「ウソでしょ?」報道を見て、誰もがそう思ったはず。俳優としても、アーティストとしても活躍していた三浦さんが突然、この世を去った。今秋から放送がスタートするドラマの撮影中だっただけに、現場でも動揺が広がっているという。なぜ彼は、死を選ばなければならなかったのか──。
衝撃的すぎる三浦春馬さんの「死」
「自殺か? 俳優の三浦春馬さんが死亡」
7月18日午後、衝撃の速報が日本テレビで流れた。
「この日、仕事があったにもかかわらず現場に来なかったため、不審に思った関係者が都内の自宅を訪れたところ、クローゼットの中で首をつった状態の三浦さんを発見したということです。現場の状況から自殺とみられています」(スポーツ紙記者)
あまりに驚愕のニュースだったこともありネット上では、
《えっ、よくわからない》
《信じられない。というか、信じたくない……》
と、大混乱に見舞われた。
「日本テレビの速報が出てから、10分ほどでネットニュースにも記事がアップされましたが、瞬く間に1万件を超えるコメントがつきました。三浦さんの死が、いかに注目を集めていたかということがわかります」(同・スポーツ紙記者)
最近では、9月から始まる連続ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』(TBS系)の撮影に参加する毎日で、現場でもこれといって変わった様子はなかったという。
「松岡茉優さんとのシーンが多いのですが、撮影現場では思いつめた様子はなく、本当に普通でした。亡くなる2日前も、笑いながら共演者たちと世間話をしていたので、まだ信じられません……」(TBS関係者)
俳優としての仕事のほかにも、8月には歌手としてセカンドシングルのリリースを控えており、年末からは大型のミュージカル『イリュージョニスト』の主演も決まっていた。順風満帆に見えた彼の人生だが、その裏では人知れず深い闇を抱えていた─。
三浦春馬さんの経歴と好かれる人柄
三浦さんは、7歳のときにNHK連続テレビ小説『あぐり』で、子役として芸能界デビュー。意外に思うかもしれないが、幼少期からすでにテレビに出ていたのだ。
「'04年からは、彼の地元である茨城県土浦市で3人組のダンスユニット『Brash Brats』のボーカルとして活動していました。今も活躍するDA PUMPの曲をメインに、ストリートライブでダンスをしながら歌っていたんですよ。けっこうファンも多かったのですが、三浦さんの俳優としての仕事が忙しくなり、'05年で活動休止となりました」(前出・スポーツ紙記者)
このころに、彼を取材したことがあるというフリーライターによると、
「シャイで繊細な印象でしたが、話を聞くと学校ではやんちゃもするような、素直な男の子という感じでしたね」
翌'06年にドラマ『14才の母』(日本テレビ系)でヒロインの恋人役を演じ、広く名前が知られるように。
「そこからは、映画『恋空』や『永遠の0』、日テレ系ドラマ『ごくせん』やフジ系ドラマ『ラスト・シンデレラ』など、多くの話題作に出演しました。さわやかな顔立ちと演技で、幅広い年代のファンをつかみましたね」(ワイドショー関係者)
役が大きくなるのと比例して、表情も力強くなっていったという。
「自信が出てきている様子が顔からも伝わってきました。でも、無邪気さも残っていて、とても可愛らしい性格で共演者に好かれるタイプでした。三浦さんと仕事をして嫌な印象を持っている人はいないんじゃないですかね」(前出・フリーライター)
彼の俳優としての評価を、グッと押し上げたのが、'16年に上演された舞台『キンキーブーツ』だった。
「ドラァグクイーンのローラという難しい役どころを見事に演じきり、読売演劇大賞優秀男優賞を受賞。舞台は高く評価され、昨年には再演もされました」(前出・ワイドショー関係者)
恵まれた華やかな外見とは違って、彼の内面はとてもまじめでストイックだった。過去に一緒に仕事をしたことがあるという舞台関係者は、次のように話す。
「舞台出演でも映像収録でも、ベストなパフォーマンスを維持するために栄養管理を徹底していました。とくに朝食に食べるもの、食べる順番にもこだわる様子は栄養士かと思うほど。体力づくりや体幹を鍛えるためのトレーニングにも没頭していて、仕事のために常に生活を律しているように見えましたね」
そんなストイックさを持つ一方で、優しくナイーブな素顔が垣間見えたことも。
心無い言葉に傷ついたことも
「代表作のひとつでもある実写映画『君に届け』で、ヒロインの彼氏役にキャスティングされたときに、ネット上で“イメージと違う”と多くのバッシングを受けたんです。まだ若かったこともあり、ひどく傷ついていましたね。
