お見合いや交際期間中に、とんでもない発言をしたり行動をとったりする男性がいます。そうした方たちの言動に、女性はドン引きすることもしばしば。ライターをしながら、仲人としても婚活現場に関わる筆者が、目の当たりにした婚活事情を、さまざまなテーマ別に考えてゆく連載。今回は「お見合いやお付き合いにおいてNGな発言とNGな行動」を記します。
別れ際に二の腕を触ってきて、ゾォ〜
先日、お見合いを終えた佳恵さん(35歳、仮名)から、結果を知らせる連絡が入ってきました。その声が憤慨していました。
「今日の昭栄さん(42歳、仮名)は、お断りでお願いします。ご本人は、お写真よりも10歳くらい老けていて、髪の毛も頭頂部もかなり寂しく地肌がうっすらと見えていました。話もひとりよがりで、仕事のこと、趣味のこと、休日の過ごし方など、ご自身の話ばかりを楽しそうになさっていました」
そんな昭栄さんに、佳恵さんは、笑顔で相槌を打ちました。するとますます調子に乗って、話し続けたそうです。そして、お見合いを終えたときに、「あぁ〜、今日のお見合いは楽しかった!」と言ったそうです。その言葉を聞いて、佳恵さんは、ぐったり疲れてしまいました。
「 “長い1時間だった。さっそくお断りを出さなきゃ”と思って、ティールームを出たんですね。そうしたら別れ側に、『またぜひお会いしたいです』とおっしゃって、私の二の腕をスゥーッとなでてきたんですよ。もう背筋が震えました」
女性の二の腕は柔らかく胸の感触に似ている部位だと心理学ではいわれています。“まだ親しくなっていないときに胸やお尻を触ったら怒られるけど、腕ならまずは大丈夫”などと説いている男性目線のモテ本もあるくらいです。
しかし、お見合い婚活でいうなら、まだお付き合いするかどうかもわかっていない女性の身体に触れてくるのは、それがどの部分でもレッドカードの行為です。
人にはパーソナルスペースというのがあります。大好きな恋人に触れられたら嬉しく感じることも、信頼関係ができていない相手にされたら、不快以外の何ものでもありません。
以前、女性会員で、お見合いした男性との別れ際に、「きれいな髪だね。僕はこういうサラサラしたロングヘアが大好きなんですよ」と言われて髪をスゥッとなでられた方がいました。彼女も、「身体に悪寒が走った」と憤っていました。
握手も然りで、お見合いを終えて、まだお付き合いに入るか入らないかわからない相手には求めないほうがいい。
逆パターンで、ヤダ〜といいながら男性にボティータッチする女性がいますが、それをすると、策略的で男慣れしているように見えますよね。
ボティータッチは、何度かお会いしてお互いの信頼関係が築けてからがいいです。親しくなってからのボティータッチは、2人の距離感をさらに縮めるコミュニケーション術になりますから。
結婚で一番重要視すること? 身体の相性です
バツイチの容子さん(38歳、仮名)から、「お付き合いをしている義隆さん(44歳、仮名)との交際を終了にしたい」という連絡が来ました。理由は、こうでした。
「義隆さんは、上場企業にお勤めで年収も900万円あるし、条件は申し分ないのですが、今まで3回お会いして、待ち合わせ場所や時間の指定など、私の意見は聞かずに全てご自身の都合で決めてくるのが、ちょっと自分本位で気になってはいました」
さらに3回目のデートで、どんでもない発言が飛び出したというのです。
「食事をしていたときに、『容子さんが、結婚生活で一番重要視することはなんですか?』と聞いてきたんですね。私、元夫がキレる男性で、私の言うことを全く聞いてくれない人だったんです。なので、『どんなに小さなことも話し合いで解決していける関係でいたいです』って言ったんです。そしたら……」
義隆さんからは、仰天の言葉が飛び出しました。
「そうですか。僕は、夜の夫婦生活を一番重要視したいです。毎晩してもいいと思っています。身体の相性は、早めに確かめ合ったほうがいいと思うんですが、どうですか?」
