「『アラフェス2020』が再始動した矢先の“発表”に、ファンはさぞかし落胆していることでしょう。状況が改善されなければアラフェスも延期、いや中止ということもありえますよ」(スポーツ紙記者)
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、5月15日、16日の公演を延期していた、嵐の新国立競技場コンサート『アラフェス』。8月上旬、ジャニーズ事務所は公式HPで、アラフェス開催に向けて5人に歌ってほしい曲のリクエストを募っていた。
ファンが待ちに待ったアラフェス再始動だったが、8月12日、ジャニーズは8月下旬のコンサート再開を予定していた3グループの計18公演の“再延期”を発表したのだった。
「政府が発表したイベント開催のガイドラインに従い、ジャニーズ側は“屋内”時の規定で定められた収容率50%以内の人数での開催を予定していましたが、第2波が発生しつつあるこの状況で再開を自粛したのでしょう。何かと賛否の起きやすいジャニーズ事務所の動向だけに、仮にコンサートでクラスターが起きた事態を考えれば賢明な判断と言えます」(イベント企画会社スタッフ)
政府“お墨付き”のガイドラインといえども、ジャニーズ事務所だけでなく、各主催者がコンサートやイベントを再開するにあたって、その判断に頭を悩ませているのが現状だ。
8月10日には、約5か月ぶりに舞台に立った堂本光一が「今は幕を開けるより、何かあれば中止する勇気が大切」と、“密”になりやすい屋内公演における開催の難しさを代弁していた。
「屋外」コンサートだから大丈夫?
一方で「屋内」ではなく、「屋外」コンサートに分類されるアラフェス。先のガイドラインによると、「十分な間隔※できれば2m」を保てば人数の上限なしで開催することが可能になる。新国立競技場の収容人数は、最大で約8万人を動員できるのだが……。
「観客数はおそらくは半分、いや、それ以下になると思います。検温や消毒はもちろん、ジャニーズさん独自のスマイルアップシールドの装着は義務でしょうね。年内で活動休止する5人のビッグイベントだけに、プレミアムコンサートになることは必至。300万人とも言われるファンクラブ会員がチケット争奪戦を繰り広げることになるでしょう」(前出・イベント企画会社スタッフ)
単純に100倍近くになりそうな倍率だ。故にチケットを入手できずとも、アラフェスを諦めきれないファンが大挙して“現地入り”する可能性があるーー。
かつて嵐が旧国立競技場で最後のアラフェスを開催したのが2013年。この時、チケットを取れなかったファンが会場周辺を取り囲み、時折、「こっちのほうがいいよ」と道路を横切って移動したり、路上に座り込む姿が見受けられた。いわゆる“音漏れ”目的のファンだ。
「ジャニーズのカウントダウンコンサートが開催される東京ドームや、コンサートやイベントが頻繁に行われる横浜アリーナのほか、コンサートにつきものなのが“音漏れ参戦”です。その名の通り、会場から漏れ聞こえてくる歌やMCで参加している気分になるのです。出待ちをするファン同様に、信号を無視したり私有地に無断侵入したりと、近隣住民から度々マナー違反を指摘され、時に通報されて警察が出動する場合もあります。注意されるとその場を離れるのですが、すぐに別のファンが群がってキリがない。
そんな音漏れ参戦者であふれるのが、歌がよく聞こえる屋外コンサートのアラフェスです。特に旧国立競技場では音がよく漏れていた千駄ヶ谷方面には、ファンがそこら中にウロウロし、よって治安の悪化も懸念されます」(レコード会社関係者)
新国立競技場の最寄り駅「JR千駄ヶ谷」までの間には、860年に創建された鳩森八幡神社、1976年に竣工された将棋会館を中心に、古くからある戸建住宅や低層マンションの住宅地、商店街が広がっている。この千駄ヶ谷の街を、数万人規模のファンが縦横断するのだ。
地元住民はクラスターを心配
もちろん、各種イベントやスポーツが行われてきた国立競技場だ。これまでも住民はそんなオーディエンスを受け入れてきた歴史がある。近隣のマンションに住む女性に話を聞くと、
「コンサートの音自体より、特に女性の歓声がすごく大きく響くんです(苦笑)。でも、コンサートは数日間だけのことですから、“千駄ヶ谷に住む以上はしょうがない”とみな諦めています。でも、今年ばかりはちょっとね。コロナがまだどうなるかわからないじゃない? 若い人は無症状だっていうし、私のような高齢者も多いでしょ? もしもコンサートに来た人から、コロナが千駄ヶ谷に広がったら、と思うと怖いわね。心配しすぎなのかもしれませんけれど」
個人商店を営む店主はというと、
「若い子がたくさん来ても商店街でほとんど買わないから、実際は潤わないんだよ。大変なのはコンビニやチェーン店のミニスーパー。レジ待ちの長蛇の列ができるし、店内はかなり混雑するから、それこそ“密”になるんじゃないかな。(アラフェスは)いつやるの? まだ決まってないのなら“やめた方がいい”とは、来年の五輪のこともあるし簡単には言えないのかな(苦笑)」
コロナが終息していない現状では、やはり快く歓迎というわけにはいかないようだ。
「今は何をやっても“自粛”という風潮です。10月開催の方向で話が進められているとは言いますが、いざ“アラフェス開催”を発表しても叩かれることは目に見えています。とはいえ、嵐のラストイヤーに中止となってはファンクラブ会員も納得はしないでしょう。最近では有料のオンラインライブ配信という手段もありますし、そうすればファン全員が参加できて、地元の方も安心なので丸く収まる気はします。英断が待たれますね」(前出・レコード会社関係者)
仮にアラフェスに関するクラスターが起きれば、一番心苦しいのは嵐の5人だろう。