容疑者の女グセの悪さに関する話が噴出。千葉容疑者の女性トラブルについて、石井氏は、
「私は1度も聞いたことがありません」
しかし浅間さんによると、
「若いころは水商売の店をやっていたそう。常に若い子を追いかけていたようです」
いくら女好きでも80近い老人がレイプなどできるだろうかと疑問に思うが、疑念を打ち消す出来事が。千葉容疑者をよく知る男性・田畑さん(仮名)によると、
「千葉さんは変態ですよ。どこかで出会った女性とのセックス動画を自慢げに見せて回るんです。いつも生々しいエロ話ばかりしています」
と、今も健在だという千葉容疑者の変態性を暴露。
さらに不倫までしていたという。田畑さんが続ける。
「同じ町内で、夫がいる50代の女性と不倫していました。ドライブ中、助手席に座る女性に“おらのチンポ、触ってけろ”とお願いしていたそうです。結局、千葉さんの奥さんに不倫がバレて、こっぴどく叱られたみたい」
女性問題で近所のコンビニを出禁になったこともある。
「昨年、20代の店員にちょっかいを出して、店への出入り禁止を言い渡されました」(コンビニ店員)
詳細は口をつぐんだが、事情を知る関係者が明かす。
「千葉さんの目当ては若い女性の店員で、カウンターでずっと絡んだり、店の前で車を止め何時間も出待ちするなど、ストーカーまがいのことをしていました」
女グセ以外に千葉容疑者は、権力や金品への執着もすごい。
長年、町会長を務めている彼だが、理由は代わりになる若い人がいないとのことだった。しかし、同じ町内会の女性によると、
「とんでもない。若い人が現れて自分の立場が危うくなると、徹底的につぶすんです」
さらには町内会費をネコババしていたという疑惑まで。
「会員50世帯で会費は1世帯年間4千円。経理もおらず、使い道は不明です。みんな、千葉さんが懐に入れていると疑っている」(町内会の女性)
「死体1体で1万円」と自慢
映画で描かれていたあの好人物ぶりは何だったのか?
劇中では食料が限られるからと、配給を受け取るのを遠慮している様子だった。ところが実態は違ったようで、居合わせた町民が憤る。
「津波で家を追われた人に炊き出しをしていましたが、全然足りない。おにぎりを2人で半分に割って食べるような状況でした。そこに千葉さんがやってきた。好き放題飲み食いして、お土産まで持ち帰って。周囲に“もう来るな”と怒られていました」
極めつきは、千葉容疑者を映画のモデルにまで押し上げた遺体安置所での出来事だ。
「死体1体で1万円もらえるとみんなに自慢していました」(前出・女性)
映画にも描かれていた、遺体安置所における千葉容疑者の献身。それさえも金銭目当ての行動だったと多くの町民が証言するのだ。
「彼は金になるなら何でもやる。当時、遺体の仕事をもらえるよう役所の人にごまをすっていました」(町内会の女性)
映画の舞台あいさつでは、西田と千葉容疑者が涙を流し抱き合う感動的な場面があったのだが。あれは何だったのか……。
冒頭の石井氏は死体1体1万円という証言について、
「当時は千葉氏本人だけでなく千葉氏の家族、ともに働いた市職員、釜石市長にも確認いたしました。その結果、全員から『ボランティア』という回答を得たので、著書の中でそのように記しました」
いじめの告白までも─。
30年ほど前、市内のリサイクルセンターで一緒に働いていた元同僚女性は、
「彼に職場で嫌がらせを受け、退職に追い込まれました」
さらに別の女性も、
「少し考えが合わないだけで“ぶっ殺すぞ!”と脅されました。人によってコロコロ態度を変える人なんです」
おぞましい証言の数々。
事実関係を千葉容疑者の妻に聞くため訪ねると、
「まだ夫と連絡がとれていません。何があったのか私もわからず、混乱しています」
書籍や映画で、篤志家として祭り上げられた千葉容疑者。
「日本中で有名になり、天狗になっていました。身近な人から見たら人格者なんてとんでもない。偽善者ですよ」
と、前出・田畑さんは吐き捨てる。
美談の裏に隠されていた千葉容疑者のダークサイドが、むき出しになった事件だ。