食事をしながら、真顔でこう言ったというのです。容子さんは、隣のテーブルで食事をしている人たちに、今の会話が聞こえていないかドキドキしたそうです。
「義隆さんは、社会的にも立派な方ですし、こんなことを言われてドン引きしている私が幼稚なのでしょうか? それとも彼は初婚で私がバツイチなので、バツイチの私を見下しているのでしょうか?」
3回目のデートでまだ手も繋いでいないというのに、「身体の相性を重要視しているから、早めに確かめたい」と言われたら、まともな感覚を持っている女性なら初婚だろうが再婚だろうが、誰もがドン引きします。
私は、翌日、相談室に“お断り”の連絡を入れながら、「こんな発言があったようです」と彼の仲人さんに報告しました。すると、お仲人さんから、丁寧な謝罪のお返事をいただきました。
「この度は、容子さまを不愉快なお気持ちにさせて大変申し訳ありませんでした」
お互いの生活に対する考え方や生きていく上での価値観を重要視して結婚を決めていくカップルはたくさんいると思います。しかしながら、身体の相性を一番に考えて結婚を決めるカップルは、この世にいったい何組いるのか? いるかもしれませんが、それは最優先事項ではないですよね。
男友達の助言を間に受けて、女性に伝えてしまう
2年付き合っていた彼氏にフラれた麻美さん(35歳、仮名)は、1日も早く結婚できる相手に巡り会いたいと、結婚相談所での婚活をスタートさせました。以来、10人の男性とお見合いをしたのですが、8人目にお見合いをした、晴一さん(40歳、仮名)と仮交際から、先日、結婚を前提とした“真剣交際”に入りました。
なぜ晴一さんを選んだのか。理由は、こうでした。
「2年付き合っていた彼は、女性には誰にでもいい顔をするし、結局は結婚が決断できない人でした。彼の浮気を疑ったこともあります。結婚には結びつかない恋愛には、もう疲れました。結婚するなら、誰にでもいい顔をする人よりは、浮気をせずに私や家族を大切にしてくれる人がいい。晴一さんは、まさにそういうタイプだと思います」
晴一さんは、結婚の決断も早かった。お付き合いに入って3回目のデートのときには、「麻美さんとの結婚を真剣に考えています」と言ってくださったのです。ただひとつの欠点は、これまで女性と深いお付き合いをしたことがないこと。それに関しては、麻美さんは、こんなことを言っていました。
「結婚は恋愛ゲームではないし、女性と付き合った経験がなくても、私を大切にしてくれるならそれでいいです」
こうして真剣交際も順調に進んできました。しかし、プロポーズをする段になって、恋愛経験のない晴一さんは、少し不安になり、近所に住む幼なじみでバツ2の同級生に、麻美さんとの結婚を相談したようでした。
すると、そのバツ2の男性から、「おまえ、知り合ってまだ3か月しか経ってないんだろう? しかもエッチもしていない女と結婚を決めて大丈夫なのか。もしも身体の相性が合わなかったら、どうするんだよ」と言われたとか。
バカ正直な晴一さんは、幼なじみに言われたことをそのまま麻美さんに伝えました。
麻美さんからその連絡をもらい、私は驚いてしまいました。麻美さんが、この発言にドン引きしてしまったのではないかと思いました。しかし、麻美さんは、こう言いました。
「ちょっとバカ正直すぎますよね。でも、それだけ彼が真面目だということなので、浮気を繰り返していた元彼よりもいいですよ」
恋愛経験の少ない男性は、まだ付き合いが浅いうちから、“身体の関係”云々のことを心配し出します。麻美さんのように、それを笑って受けて止めてくれる女性は、ほとんどいません。それは麻美さんが、これまである程度の恋愛経験を積んできた大人の女性だからできたことです。
男性のみなさんには、お見合いや交際期間中の言動には、くれぐれも注意していただきたいですね。
ただ、男性からのとんでもない発言を許せるか、許せないかは、その男性を好きかどうかにもかかっているかもしれませんね。また、そこも男女の相性なのでしょう。
鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/