同じころに、彼の20歳を祝うイベントがあったのですが、ファンから励ましの声をかけられたときに、うれしかったのか、一瞬後ろを向いて涙を流していたこともありました」(映画配給会社関係者)
今回の彼の自殺の要因として、報じられていることのひとつが“SNS上での誹謗中傷”だ。今年1月には、公式ツイッター上で意味深なツイートをしていた。
《明るみになる事が清いのか、明るみにならない事が清いのか…どの業界、職種でも、叩くだけ叩き、本人達の気力を奪っていく》
これがいったい何のことを指しているのかは、明らかにしなかったものの、ネット上での執拗なバッシングに対して警鐘を鳴らしていた。過去に自分も被害に遭っていただけに、他人事とは思えなかったのだろう。
「三浦さんは世間が思っている以上に、繊細なメンタルの持ち主だったと思います。彼のSNS上にも、心ない書き込みが来ることがありましたし、顔には出しませんでしたが内心はかなりショックを受けていたと思いますよ」(芸能プロ関係者)
昨年、主演したドラマ『TWO WEEKS』(フジテレビ系)のロケ中にも、彼の精神面が心配になったことがあった。
「あるシーンの撮影が終わって、春馬さんに出番まで控室で待機してもらうことにしたんです。しばらくすると、控室から“ウォー”と叫ぶ声と一緒に大きな足音が聞こえてきて……。歌手活動も始めた時期だったので“ちょっと多忙なのかな”くらいにしか思っていなかったのですが、いま思えば、このころから少し不安定な状態になっていたのかもしれません」(フジテレビ関係者)
歌手のJUJUとともにMCを務める『世界はほしいモノにあふれてる』(NHK)の収録現場でも、最近ではこんな“異変”が起きていた。
「三浦さんを直接、見ないでください」
「毎回、世界から商品を買い付けたバイヤーがスタジオに登場して、彼らに商品の説明をするんです。当然、バイヤーの会社関係者も何人かスタジオを訪れ、周りで観覧しているんですが、どうも三浦さんは気になるようで……。スタッフが“三浦さんを直接、見ないでください”と、ゲストの関係者に言って回るというのが恒例になっていたんです」(制作会社関係者)
本来であれば、収録をスタッフと関係者で見守る形になるはずなのだが、それがNGなだけに……。
「しかたなく、みんなすぐそこにいる三浦さんからは目をそらして、モニターを見ることにしているんです。“ジロジロ見るわけじゃないのに、どうしていけないんだろうね”と、現場でも不思議がっている人は多かったですね」(同・制作会社関係者)
番組を見ている限りでは想像もできないが、実は、誰とでもすぐに距離を縮められる“社交的な性格”というわけではなかったようだ。
「初めて仕事をする人とは、目を合わせて話ができないようなシャイさは今でも残っていて、人と仲よくなるのは時間がかかる性格でした。悩みなどは外に見せず、自分ひとりで抱えてしまうタイプだったので、周囲もSOSに気づけなかった可能性はあります」(前出・芸能プロ関係者)
誰にも言えなかった心の闇が、彼の心を少しずつ蝕んでいったのかもしれない。
「プライベートでも仲のいい俳優はいただけに、相談できる人がいなかったわけではないと思うんですが……。あれだけ愛されている人だったので、もっと周りに頼ってもよかったんじゃないかという思いでいっぱいです。亡くなる数日後には、ダンサーの友人と食事に行く約束をしていたそうなんです。そんな人が自殺をするなんて、本当に考えられない……」(同・芸能プロ関係者)
早すぎる三浦さんの死が、芸能界に与えた影響はあまりにも大きい……。
三浦春馬さん 30年の生涯と主な作品
'90年……茨城県土浦市にて誕生
'97年……連続テレビ小説『あぐり』で子役としてデビュー
'06年……映画『キャッチ ア ウェーブ』で初主演を務める、ドラマ『14才の母』(日テレ系)でヒロインの恋人として出演
'07年……映画『恋空』に出演。第31回日本アカデミー賞の新人俳優賞を、共演した新垣結衣と同時に受賞
'08年……ドラマ『ごくせん』(日テレ系) の第3シリーズに出演。平均視聴率は22.8%を記録し、'08年のドラマ視聴率1位を記録
'16年……舞台『キンキーブーツ』で、小池徹平とW主演
'19年……ドラマ『TWO WEEKS』(フジテレビ系)で主演。同作の主題歌を歌い、歌手デビュー、映画『コンフィデンスマンJP -ロマンス編』に出演
'20年……7月18日、自宅で自殺。9月に放送予定だったドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』(TBS系)は、この日の撮影を中止に