情報番組『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ系)が9月末で打ち切りになるという。そして、その前の時間帯に放送されている『バイキング』の放送枠が拡大され、3時間番組となることが決定した。
『グッディ!』打ち切り理由の1つに視聴率の低迷があげられているが、ほかにもコロナ禍で広告収入が減ったところにメインキャスターの安藤優子への巨額の出演料が追い打ちをかけたなど、いろいろ取りざたされている。
番組が打ち切りとなることで、タレントやコメンテーターなどへの影響は甚大だ。カンニング竹山も他番組で「グッディ終わって働き場がなくなるんです」と自虐的なコメントを出している。制作会社のスタッフもレギュラーの仕事がなくなるわけだから、その混乱は相当なものだろう。
ところが、『グッディ』の現場スタッフからは、不思議と焦りは感じられないという。
「やっと“ガミ”から離れられる」
「彼らは横滑りでリニューアルされた『バイキング』のスタッフになることが決まってるんです。その結果、今まで『バイキング』を担当していたスタッフが、ほとんど切られるそうです」(ワイドショースタッフ)
それでは、その煽りを受けるのは現『バイキング』のスタッフたちなのかというと、こちらもそうではないという。それどころか喜んでいるスタッフさえ多いという。
「やっと“ガミ”から離れられるということで、ホッとしているスタッフが多いですよ」
と証言するのはとある制作会社のスタッフ。
この“ガミ”と呼ばれているのはほかでもない、『バイキング』のMCの坂上忍だ。
「もともと『バイキング』は『笑っていいとも!』の後継番組として始まりました。なので、『バイキング』も制作をバラエティー班が担当しており、バラエティー色が濃かった。サンドウィッチマンが出ていたころの『地引網クッキング』などの企画モノなどがその例です。
それが、平日全部のMCを坂上さんがやるようになってから内容がガラッと変わってしまいました。坂上さんが“キャスター的ポジション”をやりたがり、政治や経済、事件など社会問題も扱う情報番組になってしまったんですね。それからというもの、スタッフの負担が大きくなりました」(同前)
“切られても”困らない理由
バラエティーを作るつもりでいたスタッフが困惑したのは容易に想像がつく。走るつもりでいたのに泳げと言われたようなものだろう。政治や経済、社会で起きている問題を取り扱う以上、出演者もスタッフもそれなりの心構えが必要になる。事前の打ち合わせもバラエティー番組以上に入念にしなければならず、リサーチや取材も正確さが要求されるように。
「ニュースを扱うわけですから、前日に資料やフリップを用意しても、当日の朝、あるいは放送直前に新しい情報が出てくることも多い。そんなときは放送時間に台本が間に合わないといったことも少なくありません。ですが坂上さんはスタッフの事情を考えずに、“なんでこの情報が入ってないの”と不満をぶつけてくることがあるんです」(同前)
突発的なニュースが飛び込んでくることもある。よほどの重大ニュースでもない限りバラエティー番組ならスルーしてしまうところだが、今では情報番組と化した『バイキング』は取り上げることも多い。そんなとき、スタッフは混乱するのだという。また、芸能ニュースを扱う際も、芸能界の事情に疎いスタッフもおり、地雷を踏んでしまったこともある。
圧力がかかっていたのはスタッフだけではない。共演者も同様だ。
「番組で、坂上さんはゲストのタレントやコメンテーターに均等に話を振ります。タレントサイドにとってこれはありがたいことなんです。自分の“ターン”がちゃんとあって、存在感を示すことができますから。でも、それは台本がしっかりあるからなんです。番組の“回し”はそういった予定調和でできているところが大きいので、台本に沿った発言をしない人は坂上さんに嫌われますね」(芸能プロ関係者)
意向に沿わないことで、消えていったゲストは何人もいる。そのゲストに対し坂上は、
「誰だよ あんな奴を呼んだのは」
とネチネチ文句をつけるという。呼んではみたが番組の方向性に合わないゲストだったということだから仕方ないことかもしれないが、坂上の“王様”ぶりがわかるエピソードだ。
最近は現場にいる制作会社のスタッフは局の上層部から、
「もっとしっかり番組を作れ」
と、プレッシャーをかけられることも多く、スタッフのストレスは溜まるばかりだったという。
そんな重圧から解放されるのだから、彼らの安堵ぶりもよくわかる。しかし、人員削減となり、番組を離れることになる『バイキング』のスタッフは仕事がなくなるのでは? という疑問も浮かびそうなものだが……。
「この番組は曜日ごとに担当のプロデューサーやスタッフが変わる“縦割り”の制作方式を敷いており、自分の担当曜日以外は、別の番組の制作をしているんですね。なので、『バイキング』だけを制作しているスタッフはほぼおらず、切られても別の番組に異動になるのだけで、困りはしないんだとか」(前出・ワイドショースタッフ)
新生『バイキング』には『ミヤネ屋』(日本テレビ系)や『ゴゴスマ』(TBS系)という強敵が待ち構えている。荒海をどう乗り越えるか――。