真夜中の公園に若い男性が2人。日焼けして引き締まった体躯の少年が隙を見て逃げ出すと、色白で華奢な男は身体能力的にもう追いつけるはずがなかった。
この華奢な男こそ8月14日に逮捕された無職・森岡優十容疑者。女装写真でもわかるように中性的な雰囲気をまとっているが、本性は卑劣かつ暴力的といえる。
換気のため窓を開けていた
7月25日午前3~5時ごろ、千葉県柏市の流通経済大学付属柏高校のサッカー部男子寮に侵入し、就寝中の部員に刃物のようなものを突きつけて別の空き部屋に移動させて監禁。
わいせつな行為を迫ったところ部員に拒絶され目的を遂げられず、さらに近くの公園に連れ出して、わいせつ行為をしようとしたとして県警柏署に逮捕された。
捜査関係者はこう話す。
「寮に忍び込んだ行為は『住居侵入』で、別室に内カギをかけて部員を閉じ込めたのは『逮捕監禁』にあたる。わいせつ行為をしようとしたことは『強制わいせつ未遂』だし、寮の敷地から外に連れ出した行為は『わいせつ目的略取』となる。被害部員と面識はなかったようだ」
公園で隙を見て逃げ出し、110番通報した男子部員にケガがなかったのが幸いだった。
森岡容疑者は7月下旬、県内の男子中学生に対し、わいせつな行為をした疑いで逮捕されており、これで2回目の逮捕。周辺の防犯カメラの映像などが決め手になったようだが、逮捕当初の取り調べには容疑を否認している。
同校は高校サッカーの強豪だ。2007年度に全国高校サッカー選手権大会で初優勝すると、'17、'18年度は続けて準優勝。赤地にストライプの入ったユニホームは有名で、多くのOBがJリーグや海外リーグで活躍している。
学校によると、男子サッカー部寮では事件当時、部員約130~140人のうち約85人が2~4人部屋で生活していた。
「事件前から寮には防犯カメラが4台あり、夜間は教職員が常駐していました。ただ、新型コロナウイルスの感染防止対策もあり、冷房をつけたまま通気性よく睡眠するよう指導していたんです」
と副校長。
つまり、「密閉」を避けるため、どの部屋も窓を開けて寝ていたというわけ。約8~10畳の部屋には2段ベッドが2つ。日中にレベルの高い練習をこなしているせいか、部員たちは熟睡しており、被害に遭った部員と同室の部員も侵入に気づかなかったという。
ツイッターで性的な話も
執拗に年下の少年をつけ狙った森岡容疑者は、侵入した寮から徒歩10数分のアパートで暮らしていた。1LDKで家賃は月約5万円。
同じアパートの住人は、
「隣近所の付き合いはないので、どんな男かよくわからないんです。でも、そんな悪い人が近くにいたなんて怖い!」と震える。
別の住人は「何回か見かけたような気もするが、ほとんど印象にない」と話す。
実生活では職に就かず、近隣住民とコミュニケーションをとることにも消極的だった森岡容疑者だが、ネットの世界では別の顔を見せていた。
短文投稿サイト『Twitter(ツイッター)』で自由奔放につぶやいている。
《ガチお腹痛い、、たすけてー生理、まじ生理、絶対生理。涙でる》(5月27日、原文ママ=以下同)
《濡れた》(7月23日)
と女性であるかのように言ったと思えば、
《彼女いたことないんだよね~だからエッチ下手くそ》(7月2日)
と男性目線になることも。
一方で、
《目が丸くて、唇が柔らかくて、鼻がちょこんとしてて、髪がふわふわで、いい匂いの子と付き合いたい》(6月21日)などと男女の目線どちらとも取れるつぶやきもある。
性的な話にも積極的で、
《さっきのスムージー嫌いな人のケツに入れたい》(7月5日)
《足立区ブスオカマチャンネルハマってる》(7月2日)
《僕はMな子よりSの子の方が好きだけどSの子にMが喜びそうなことをするのは好き》(7月17日)
などと性癖をあらわに。
バイセクシャルという印象
そして事件翌日の7月26日、
《誰か僕の首を絞めてください》と“意味深”なつぶやきをしているのだった。
ツイッターに肉体の写真を掲載する男性が打ち明ける。
「森岡容疑者は『バイセクシャル』という印象でした。私は自分の裸の画像をツイッターでアップしていますが、そのたびにメッセージをもらっていました」
たしかに容疑者のツイッターのフォローを見ると、男性同性愛者だけではなく、女性にも興味を示している。
容疑者とSNSでやりとりしていた人物は、
「出会い系アプリで少しやりとりしたことがあります。悪いことをするようには見えなかったですけど、“かまってちゃん”な感じでした。男の子が好きだったんですか!?」
と驚いた。
ほかにも、動画投稿サイト『YouTube(ユーチューブ)』や動画投稿サービス『TikTok(ティックトック)』に投稿し、イケメンっぽく振る舞ったり、女装することも。
性的指向はどうであれ、欲望のままに未成年者を傷つけるのは許されない。
同校は事件を受け、寮の防犯カメラを倍増。夜間常駐の警備員も配備した。
「生徒の心のケアのためカウンセラーに依頼し、生徒や保護者から要望があれば対応してもらっています。すでに相談した生徒もいます」(前出・副校長)
コロナで部活動などが思うようにできない中、追い打ちをかけた犯行は罪深い。