佳子さま

 現在、複数の週刊誌で秋篠宮家の次女、佳子さま(25)の“新恋人”について報道合戦が繰り広げられているのをご存知だろうか。

 なんとここ最近、佳子さまにお付き合いをされている男性ができたのだという。かつて『富士急ハイランド』の御曹司との関係を噂さたこともあったが、彼の両親が完全否定し、話がうやむうやになっていただけに今回はどうなのか。追わないわけにはいかない。

 まず週刊誌による佳子さま熱愛報道の火付け役となったのが6月30日の『デイリー新潮』。すべては宮内庁関係者のこの証言からはじまった。

《佳子さまに新しい男性の存在を感じるという声が聞こえてきています。コロナ禍以前のことで、お相手については正直よくわからないのですが、それまでのお振る舞いなどが交際をきっかけに変わって行ったと言います》

 新しい男性の存在を感じるという声……! なんてスピリチュアル感の強い証言なんだ。また、記事には紀子さまがこの件ついて《大変喜ばしい話》だとお思いになられているという具体的な記述があるにも関わらず、お相手の素性については『正直よくわからない』とある。開き直っていいのか、という話ではあるが、ここまで堂々とされたらこっちも何も言い返せやしない。

「小室圭さんに激似」の疑わしさ

 これを受け、この“新しい男性”について詳細な情報を報じたのが『週刊女性』(8月4・11日号)だった。

 同誌が取材をしたという秋篠宮家関係者によれば、その男性は“都内の理系大学出身のイケメン”。佳子さまが2017年から約1年間留学されていたイギリスのリーズ大学で出会ったという。彼とは留学中に行動をともにされることが多く、周囲からお似合いのカップルとして見られていたようだ。

 出会ったきっかけについては、

《おそらく、事前に行われた留学説明会などで知り合われたのでしょうね》としつつ、間髪入れずにこのように続く。

《眞子さまと小室さんの結婚問題に結論が出た後、そう間をあけずに佳子さまもご婚約される見通しらしく、それもあって進学や就職をされない方針なんだとか》

 いきなり……? 脚本がめちゃくちゃな恋愛映画かよ、というほど唐突に、ご婚約の流れに。もっと掘り下げていただきたい恋愛の過程がごっそり抜けているのがなぜだか気になるが、これが事実だというのならば国を揺るがすスクープだ。タイトルも大きく「結婚へ!」と打たれている。

 そして、これらの情報を受け、数珠つなぎ的に続報を打ったのが『女性セブン』(’20年8月20・27日号)。

 ウワサの“理系男子”について、『セブン』の記者が皇室関係者に取材したところ、「その男性かどうか定かではないが」と前置きしながら、イギリス留学時代を回想しこのように証言している。

《男性は黒髪短髪で前髪はおでこが出るほどに短く切り揃えた、清潔感がある印象です。キリッとした眉が特徴的で、“小室圭さんにもとてもよく似ている”と感じましたね。ただ、小室さんよりもずっと身長が高かった》

 普通、この手のたとえは芸能人を出すのが相場だろう。いくらご姉妹の遺伝子が似ているとはいえ……さすがにこれは『小室圭さん似』が言いたいだけだろうよ、と強引なこじつけを疑いたくなるのだが、どうだろうか。ヒキのあるタイトルをつけ、雑誌の売り上げ部数を伸ばしたいがためのガセネタではないか(実際、表紙にはデカく金色で「小室圭さん激似のイギリス恋人」とあったし)。

──しかし、振り返れば皇室の熱愛にまつわる報道のなかには、過去にも「〇〇似」問題があったことが思い出される。

たとえが上手くない皇室関係者

 それは2019年に『女性自身』が、夏のご静養で『那須どうぶつ王国』に足を運ばれた愛子さまを特集したときのもの。現地で合流した愛子さまの“お気に入りのご学友”(毎年同じメンバーで過ごされるようだ)について、雅子さまのファンだという女性はこのように表現していた

「10年前に見たときはのび太くん似だったが東出昌大似のイケメンになっていた」

 顔面にメスでも入れん限り、のび太が東出には化けんだろう。もう少し適切なたとえがあったはずだ。

 つまり、ここで言いたいのは、宮内庁関係者、皇室関係者、皇室ファン、および各週刊誌の皇室担当の記者は「〇〇似をたとえるのが苦手」なのではないか、ということだ。確かに、芸能や事件から料理ネタにいたるまで、ジャンルをこえてあらゆる情報が詰め込まれた週刊誌のなかでも『皇室』は特に専門性の高い分野だろう。もしかすると、担当記者たちは芸能人にあまり関心がないのかもしれない。ワイドショーに出てくる皇室ジャーナリストたちも、いかにもお堅い感じでミーハー心が欠落していそうな方が多いし。

 ゆえに生まれたのが、以下のやりとりだったのではないか。

皇室記者「佳子さまと親しくされていたその男性は誰に似てましたか?」

皇室関係者「うーん……。小室圭さん……です、かね」

「〇〇似」の鉄板である芸能人の顔が全然浮かばなかった人が、苦し紛れにひねり出したのが小室さんの名前だったのではないか、と。このようにして(なのかはわからないが)集まった情報を総合すると、佳子さまの新恋人は「小室さんに激似な高身長の理系男子」という薄いけど濃い謎のプロフィールの人物ということなる。結局、何者なんだよ。

 この人物ははたして本当に実在するのだろうか……? いや、でも、ガセネタを書くくらいなら『正直わからない』と誌面で言いきってしまうような正直者の集まりが“皇室担当”なのだと信じたい。引き続きこの話題を追っていく次第。

〈皿乃まる美・コラムニスト〉